最終山岳ジャバル・ハートに上り詰めるツアー・オブ・オマーン第3ステージで、マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)が悲願のプロ初勝利。総合でもヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)を抜き総合首位にジャンプアップした。



スタートを待つトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

日本からJCL TEAM UKYOが出場するツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)は折り返しの第3ステージを迎えた。連日登りフィニッシュが続く大会3日目もジャバル・ハート(距離4.6km/平均7.7%)に駆け上がる丘陵ステージ。それ以外は平坦路のため、終盤まで力を蓄えたクライマーやパンチャーたちが火花を散らした。

アル・コバールから山岳地帯を迂回するようにジャバル・ハットを目指す151.8kmコースで逃げたのは、プロチームを中心とした5名の選手たち。しかしメイン集団のコントロールを担ったコフィディスやモビスターは4分以上の差を許さず、最終山岳を前に逃げを吸収。集団ひと塊のままジャバル・ハートの登坂が始まった。

最終山岳ジャバル・ハートを目指すツアー・オブ・オマーン第3ステージ photo:CorVos

最終山岳で徐々に人数が減っていく先頭集団 photo:CorVos

前日2位のマキシム・ファンヒルス(ベルギー)で勝利を狙うロット・デスティニーが登りの麓からペーシングを実行し、山本大喜(JCL TEAM UKYO)を含む約20名の集団が残り1km通過。そして一定ペースで先頭を進むレイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)の後方から、残り200mでマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)がアタックした。

それにマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やキアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が反応したものの、ヨルゲンソンのハイペースには届かない。そのまま23歳ヨルゲンソンが、中東オマーンの地でプロ初勝利を掴み取った。

ライバルを振り落としたマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) photo:CorVos

プロ初勝利を掴んだマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) photo:CorVos

フィニッシュ直後に「やっとだ。やっと勝つことができた」と繰り返し喜んだヨルゲンソン。「これ以上ない嬉しさと共に、大きな安堵も感じている。正直、自分は勝利とは縁遠い選手だと思っていた。しかし今日、勝利というプレッシャーから自分を解放することができた。この勝利は今後への自信に繋がる。だが最終日に登場するグリーンマウンテンは今日よりも長く、より重要で、そして厳しいだろう」と、総合でも首位に立ったヨルゲンソンはそう勝利を噛み締めた。

ヨルゲンソンは2019年にAG2Rラモンディアルでプロデビューした23歳。2020年からモビスターに所属する190cmと長身のクライマーだ。

また、JCL TEAM UKYOからは最後まで粘った山本が最高位の34位(1分29秒遅れ)でフィニッシュしている。

リーダージャージに加え、ヤングライダーやポイント賞ジャージを独占したマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) photo:CorVos


ツアー・オブ・オマーン2023第3ステージ結果
1位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) 3:33:51
2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:02
3位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) +0:03
4位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)
5位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、ブルゴスBH)
7位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
8位 アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン) +0:07
9位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:09
10位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) +0:11
個人総合成績
1位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) 11:25:48
2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:06
3位 ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) +0:14
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:15
5位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー)
6位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) +0:16
7位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:18
8位 ヴィクトル・ランゲロッティ(モナコ、ブルゴスBH)
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)
その他の特別賞
ポイント賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
ヤングライダー賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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