昨年アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)に屈したSDワークスがリベンジ達成。シャンタル・ブラークのアシストを受けたロッタ・コペッキー(ベルギー)がスプリントでファンフルーテンを下し、ロンド女子レース初優勝に輝いた。



今季3勝と好調のロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)今季3勝と好調のロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos2013年以来の優勝を目指すマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)2013年以来の優勝を目指すマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

アルカンシエルのエリーザ・バルサモ(トレック・セガフレード)とイタリア王者エリーザ・ロンゴボルギーニ(トレック・セガフレード)、間にマルタ・バスティアネッリ(UAEチームADQ)と強豪イタリア勢が揃うアルカンシエルのエリーザ・バルサモ(トレック・セガフレード)とイタリア王者エリーザ・ロンゴボルギーニ(トレック・セガフレード)、間にマルタ・バスティアネッリ(UAEチームADQ)と強豪イタリア勢が揃う photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレン2022女子 コースプロフィールロンド・ファン・フラーンデレン2022女子 コースプロフィール photo:www.flandersclassics.be/nl男子レースの約3時間後にスタートが切られた第19回ロンド・ファン・フラーンデレン女子レース。男子コースの一部区間をカットした158.6kmで争われるコースは、ラスト45kmから始まるコッペンベルグ〜パテルベルグの急坂区間、そしてフィニッシュまで続く13kmの平坦な舗装路という終盤のレイアウトは男子と共有する。

UCI女子ワールドツアー第6戦目として数えられるレースには、前回覇者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)やシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)、マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ)など歴代王者が揃い踏み。徐々に調子を上げる與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も、若手主体のチームの中で2年連続の出場を果たした。

アントワープの大観衆の中スタートする選手たちアントワープの大観衆の中スタートする選手たち photo:CorVos
序盤から逃げを打ったクラーラ・ホンシンガー(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)序盤から逃げを打ったクラーラ・ホンシンガー(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) photo:CorVos
女子レースでは初登場となったコッペンベルグ(残り45km地点)まで、今年2月にコッペンベルグで開催されたシクロクロス大会を制したクラーラ・ホンシンガー(アメリカ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)を含む5名が先行する展開。この逃げ集団をモビスターが牽引するメイン集団が、1分45秒差で追いながら連続する急坂を越えていった。

ファンフルーテンが「前半から中盤にかけて、チームとして厳しい展開に持ち込むことができなかった」と言うほど目立ったペースアップが図られなかったプロトン。しかし急坂を越えるごとに逃げグループとの差は縮まっていき、ターインベルグ(残り37km地点)で吸収。再びひとまとまりになった集団から、それまで牽引していたアルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)やカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)など11名が新たな先頭集団を形成した。

合計11ヶ所の急坂を越えていく合計11ヶ所の急坂を越えていく photo:CorVos
終盤に連続する急坂に耐えきれず遅れていくエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード)終盤に連続する急坂に耐えきれず遅れていくエリーザ・バルサモ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
それを30秒差で追う後方集団では、今年のリエージュ~バストーニュ~リエージュで激闘を繰り広げたコペッキーとファンフルーテンが飛び出し、先頭との差をジリジリと縮めていく。その2人にコペッキーのチームメイトであるブラークが合流すると、最後の急坂パテルベルグ(残り13km地点)を前に先頭グループを飲み込んだ3人がレースの先頭に立った。

パテルベルグに入り、昨年ここで仕掛けて独走勝利を収めたファンフルーテンの再現を防ぐようにブラークが登坂のペースを上げる。これにファンフルーテンが追随し、その後ろにベルギー王者コペッキーがつく状況のまま最後の石畳登坂を終えた。

フィニッシュへと続く平坦路に入ると、ブラークが再びアタック。これに反応したファンフルーテンと、相変わらずその背後を取るコペッキーというSDワークスにとって理想的な状況のまま、勝負は3名によるスプリント勝負へと持ち込まれた。

シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)のアタックで先頭は3人に絞られたシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)のアタックで先頭は3人に絞られた photo:CorVos
スプリントでアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)を下したロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)スプリントでアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)を下したロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) photo:CorVos
発射台役を務めるブラークの牽引から、先に腰を上げスプリントを開始したのはファンフルーテン。しかしスプリント力で優るコペッキーがファンフルーテンを抜き、ベルギーの大観衆が待つフィニッシュに飛び込んだ。

「この感情を表す言葉が見つからない。チームにただただ感謝したい。みんなが強かったおかげで私は勝つことができた」と母国レースを制したコペッキー。「アネミエクのペースアップにみんな脚を痛めつけられたが、スプリントなら勝てると思っていた。だけど自分の力を過信しないよう、謙虚にスプリントした結果が勝利へと繋がったんだ」と、リエージュ~バストーニュ~リエージュに続いてファンフルーテンを下したコペッキーは語っている。

一方、敗れたファンフルーテンは「最後のスプリントで争えて嬉しかった。勝利は常に難しく、いつも混沌の中争われる。敗れたものの後悔のない走りができた。だから2位という結果を胸に、今晩はよく眠ることができそうだ」と笑顔で答えた。

ロンド・ファン・フラーンデレン2022女子表彰台:2位アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)、1位ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)、3位シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)ロンド・ファン・フラーンデレン2022女子表彰台:2位アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)、1位ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)、3位シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス) photo:CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレン2021女子結果
1位 ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) 4:11:21
2位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
3位 シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス) 0:02
4位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター) 0:40
5位 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス)
6位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
7位 グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
8位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
9位 ブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 0:42
10位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ) 1:10
85位 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) 9:49
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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