「ジロで1勝することが競技を続ける最大の理由だった」とヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)は語る。ボーナスタイムを掴み、首位に3秒差まで迫ったヒンドレーなど、ジロ16日目を終えた選手たちの言葉を紹介します。



ステージ優勝:ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

涙して喜ぶヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)涙して喜ぶヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:RCS Sport
レース直後インタビュー

モルティローロという名を聞くとワクワクするんだ。計画通り逃げに乗ることができたものの、最終山岳でギヤが決まらなかったり、下りで脚をつるなどトラブルに見舞われた。だけど勝利への強い気持ちでフィニッシュラインまで諦めることなく踏み続けた。

この勝利が僕のキャリアをどう変えるのかは分からない。だが、人から「なぜ自転車競技を続けるのか?」と聞かれると必ず「ジロ・デ・イタリアで1勝したいから」と答えていたんだ。「1勝すればその瞬間引退しても構わない」ってね。だから最高にハッピーなんだ。選手はまだ辞めないけどね笑。

念願のジロ・デ・イタリア区間優勝を挙げたヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)念願のジロ・デ・イタリア区間優勝を挙げたヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:RCS Sport
表彰台後インタビュー

このステージで何かできるんじゃないかと楽しみにしていた。なぜならモルティローロは僕にとって特別な思いがある場所だから。ステージ2位に入った2019年大会でモルティローロとアプリカを通過したんだ。その時と同じ走りができるよう、序盤から逃げに乗る良いスタートが切れた。

だが全てが計画通りだったわけじゃない。逃げ集団で協力体制が築けなかったことで、登りを前に追走に脚を使った。そして再び先頭に立ち、最終山岳サンタ・クリスティーナの急勾配区間でアタックしようと考えた。しかしケムナが登坂を前にリードを作り、そのため急勾配までじっと我慢することにした。

登りと下りの両方ではかなり踏み込んだよ。身体中が悲鳴を上げていだけれど、勝利への執念で突き進んだ。そしてフィニッシュラインまで踏み続け、勝利を掴むことができたんだ。ジロ・デ・イタリアでの勝利は僕にとって究極とも言える目標だった。しかしいまこうして表彰台に立ったことで、自分のキャリアがまだ未完成なのだと確信できたんだ。

ステージ2位:テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)

フィニッシュ後にヒルトを称えるテイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)フィニッシュ後にヒルトを称えるテイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
身体の調子は良かったものの、勝利を逃しとても落ち込んでいる。なぜならチームのためにどうしても勝利が欲しかったからね。雨のなかでの下りも上手くことなし、追いつけると思ったが少しだけ足りなかった。協力してくれたチームは素晴らしく、引き続き勝利を目指し戦い続ける。

ステージ3位&総合2位:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)

カラパスを下し、ステージ3位でボーナスタイムを獲るジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)カラパスを下し、ステージ3位でボーナスタイムを獲るジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
予想通り厳しい登りの続く、壮絶な1日だった。調子がかなり良かったので登りでアタックを試みたのだが、カラパスとランダを揺さぶることはできなかった。だけどボーナスタイムを獲得することでき、結果的に良いステージとなったよ。

ステージ4位&マリアローザ:リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

スプリントで破れるも、3秒差でマリアローザを守ったリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)スプリントで破れるも、3秒差でマリアローザを守ったリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
タフなステージだったが、満足なレースだったと言える。3位に入りボーナスタイムを狙ったのだが、惜しくも叶わなかった。だが十分満足なステージだったよ。もちろんヒンドレー相手に数秒失ってしまったものの、アルメイダを引き離すことができた。この結果をポジティブに捉えているよ。

ステージ6位&総合4位:ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)

フィニッシュを目指して下るカラパス、ランダ、ヒンドレー、バルベルデフィニッシュを目指して下るカラパス、ランダ、ヒンドレー、バルベルデ photo:CorVos
レース直後、アルベルト・コンタドールのインタビューに答えるランダ

コンタドール:チームとして、また個人としてもアグレッシブに動いたレースを振り返ってくれ。

ランダ:アタックを試みたのだが、上手く行かず少し残念だね。カラパスとヒンドレーは強く、僕とビルバオは落車する不運に見舞われた。だけどこの結果には概ね満足だよ。

コンタドール:明日は君にとってチャンスとなるステージになるだろうか?

ランダ:明日の終盤は今日と同じようなレイアウトなので良いステージにしたいね。

コンタドール:くれぐれも風邪を引かないよう、回復に努めてくれ。

ステージ8位&総合3位:ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

マリアビアンカを守ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)マリアビアンカを守ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:RCS Sport
とても厳しいステージだったが、正直ここまでの走りに自分でも驚いている。スタートから最後までフルガスで息つく暇もなかった。最後まで戦い続けることができた自分の走りと、この結果には満足だ。まだ総合首位と1分も離れていない。だから自分の現状に満足しているとともに、明日のステージが楽しみだよ。

ステージ9位&総合5位:ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)

途中で得意のダウンヒルアタックを見せたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)途中で得意のダウンヒルアタックを見せたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン) photo:Astana Qazaqstan Team
選手全員にとってタフなチャレンジとなったステージ。僕らは積極的なレースにしようとチーム一丸となり走った。彼らには本当に感謝したい。終盤にバーレーンがハイペースで牽引し、最後の登りは…ベストを尽くしたのだが、ついていくことができなかった。そのため自分のリズムを最後まで守り登った。最大限の力を発揮できたと思うし、次のステージがどうなるか見てみよう。

ステージ11位&総合7位:ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)

僕は大丈夫だ。(落車時は)それほどスピードが上がっていなかったので、すぐにバイクに戻ることができた。何の問題もないよ。だがせっかくの良いリズムを乱してしまい残念だ。あのまま続けていれば何か出来たかもしれなかったのに。だがミケル(ランダ)が無事で何よりだ。僕は彼がこの後何かやってくれると信じている。

ステージ12位&総合6位:ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

もちろんあの落車は余計だったね。不運に加え、ブレーキに問題を抱えていたんだ。落車後は集団復帰するために力を使わなければならなかった。第3週目は一体どんなことが起こるのだろうね。でも僕のキャリアでこういうことがよく起きるんだ。もう慣れっこだよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos