フランス中を沸かせたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)の独走勝利。ジュラ山脈で行なわれたツール・ド・フランス第7ステージを終えて、有力選手たちのコメント。

シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)
再びマイヨジョーヌに袖を通したシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)再びマイヨジョーヌに袖を通したシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vos「今年は5月のレースを欠場したことで、好コンディションでツールに挑めている。来年はもう5月のレースに出場しないよ。今日の上りは山岳と言うより丘陵。4%ほどの緩い勾配が自分に合っていたこともあり、自分の脚が最高に良く回った。前にピノーが逃げていたので、最初はアタックするのを躊躇った。でも彼に合流した時、疲れ切っていた彼は『そのまま行け!』と言ってくれた」

「クイックステップは良いスパイラルに乗っている。スパゴールの第2ステージでの活躍も素晴らしかったけど、2度も独走勝利を飾るなんてワンダフルだ!もちろんステージ3勝目も狙うよ!マイヨジョーヌ獲得を考え始めたのは最後の2級山岳を上っているときのこと。マイヨジョーヌを失ってから、まだ取り戻すチャンスがあると自分に言い続けて来た」

「明日はマイヨジョーヌを守るために全力で走りたい。でもコンタドールやシュレク、エヴァンスのようなビッグネームが活躍するのは分かっている。全力で走るけど、仮にマイヨジョーヌを失っても大きな問題じゃない。とにかく今は夢見心地。今の気持ちを表現するのは不可能だ。今日は沿道の観客のサポートが素晴らしかった。彼らの声援は心に響いたよ」。

ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)
マイヨアポワのリードを広げることに成功したジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)マイヨアポワのリードを広げることに成功したジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vos「チーム全体の努力がこうして報われた。友情とチームワークの勝利。シルヴァンが追いついて来たとき、彼は自分に自信があったから追い上げて来たのだと分かっていた。横に並んだ彼の目を見ると、もう誰にも彼を止められないと思った」

「チームの活躍に大きな満足感を得ている。開幕時には『トム・ボーネンがいなければ何も出来ない』と言われていた。もちろんトムは素晴らしいチャンピオンだ。でもチームには他にも素晴らしい選手が揃っている。ジロ・デ・イタリアではチームに懐疑的な声があったけど、終わってみればステージ2勝。ツールでもチーム力を心配する声があったけど、すでにステージ2勝を飾り、マイヨジョーヌを2度獲得した」

「このマイヨアポワを気にいっている。調子が良いから、いつまでジャージをキープ出来るかというリミットは設定していない。もしシルヴァンにチャンスがあるなら、彼が山岳賞を狙うことも可能だと思う。そしてそれを支えるサポート体制は出来ている」。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
メイン集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)メイン集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vos「総合2位というポジションには満足している。今日マイヨジョーヌを獲得するためには、もっとチームメンバーを総動員して集団を牽く必要があった。総合有力選手たちは互いを牽制していて動かなかった。暑いコンディションの中、Bboxブイグテレコムがハイスピードで集団を牽いたので、最後は予想以上に厳しい闘いが待っていた。でも明日はもっと厳しいコースが待っている」

「向かい風が吹いていたので、メンバーを集団先頭に送り込むのはメンバーの体力消耗に繋がる。ジョージ(ヒンカピー)や他のメンバーは集団のペースを上げようとしたけど、正直僕は『いやいや、もうちょっとまったり走って、明日からのステージに向けて力をセーブしよう』と思っていた」

「明日は実質的に今大会最初の本格的な山岳ステージ。しかも頂上ゴールが設定されている。明日も有力選手たちは牽制しながら互いをふるいにかけていくだろう。アルベルト(コンタドール)やランス(アームストロング)のような選手が飛び出して集団を破壊するだろう。攻撃するのが彼らの役目。僕は彼らの動きを見ながら守りの走りになる。今日はここまでの平坦ステージで使っていた筋肉とは違う筋肉を使って走った。まだ山岳にカラダが慣れていない。これは他の選手も一緒だと思う」。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
「今日は予想通り誰も動かなかった。上りで他の選手がどんな走りをするのかしっかりとチェック出来たよ。ランスとアルベルトは非常に調子がいいようだ。たぶん彼らも僕について同じことを言っていると思う。互いを牽制していたから誰もアタックしなかった。今日はツールの覇者を決めるようなステージではなかった。正直言うと、今日は予想よりも気温が高くてタフなステージだったよ」

「周りを見回して苦しんでいる選手を探したけど、危機を迎えているような選手はいなかった。今僕は総合成績で好位置につけている。明日はアルベルトが必ずアタックするだろう。彼に食らいつきたい。あとランスも何か動きを見せると思う。第8ステージの終了時に総合争いの行方は有る程度判明していると思うよ。今日はアスタナの戦略がよくわからなかった。アスタナの牽きによって集団は半分に縮小したけど、今日それをしたところで大きな影響は無い。しまいにはゴール前でアスタナは集団牽引を止めてしまった」

「マイヨブランに再び袖を通すことが出来て嬉しい。ポディウムガールも最高で、本当に気分が良い。もちろん目標は変わらずマイヨジョーヌ。まだまだ総合争いはスタートラインに立った状態。表彰台の高い場所を目指したい。調子は良いので、明日から最終日まで全力で闘う」。

ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)
「今日はただ集団前方をキープして走っていた。(クレーデンが遅れたのは)暑さの影響だろう。どの選手も暑さに苦しんでいる。水分補給で少しでもミスすると一気に調子が崩れることもある。今日のような3〜5%の上りはハイスピードな展開になるのでいつも厳しい闘いになる。自分が得意とする勾配ではない。アタックが成功しにくいので、今日は誰も動かなかった。自分自身の調子を確認するのが今日の仕事。」

選手コメントはレース公式サイト、各チーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji