中東のアラブ首長国連邦で開催中のUAEツアー・ウィメン。2日連続の集団スプリントでロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)が前日に敗れたシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)を下し、移籍後初勝利を飾った。



アル・ダフラ城で行われたチームプレゼンテーション photo:CorVos

UCIウィメンズワールドツアーとしては史上初の中東開催となったUAEツアー・ウィメン。その2日目はアル・ダフラ城から砂漠に囲まれた内陸を進み、海辺の街アル・ミルファにフィニッシュする133kmだ。起伏の全くないレイアウトのため2日連続の集団スプリントが予想された。

これがワールドツアー初戦となる與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)を含む116名が、現地時間1時10分にスタート。すると選手たちは早くも風の洗礼を受ける事となった。

西に進路を取る選手たちに対し、北側から吹きつける強風に集団は2つに分裂。前日勝者のシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)やロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)らスプリンターに加え、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)やシルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)など総合勢も含む19名の先頭集団が出来上がった。

スタート直後に横風分断が発生 photo:CorVos

追走集団に入った與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos

先頭集団に最大5分差をつけられたプロトン photo:CorVos

スタート後わずか15kmで形成された先頭集団に対し、選手を送り込めなかったFDJ・スエズが中心となったプロトンが追走をかける。しかし一時は5分以上の差をつけた先頭集団も、進路が北に変わり向かい風になったことで一気にペースダウン。フィニッシュ手前20kmで追走集団が合流したプロトンは、キャニオン・スラムを先頭にアル・ミルファに突入した。

このまま集団スプリントになだれ込むかと思いきや、残り10kmを切った地点で再び横風分断が発生。チームDSMやSDワークス、UAEチームADQなど前日にスプリントを繰り広げたチームに絞り込まれた集団による、スプリントバトルが幕開けた。

残り300mの最終コーナーで先頭を取ったのはチームDSM。イギリスナショナル選手権のU23TT王者ファイファー・ジョルジの牽引からコールが飛び出し、ほぼ同時に腰を上げたウィーベスが横に並ぶ。しかし世界最速と呼ばれるウィーベスのトップスピードにコールは敵わず、ウィーベスがシーズン初勝利を飾った。

進路が北に代わり、向かい風が選手たちに吹きつける photo:CorVos

前日のリベンジを達成したロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

移籍後初勝利をチームメイトと喜ぶロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

「風の影響を受けるステージとなったが、いるべきところ(先頭集団)で走ることができた。スムーズかつ完璧なリードアウトのおかげで勝つことができた。この勝利がとても嬉しいし、明るい未来をもたらしてくれるだろう」と古巣チームDSMを下し、SDワークスに移籍後初勝利を上げたウィーベスはそう喜んだ。

一方、盤石のリードアウトを敷きながら敗れたコールは「皆が素晴らしい走りを見せてくれたスプリント。完璧なリードアウトだったが、最終コーナーでファイファー(ジョルジ)の背後から外れ、風を受ける位置に出てしまった」とコメント。「せっかくのチームワークを勝利に繋げることができず残念だが、日曜(第4ステージ)のスプリントに向けてモチベーションは高い」と意気込みを語った。

翌日は男子UAEツアーの名物フィニッシュ「ジュベルハフィート」を駆け上がるクイーンステージ。グレース・ブラウン(オーストラリア)とマルタ・カヴァッリ(イタリア)というクライマー2人を揃えるFDJ・スエズや、エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)の走りに注目だ。

総合首位に浮上したロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) photo:CorVos

UAEツアー・ウィメン2023第2ステージ
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) 3:35:28
2位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)
3位 ファイファー・ジョルジ(イギリス、チームDSM)
4位 マルタ・ラッハ(ポーランド、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
5位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)
6位 ミレーヌ・ドゥゾエテ(オランダ、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
7位 ジョージア・ベイカー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
8位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
9位 ロクサーヌ・フルニエ(フランス、サンミッシェル・オーベル93)
10位 サラ・ローイ(オーストラリア、キャニオン・スラム)
個人総合成績
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス) 6:22:26
2位 シャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)
3位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ) +0:10
4位 リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) 0:13
5位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)
6位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) +0:14
8位 サラ・ローイ(オーストラリア、キャニオン・スラム) +0:16
9位 ミレーヌ・ドゥゾエテ(オランダ、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
10位 ロクサーヌ・フルニエ(フランス、サンミッシェル・オーベル93)
その他の特別賞
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)
ヤングライダー賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)
チーム総合成績 セラティツィット・WNTプロサイクリング
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos