2月12日、JCL TEAM UKYOが出場するツアー・オブ・オマーンが開幕。大会唯一の典型的なスプリトステージを、今年スーダル・クイックステップに移籍したティム・メルリール(ベルギー)が制した。



全5ステージで行われるツアー・オブ・オマーンが開幕 photo:CorVos

アラビア半島に位置する国、オマーンで第12回ツアー・オブ・オマーン(UCI.2.Pro)が開幕した。ツール・ド・フランスと同じA.S.O.が主催する今大会は中東では珍しい山岳の多いレースで、初日を除き第2〜5ステージまで登りフィニッシュが続く。そのため最終日のフィニッシュ地点グリーンマウンテン(現地語でジャバル・アル・アフダル:全長5.7km/平均勾配10.5%)まで総合順位が入れ替わる、激しい登坂バトルが期待された。

ラスタック・フォートからオマーン・コンベンションセンターに向かう147.4kmの初日は平坦ステージ。スタートラインにはUAEチームエミレーツを含む9のワールドチームと、サウジ・ツアーから中東レースの連戦となるJCL TEAM UKYOなど全18チームが並んだ。

岩山の間を通過するプロトン photo:CorVos

レース序盤からロドリゴ・アルバレス(スペイン、ブルゴスBH)ら3名が逃げ、スプリンターを擁するスーダル・クイックステップやUAEチームエミレーツが中心に追う典型的な平坦ステージの展開に。そして逃げから最後まで粘ったイェルーン・マイヤース(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)を残り14kmで捉えられると、勝負は大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれた。

砂漠に囲まれた最終ストレートでスーダル・クイックステップやUAEチームエミレーツ、アルケア・サムシックがリードアウトバトルを繰り広げる。パスカル・アッカーマン(ドイツ)を擁するUAEが絶好の位置取りを見せたものの、ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が牽引を粘り残り200mでティム・メルリール(ベルギー)が発射。アッカーマンが伸び悩む一方でダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック)が追い上げたが、メルリールが先頭を守りきった。

絶好のリードアウトから先頭に立つティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

生まれたばかりの子どもに捧ぐ、ゆりかごポーズを披露したティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

「2週間前に子どもが生まれたんだ。だからこの勝利はその息子に捧げる」と語ったメルリールにとって、アルペシン・ドゥクーニンクに移籍後ロード初勝利。「先月シクロクロスのレースで今季初勝利を挙げたのだが、同じ喜びをロードでも味わいたかった。これ以上ないほど嬉しいよ」とベルギー王者は喜んだ。

JCL TEAM UKYOからはベンジャミ・プラデス(スペイン)が12位に入り、岡篤志が日本人最高位となる17位でオマーン初日を終えた。翌日はオマーンからクライヤトに向かう174km。フィニッシュ手前に訪れる距離2.6km/平均7.1%の登りをスプリンターが耐えられるのかに注目が集まる。

ロードで今季初勝利を飾ったティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
ツアー・オブ・オマーン2023第1ステージ結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:31:00
2位 ダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック)
3位 アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス)
4位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
5位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
6位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)
7位 マチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 アレクサンダー・サルビー(デンマーク、ビンゴール・パウェルスソースWB)
9位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
10位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ロット・デスティニー)
12位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCL TEAM UKYO)
17位 岡篤志(JCL TEAM UKYO)
個人総合成績
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:30:50
2位 ダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック) +0:04
3位 イェルーン・マイヤース(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +0:05
4位 アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス) +0:06
5位 ロドリゴ・アルバレス(スペイン、ブルゴスBH)
6位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) +0:10
7位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
8位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)
9位 マチュー・ウォールス(イギリス、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 アレクサンダー・サルビー(デンマーク、ビンゴール・パウェルスソースWB)
その他の特別賞
ポイント賞 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
ヤングライダー賞 ダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos