2日目を迎えたボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナは、クライマーたちによるスプリント勝負をジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が制した。一方、2着のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)へ斜行による降格処分が下った。



強力メンバーと共に今大会に臨むミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

スペイン・バレンシア州で開催中のボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2日目はノベルダからアルト・デ・ピノスまでの178.2km。序盤から2、3、2、2級山岳を越え、レース後半は3級と1級山岳をクリアしてベニッサの街の頭上にある、2級山岳アルト・デ・ピノス(距離3.2km/平均7.2%)を駆け上がる。

前日のスプリントステージから一転、総獲得標高差3,500mを越える山岳ステージでは、ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン)とプロチームによる4名の逃げグループが形成された。逃げ切りだけでなく山岳ポイントの大量獲得も可能なこの日は、サムエーレ・ゾッカラート(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)が積極的に狙い山岳賞ジャージを射止めている。

最大7分弱の差まで拡げた逃げ集団だったが、大会2連覇を狙うアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)のボーラ・ハンスグローエが牽引に本腰を入れたことでその差は一気に縮小。そこにバーレーン・ヴィクトリアスも加わったことでスピードが一層上がった集団は、前日勝者ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)らスプリンターを振り落としながら残り4.6kmで逃げ集団を吸収した。

この日逃げたハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン)ら4名 photo:CorVos

ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)と共にアタックを試みたトーマス・グローグ(イギリス、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)の牽引によりプロトンは最後の2級山岳アルト・デ・ピノス(距離3.2km/平均7.2%)に突入する。集団の人数を大幅に減らしたカストロビエホが役目を終えると、ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)のアタックによって登坂の争いが始まった。

この動きにトレーニー(研修生)からユンボ・ヴィスマと3年契約を結んだ21歳トーマス・グローグ(イギリス)が追従。しかしテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がブリッジを掛けると、ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)の加速を利用したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が残り200mで先頭に立った。

最終ストレートでリードを奪うジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos

チームに今季欧州初勝利をもたらしたジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos

クライマーたちによる集団スプリントを、アイウェアを投げ捨て喜びを表現したチッコーネが制す。「コンディションは良かったものの、それだけで勝利できるほどレースは簡単ではない。今朝は勝利を意識しながらスタートを切り、実際に掴むことができたので本当に嬉しいよ。最後は何度もアタックしようと考えたのだが、”勝つためには我慢が必要だ”と自分を何度も自制し残り250mで仕掛けたんだ」とチッコーネはそう勝利の要因を説明した。

2着でフィニッシュしたのは敗れながらもコンディションの良さを示したゲイガンハート。しかしビルバオの進路を妨害したとして同集団の最後尾フィニッシュ(9位)という処分が下り、それによりビルバオが2位(ボーナスタイム-7秒)、ウラソフが3位(-3秒)に繰り上がった。

翌日の第3ステージはベテラから歴史深いサグントを目指す145.1km。終盤に2級山岳と1級山岳エル・ガルビ(距離4.6km/平均6.9%)を立て続けに越え、フィニッシュ地点は頂上から30km下った先にある。そのため”登れるスプリンター”やパンチャー、クライマーなど展開次第であらゆる選手に勝機のあるステージだ。

総合リーダージャージに袖を通したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos

ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2023第2ステージ結果
1位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 4:38:59
2位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
6位 アントン・チャーム(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
7位 アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター)
8位 トーマス・グローグ(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)
9位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
10位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) +0:06
個人総合成績
1位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 4:38:59
2位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:03
3位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
4位 アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター) +0:10
5位 アントン・チャーム(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
6位 トーマス・グローグ(イギリス、ユンボ・ヴィスマ)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
8位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
9位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) +0:16
その他の特別賞
ポイント賞 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
山岳賞 サムエーレ・ゾッカラート(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)
ヤングライダー賞 アントン・チャーム(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos