最終盤で逃げキャッチ　精鋭スプリントでエヴェネプールが今大会3勝目

登坂スプリント、山岳独走、そして小集団スプリント。圧倒的な強さを誇るレムコ・エヴェネプール（ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル）がノルウェーで三たびステージ優勝。総合優勝に向けて王手をかけている。

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フレッケフィヨールからサンネスを目指すノルウェー第5ステージ photo:CorVos
ノルウェーを駆け巡る第11回ツアー・オブ・ノルウェー（UCI.2.Pro）もいよいよ大詰め。北海沿岸を北上し、かつてハンマーシリーズの舞台となっていたスタヴァンゲル近郊のアップダウンコースを2周回（合計181.7km）する第5ステージで、逃げグループと集団スプリントを狙うメイン集団が激しい攻防戦を繰り広げた。

海抜0m地点の海岸線出る前のアップダウン区間で逃げたのは実に21名。アンドレイ・アマドール（コスタリカ、イネオス・グレナディアーズ）やダリル・インピー（南アフリカ、イスラエル・プレミアテック）、カスパー・アスグリーン（デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル）、アレックス・キルシュ（ルクセンブルク、トレック・セガフレード）といった競合勢をたっぷり含んだエスケープは向かい風の中5分リードを構築した。

人数の多さゆえ、落ち着かない先頭集団からはベン・ヒーリー（アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト）が再三に渡るアタックの末に抜け出し、お見合いに陥る後続グループを置き去りに。元アイルランド王者が逃げ切りの可能性を十分に残した状態で終盤のアップダウンコースに入った。

序盤から21名という大きな逃げグループが形成 photo:CorVos
終盤に飛び出したベン・ヒーリー（アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト）を追うメイン集団 photo:Tour of Norway
メイン集団内で、フィニッシュまで5kmを残した登坂区間を生き残ったのは総合首位レムコ・エヴェネプール（ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル）、トビアス・ヨハンネセン（ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング）、ルーク・プラップ（オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ）といった強豪勢だけ。この3名がフィニッシュ手前でヒーリーを捉え、ジェイ・ヴァイン（オーストラリア、アルペシン・フェニックス）だけが追いついた状態でスプリント勝負になだれ込んだ。

緩く左に曲がるフィニッシュ前で、真っ先に仕掛けたのは若きオーストラリア王者プラップ。しかしそれを確認したエヴェネプールはプラップをアウト側に押しやる際どいスプリントで加速する。行き場を失ったプラップが抗議のジェスチャーを繰り出すその前で、もがき倒したエヴェネプールが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

今大会3勝目を挙げたレムコ・エヴェネプール（ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル） photo:CorVos
リーダージャージを保持したレムコ・エヴェネプール（ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル） photo:CorVos
「風が強く、大きな逃げグループが先行したので彼らが逃げ切るだろうと思っていた。でもヨセフ（チェルニー）の強力牽引によって差が縮まったんだ。最後はコーナーを抜けて自分のスプリントをしただけ。こんな形で勝てるだなんて正直驚いた」と、第1、第3ステージに続く今大会3勝目という文句なしの強さを見せつけたエヴェネプールは語っている。

翌日の最終ステージは、再びエヴェネプール向きのアップダウン周回コースを駆け抜け幕を閉じる。既に総合成績で56秒リードを得ているエヴェネプールが総合優勝に向けて王手をかけた。