1級山岳ブラックマウンテンの頂上にフィニッシュするウィメンズツアー5日目。エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が勝利し、首位グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)に同タイムの総合2位まで順位を上げている。



チームプレゼンテーションで笑顔を見せるトレック・セガフレードチームプレゼンテーションで笑顔を見せるトレック・セガフレード photo:CorVos
ウィメンズツアー2022第5ステージ コースプロフィールウィメンズツアー2022第5ステージ コースプロフィール image:The Women's Tour
ウィメンズツアーも残すところあと2日。第5ステージは3つの1級山岳を越える総合優勝に大きく関わる山岳ステージだ。ペンブリー・カントリーパークを出発する106.6kmコースは序盤に2つの1級山岳を越え、1級山岳ブラックマウンテン(距離5.2km/平均5.9%)の頂上にあるフィニッシュを目指す。

初日から熾烈な山岳賞争いを繰り広げるエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)とクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス)は、この日も最初の1級山岳頂上で得られる10ポイントをかけスプリント。マジュラスがトップ通過したものの、前日に荒稼ぎしたシャベイが2位に入ったため点差は縮めることはできず。この時点でシャベイが山岳賞をほぼ手中に収めている。

1人飛び出し逃げのきっかけを作ったジョセリン・ローデン(イギリス、ウノエックス・プロサイクリングチーム)1人飛び出し逃げのきっかけを作ったジョセリン・ローデン(イギリス、ウノエックス・プロサイクリングチーム) photo:CorVos
プロトンの牽引を担当したFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコーププロトンの牽引を担当したFDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ photo:CorVos
2つ目の1級山岳手前で前アワーレコード保持者であるジョセリン・ローデン(イギリス、ウノエックス・プロサイクリングチーム)が仕掛け、プロトンから同じく飛び出した10名が合流。しかしその中にはプロトンで控える抑え役としてエレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)などを送り込んだためタイム差は大きく広がらない。牽引するメイン集団に対して最大1分半のリードを奪いながら、南ウェールズの丘陵地帯を進んでいった。

この日の敢闘賞に選ばれたローデンを含む逃げ集団が1級山岳ブラックマウンテンを前に吸収され、いよいよ総合優勝の行方を決める登坂に入った。登り口からトレック・セガフレードが先頭で人数を集め、ファンダイクの強力な牽引から残り2.4km地点でエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)がアタック。これをきっかけにクライマーたちの登坂バトルが幕開けた。

最終1級山岳でアタックするエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)最終1級山岳でアタックするエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ロンゴボルギーニの飛び出しをクリステン・フォークナー(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が抑え、フラムルージュ(残り1km地点)かららリアンヌ・マークス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がシッティングのまま加速。だがこれも7%を下回る勾配と、ロンゴボルギーニが「壁のようだった」と話すほどの強い向かい風のため決まらない。

アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)によるアタックのカウンターで前日2位だったカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)飛び出すものの、これら全てにロンゴボルギーニが反応する。そして残り150mからロンゴボルギーニがスプリントを始めると、ニエウィアドマの追従を許さずクイーンステージの勝者に輝いた。

ウィメンズツアーで初となる区間優勝を挙げたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)ウィメンズツアーで初となる区間優勝を挙げたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
総合でもタイム差なしの総合2位に入ったエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)総合でもタイム差なしの総合2位に入ったエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
「脚に力を感じ、何よりチームメイトの走りに勝利で報いたかった。登りは長くも勾配が緩く向かい風だったので飛び出すことが難しかった。何度かライバルの体力を削るため仕掛け、最後は自分のスプリントを信じて踏み込んだんだ。チームメイトはもちろん、日夜働いていくれるスタッフのためにも勝利できて嬉しいよ」と、ウィメンズツアーで初の区間優勝を挙げたロンゴボルギーニは喜んだ。

リーダージャージは区間3位でフィニッシュしたカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)がロンゴボルギーニと同タイムながらキープに成功。総合3位のニエウィアドマも2秒にいることから、混戦の総合優勝争いの行方は翌日に持ち越された。

最終台6ステージは序盤に2つの2級山岳が設定されているものの、ほぼフラットなスプリンター向きのステージ。しかしスタートして51km地点と121km地点に設定されたスプリントポイントではボーナスタイムが付与されるため、2秒差以内で争う3名によるスプリント争いが予想される。

リーダージャージを死守したグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)リーダージャージを死守したグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
ウィメンズツアー2022 第5ステージ結果
1位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 3:01:49
2位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
3位 グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
4位 クリステン・フォークナー(アメリカ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
5位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
個人総合成績
1位 グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 15:40:56
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 0:02
4位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 0:20
5位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) 0:28
その他の特別賞
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos