第5回UAEツアー第2ステージは2日連続で僅差に。17.3kmのチームタイムトライアルでEFエデュケーション・イージーポストを1秒上回ったスーダル・クイックステップが勝利し、ルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が総合首位に立った。



全20チーム中、最初にスタートしたUAEチームエミレーツ photo:CorVos

スタート3kmで横風分断が発生し、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー)を同着フィニッシュで制する濃密なレースで開幕した第5回UAEツアー。その翌日の第2ステージは17.3kmのチームタイムトライアルだ。

舞台となるのはペルシャ湾に突き出たコンテナ港であるカリファ・ポート。ド平坦な9km弱のコースを2周するシンプルなレイアウトだが、前日と同様に風が選手たちを苦しめた。

初日終了時点でチーム総合が最下位のUAEチームエミレーツがスタートし、それ以降のチームにとって基準となる18分33秒(平均時速55.957km)でフィニッシュ。しかしすぐさま南アフリカTT王者であるステファン・デボッドを擁するEFエデュケーション・イージーポストが18分18秒(平均時速56.721km)というタイムを叩き出し、そこから長時間ホットシートに座ることとなった。

暫定トップタイムで長時間に渡りホットシートに座ったEFエデュケーション・イージーポスト photo:CorVos

5秒遅れの5位と健闘したジェイコ・アルウラー photo:CorVos

その後スタートしたチームDSMやジェイコ・アルウラーはUAEのタイムは上回ったものの、EFには届かない。そしてこの日の優勝候補に挙げられたイネオス・グレナディアーズが僅か3秒遅れでフィニッシュすると、ホットシートのEFの選手たちは拍手と歓声を上げて喜んだ。

総合優勝を狙うペリョ・ビルバオ(スペイン)のバーレーン・ヴィクトリアスもEFには3秒届かず、最終出走チームであるスーダル・クイックステップがスタートを切る。6.8kmに設定された中間計測地点のタイムはEFから10秒遅れだったクイックステップは、リーダージャージを着用するメルリールが隊列から外れ、コース後半からレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が高速牽引を披露した。

そして「向かい風は我慢して力を溜め、追い風は全力で踏み込む。特に最後の1kmで2度、隊列先頭を全力で引いて時速70kmに達した区間もあった」と語ったエヴェネプールのクイックステップが、EFのタイムを僅か1秒上回る18分17秒(平均時速56.773km)でフィニッシュラインに到着した。

区間3位ながらもルーク・プラップ(オーストラリア)を総合首位へと押し上げたイネオス・グレナディアーズ) photo:INEOS Grenadiers

最終出走でトップタイムを叩き出したスーダル・クイックステップ photo:CorVos

「良いチームTTをすることが目標だった。だからまさか勝てるとは思ってもいなかったよ。常に風向きが変わり、複雑なコースも多いトリッキーなコースだった。だが僕たちはプラン通り冷静な走りができた。僕にとってチームTTで挙げた初めての勝利なので特別な気持ちがするし、何よりも今後の自信につながるよ」とエヴェネプールは喜びを語った。

この結果エヴェネプールは総合2位に浮上し、リーダージャージは前日に中間スプリントでボーナスタイムを加算したルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)の手に。「アナウンスされるまでこの結果に気づかなかった。今日の僕らは良い走りができた。18歳のジョシュア・ターリングは次のフィリッポ・ガンナになりうる選手だし、(アイアンマンレースの選手でもある)キャメロン・ワーフはTTバイクの経験が豊富だ。明日以降も頑張りたい」とプラップはコメントしている。

表彰台で笑顔を見せたスーダル・クイックステップ photo:CorVos

リーダージャージに袖を通したルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

翌日は平均5.4%と緩斜面勾配ながら、実に21km以上も登坂が続く「ジュベルジャイス」にフィニッシュする山岳ステージ。総合2連覇しているタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が不在のなか、今大会最初のクライマーバトルが繰り広げられる。


UAEツアー2023第2ステージ結果
1位 スーダル・クイックステップ 18:17
2位 EFエデュケーション・イージーポスト +0:01
3位 イネオス・グレナディアーズ +0:03
4位 バーレーン・ヴィクトリアス +0:04
5位 ジェイコ・アルウラー +0:05
6位 チームDSM +0:10
7位 ボーラ・ハンスグローエ +0:15
8位 UAEチームエミレーツ +0:16
9位 アスタナ・カザフスタン +0:17
10位 トレック・セガフレード +0:19
個人総合成績
1位 ルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 3:35:50
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
3位 ニキアス・アルント(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:03
4位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:04
5位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) +0:15
6位 ケース・ボル(オランダ、アスタナ・カザフスタン) +0:21
7位 オラフ・コーイ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +0:23
8位 ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:29
9位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:30
10位 ジャラッド・ドリズナーズ(オーストラリア、ロット・デスティニー) +0:50
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
ヤングライダー賞 ルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 スーダル・クイックステップ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos