スペイン北部のバスク地方を巡る6日間のステージレース「イツリア・バスクカントリー」が開幕。初日の7.5km個人TTでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)のタイムを上回ったプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が勝利している。



ベルギーでのワンデーレース連戦を経てスペインの地にやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)ベルギーでのワンデーレース連戦を経てスペインの地にやってきた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第1ステージイツリア・バスクカントリー2022第1ステージ photo:Itzulia Basque Countryベルギー・フランドル地方でロンド・ファン・フラーンデレンが開催されたその翌日、自転車競技熱溢れるスペイン・バスク地方を舞台にイツリア・バスクカントリー(UCIワールドツアー)が開幕した。

1924年に第1回大会が開催された歴史あるステージレースであり、1936年から1968年までの中断を挟んで今年で開催61回目を迎える。長年スペイン語の「ブエルタ・アル・パイスバスコ」の名称が使用されてきたが、2018年からUCI登録名を含めて現地バスク語と英語を組み合わせた「イツリア・バスクカントリー」に変更されている。

昨年プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)が同国スロベニアのライバル、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)を下し総合優勝したレースには、2連覇を目指すログリッチやレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)など、この先のグランツールを見据えたオールラウンダーが参戦。ロンド・ファン・フラーンデレンではなく、こちらを選んだジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)も1ヶ月振りのレースとして出走した。

ステージ優勝したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)ステージ優勝したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ステージ2位:レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)ステージ2位:レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVosステージ4位:ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)ステージ4位:ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ビスケー湾に面する港町オンダリビアで行われた初日は、選手の顔見せの意味合いも強い7.51kmの個人タイムトライアル。コース中盤の3級山岳サンテルモ(距離1.4km/平均3.9%)以外は平坦基調だが、角度の厳しいコーナーとフィニッシュ手前に石畳の緩斜面が現れ、選手たちのテクニックが問われる難コースとなっている。

前半に出走したイネオス・グレナディアーズのイギリス人コンビ、アダム・イェーツとゲラント・トーマスが好走を見せる中、初日トップタイムをマークしたのは五輪覇者を表す金のヘルメットとバイクを走らせたログリッチだった。

コロナ禍を忘れさせるほどの観客が集う中、最終出走者として走り出したログリッチは、エヴェネプールに5秒差、レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)に16秒差をつける9分48秒のトップタイムで優勝。平均時速45.98km/hでオンダリビアの街を駆け抜けたログリッチが自身3度目の総合優勝に向け、初日を好発進で終えた。

互いの健闘を称え合うプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)互いの健闘を称え合うプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
「決して簡単なタイムトライアルだったわけではなかったので、勝つことができてスーパーハッピーだ。コーナーが連続するテクニカルなコースで、脚が良い状態のまま最後まで持ってくれたおかげだ。バスクの観客と雰囲気を楽しむことができたよ」と、スペインで行われる個人タイムトライアルでは無敗(2017年の初レース以来)と絶対的な強さを誇るログリッチは言う。「だがまだ大会は始まったばかり。この時点でのリーダージャージにそこまで大きな意味はない」とも。

その一方で、ログリッチ以外で唯一10分を下回るタイムと平均スピード45km/h台を叩き出したのはエヴェネプール。「全力を尽くしたので後悔はない。ただ1人が僕よりも速かっただけ。少し落ち込んでいるが良いコンディションであることに変わりはないので、この先に待つチャンスを狙うよ」と、3級山岳サンテルモを最速タイムで通過したため山岳賞と、ヤングライダー賞ジャージに袖を通したエヴェネプールは語った。

息子と共に表彰台でお馴染みのテレマークを披露するプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)ト息子と共に表彰台でお馴染みのテレマークを披露するプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)ト photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2022第1ステージ結果
1位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 0:09:48
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:05
3位 レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:16
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:18
5位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
6位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ) 0:20
8位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
9位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ベン・トゥレット(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:21
139位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) 1:18
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 0:09:48
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:05
3位 レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:16
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:18
5位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
6位 アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマ・エフデジ) 0:20
8位 ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
9位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
10位 ベン・トゥレット(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:21
その他の特別賞
ポイント賞 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 クイックステップ・アルファヴィニル
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos