6月3日に行われたベルギーのワンデーレース「ヘイストス・ペイル(UCI1.1)」。ベルギー王者メルリールが残り2kmで脱落した集団スプリントを、21歳のオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が制した。



ベルギー王者ジャージを着用するティム・メルリール(スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

2016年にUCIヨーロッパツアーに昇格したヘイストス・ペイル(UCI1.1)は、ベルギー北部のアントウェルペン州を舞台に毎年6月に開催されるワンデーレースだ。1947年の初開催以降、約25年の休止期間を経て2008年に復活したレースでは、これまでグレッグ・ファンアーヴェルマート(AG2Rシトロエン)やトム・ボーネンなど多くのベルギー人選手が勝利を飾ってきた。

コースはフォッセラールを出発し、ハイスト・オプ・デンベルグに設定された周回コースを7周する198.7km。スタート地点には1クラス(上から3番目)にもかかわらず9のワールドチームが集結し、その中には地元勝利を狙うベルギー王者ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)やヨルディ・メーウス(ボーラ・ハンスグローエ)が顔を揃え、オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)なども出場した。

ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)ら6名によって形成された逃げグループ photo:CorVos

メイン集団を牽引するヨナス・コッホ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

髭が健在のジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー) photo:CorVos

これまで多くのチームを渡り歩いてきたラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)が中心となった逃げグループは6名。それをボーラ・ハンスグローエの牽引するメイン集団が追いかける形でレースは展開した。

最大5分弱のリードを築いた逃げ集団だったが、ハイスト・オプ・デンベルグの周回コースに入るとその差は縮小していく。平均時速46km/hを超えるハイペースで進むプロトンは残り24km地点で再びひと塊となり、スーダル・クイックステップやユンボ・ヴィスマが先頭で人数を揃える。最終周回に入るとウノエックス・プロサイクリングチームも先頭で牽引を始め、集団スプリントに向けて緊張感が徐々に高まっていった。

残り2.2kmで落車が発生し、巻き込まれたメルリールはバイク交換を強いられる。優勝候補筆頭を失ったプロトンはユンボ・ヴィスマを先頭に最終ストレートに突入し、フィニッシュ手前150mでコーイがスプリントを開始。絶好のリードアウトから飛び出したコーイのトップスピードにはメーウスも敵わず、コーイが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

絶好のリードアウトからスプリントするオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

雄叫びを上げるオラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

チームに今季通算30勝目をもたらしたコーイは「レースをコントロールし、早い段階で主導権を握ることができた。これはチームワークが導いた勝利。このレースを勝つことができて誇りに思うよ」とコメント。これで今シーズン5勝目をマークしたコーイには、ユンボ・ヴィスマとの契約が今年限りのため、来季の他チームへの移籍が噂されている。

2位はメーウスが入り、フランダース・バロワーズから今年アルペシン・ドゥクーニンクに加入したロベ・ヘイス(ベルギー)が3位で表彰台に上がっている。

ヘイストス・ペイル2023表彰台:2位メーウス、1位コーイ、3位ヘイス photo:CorVos

ヘイストス・ペイル2023結果
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 4:19:13
2位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ロベ・ヘイス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
5位 ピエール・ゴーテラ(フランス、AG2Rシトロエン)
6位 アーランド・ブリクラ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
7位 マルク・サロー(フランス、AG2Rシトロエン)
8位 イェンス・レインデルス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
9位 マッテオ・マルチェッリ(イタリア、ビンゴール・パウェルスソースWB)
10位 ピート・アレハールト(ベルギー、コフィディス)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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