ナポリを発着する丘陵ステージで大逃げ決まる。20名の中から4名が飛び出し、最後は逃げの名手トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)がスプリント勝利。2012年のステルヴィオステージに続く10年ぶりのジロ区間優勝を手にした。



ジロ8日目の舞台となったナポリ。プレビシート広場がピンクに染まったジロ8日目の舞台となったナポリ。プレビシート広場がピンクに染まった photo:RCS Sport
5月14日(土)第8ステージ ナポリ〜ナポリ 153km5月14日(土)第8ステージ ナポリ〜ナポリ 153km image:RCS Sportジロ・デ・イタリア8日目の舞台は、イタリア南部にある歴史深い港湾都市ナポリ。美食の街を発着する153kmの短距離ステージに高い山岳はないものの、モンテ・ディ・プローチダ(距離1.8km/平均6.9%)を含むバーコリの小周回を4周。細かなアップダウンによって獲得標高差が2,000mを越えるという、2日連続のアタッカー向けステージだ。

普段のようなローリングではなく、この日は0km地点から停止した状態でディレクターカーからオフィシャルスタートの旗が振られる。たっぷりとローラー台でウォーミングアップを重ねた選手たちが弾かれたように飛び出す中、いきなりマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が猛烈なアタックを仕掛けた。

真っ先に逃げを打つマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)真っ先に逃げを打つマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
逃げグループを率いるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)逃げグループを率いるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
13km地点で逃げを決めたファンデルプールにはビッグネームが多数入った20名の後続グループが追いつき、メイン集団からリードを奪って2日連続の逃げ切りを目指すことに。強力なメンバーが含まれていたこと、そして4分6秒遅れの総合28位ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が入ったことでトレック・セガフレード率いるメイン集団が追走したことでレース開始後1時間の平均スピードは47.1km/hという高速ペースで進んだ。

逃げた21名
アンドレア・ヴェンドラメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、AG2Rシトロエン)
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
ファビオ・フェリーネ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)
ハロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)
ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
ダヴィデ・ガッブロ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
シモーネ・ラヴァネッリ(イタリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
エドアルド・ザルディーニ(イタリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
ミルコ・マエストリ(イタリア、エオーロ・コメタ)
サムエーレ・リーヴィ(イタリア、エオーロ・コメタ)
ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)
ハルム・ファンハウケ(ベルギー、ロット・スーダル)
ホルヘ・アルカス(スペイン、モビスター)
マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)

フアン・ロペス(スペイン)のマリアローザ着用日数を伸ばしたいトレック・セガフレードは、マルタンにバーチャルマリアローザすら与えないタイム差(2分程度)でメイン集団をコントロール。逃げ切りを決めるべく逃げグループ内ではファンデルプールが積極的に牽引し、ギルマイや、3名を逃げに加えたロット・スーダル勢も加担。すると残り46km地点のモンテ・ディ・プローチダでファンデルプールがアタックした。

ナポリ湾に浮かぶヴェスビオ火山を見ながら走るメイン集団ナポリ湾に浮かぶヴェスビオ火山を見ながら走るメイン集団 photo:RCS Sport
逃げグループを率いるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)逃げグループを率いるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:RCS Sport
デヘントらを追うギルマイやファンデルプールだが、差は思うように縮まらないデヘントらを追うギルマイやファンデルプールだが、差は思うように縮まらない photo:CorVos
積極的な走りを披露するファンデルプールにはギルマイとシュミット、プールス、マルタン、そしてヴェンドラメが合流。一時的に木っ端微塵となった後続グループだったが追走態勢を立て直してすぐにこの危険なアタックを潰す。更にカウンターで加速したガッブロをきっかけに4名の先頭グループが生まれることとなる。

「誰もがマチューやギルマイをチェックしていたので、逆に僕たちのチャンスはそこにあった」と言うデヘントはチームメートのファンハウケと共に逃げ、アルカスとラヴァネッリも合流。最後のモンテ・ディ・プローチダでラヴァネッリが遅れたものの、意思統一が図られた逃げグループは、遅れて追走グループを組んだファンデルプールやギルマイ、プールス、マルタン、そしてシュミットを追いつかせないペースを刻み続けた。

フィニッシュ前の最終登坂では、ここまで何日もマリアローザ争いを繰り広げている総合2位レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が逆転を狙ってアタックするもロペスはガッチリとマークして離さない。第2グループからギルマイとファンデルプールが抜け出して先頭合流を試みるのを尻目に、ファンハウケが牽き、デヘントがスプリントに備える先頭グループは残り1kmアーチを通過。ナポリ市内の曲がりくねったコースレイアウトも逃げる4名の味方となった。

ガッブロとアルカスを下したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)ガッブロとアルカスを下したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:RCS Sport
3名の勝負を制したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)	3名の勝負を制したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:RCS Sport
こうして先頭4名が逃げ切りを決め、「このスプリントで勝つ自信があった」と言うデヘントが残り200mから加速する。35歳となったベテランのスプリント力にアルカスとガッブロは対応できず、最後は余裕すら漂わせたデヘントがガッツポーズ。逃げの名手デヘントが、未だ衰えぬ力で10年ぶりとなるジロステージ優勝を掴み取った。

「もともとハームで勝負するつもりだったけれど、彼に勝負する脚が無く、代わりにスプリントに自信がある僕で勝負することになった。厳しいけれど追いつくことも難しい僕向きのアップダウンコース。2週間前はコンディションが悪くステージ優勝なんて考えられなかったけれど、今はいい状態にある。10年ぶりのジロステージ優勝はハッピーだ」と、その実力を遺憾なく発揮したデヘントは答えている。

実に10年ぶりとなるジロでのステージ優勝を挙げたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)実に10年ぶりとなるジロでのステージ優勝を挙げたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
また、デヘントから33秒遅れでフィニッシュしたマルタンは総合成績で28位から4位までジャンプアップに成功。首位ロペスはチームメイトの尽力もありマリアローザを守っている。

ジロ・デ・イタリア2022第8ステージ結果
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 3:32:53
2位 ダヴィデ・ガッブロ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
3位 ホルヘ・アルカス(スペイン、モビスター)
4位 ハルム・ファンハウケ(ベルギー、ロット・スーダル) +0:04
5位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) +0:15
6位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
7位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
8位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:33
9位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
10位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) +2:56
マリアローザ 個人総合成績
1位 フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) 32:15:31
2位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0:38
3位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) +0:58
4位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +1:06
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ) +1:42
6位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) +1:47
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) +1:55
8位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +1:55
9位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +2:00
10位 リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) +2:04
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 147pts
2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 120pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) 78pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 68pts
2位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 43pts
3位 ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) 27pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) 32:15:31
2位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) +1:47
3位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +1:58
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 96:49:05
2位 ボーラ・ハンスグローエ +0:51
3位 ユンボ・ヴィスマ +1:01
text:So Isobe
photo:CorVos

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