ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)の圧倒的な走りで幕を閉じたツール・ド・フランス第97回大会のプロローグ。雨に濡れた8.9kmのコースを走り終えた選手たちのコメント。

ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)ステージ優勝:10分ジャスト
アルカンシェルのファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がスタートアルカンシェルのファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がスタート photo:Kei Tsuji「9kmのコースなので10分前後の闘いになると想像していた。(皮肉を込めて)バッテリーが10分間持ち続けてくれることを願っていたんだ。100%の力で10分間を走り抜けたよ。プロローグのスペシャリストとして、最高の走りを出来たと思う。エンジンは自分のカラダの中に搭載されているんだ」。

「バスの中で自分のスタートを待っている時、窓ガラスに滴る雨粒を見るのが苦痛だった。太陽が出るように祈っていたのが通じたのか、スタート前に雨が止んだ。スタート前の段階から運が味方していたのだと思う。ちょうど日が射し始めていたんだ」。

「これまでもプロローグはこうして勝って来た。レース後にバイクのスキャンが有ろうが無かろうが、自分の走りには全く関係しない。スキャンに使うお金はもっと別のことに費やすべきだ。結果はこの通り。落ち着いているし、自分の走りを誇りに思っている」。

「これからの数日は、チームの目標を決めるのに重要なステージが待っている。特にアランベールにゴールする(パヴェの)ステージは重要だ。とにかくマイヨジョーヌは出来るだけ長い時間守り続けたいと思う。ラッキーなことにツール・ド・フランスにはボーナスタイムが無い。そのアドバンテージを利用して、あと数日はリラックスしてレースに挑めそうだ」。

デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)はステージ3位にデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)はステージ3位に photo:Makoto Ayanoデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)ステージ3位:20秒遅れ
「ここ最近のパフォーマンスと比べると良い走りだった。満足している。コースは滅茶苦茶危険な状態でもなく、特に気をつけたコーナーは数カ所だけ。良いタイムが期待出来そうだったので、無茶はしなかった。タイラー・ファラーのレース中にチームカーでコースをチェックしたけど、彼の速さには絶句したよ。彼の走りに勇気をもらったし、間違いなくチームのモチヴェーションも上がっている」。



ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ4位:22秒遅れ
「まず始めに、今日の走りに満足している。今日はスタート前の段階から手応えを感じていて、結果にも満足しているし、脚の感触も良かった。感触はタイムよりも重要だ。天候にも恵まれていたと思う。徐々に晴れて来て、乾いているコーナーもあった。メインのライバルたちからタイムを奪うことが出来たし、上々のスタートだ」。

アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ステージ6位:27秒遅れ
「結果には満足している。少なくとも総合争いのライバルたち全員からリードを奪うことが出来たし(実際にはアームストロングから5秒遅れ)、トップスリーまであと数秒だった。リズムを掴めなかったのは確かだけど、今日はリスクを背負って走る必要は無かった。落車のリスクを考えると、コーナーで数秒遅れるほうがいい」。

リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)ステージ10位:35秒遅れ
「今年のツールは上々のスタートを切ることが出来た。天候は思わしくなかったけど、自分のパフォーマンスに大きな満足感を得ている。ジロ・デ・イタリアのあとはレースに出場せず、ずっとトレーニングを続けていた」。

ステージ4位に入ったランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ4位に入ったランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) photo:Kei Tsujiカンチェラーラから27秒遅れのステージ6位に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)カンチェラーラから27秒遅れのステージ6位に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Kei Tsuji集中するリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)集中するリーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) photo:Makoto Ayano


ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)ステージ20位:38秒遅れ
「完全にウェットなコースだったことを考えると満足出来る結果だ。危険を冒す必要は無かった。これからの闘いに向けて勇気づけられる結果だ。アームストロングとコンタドールが強敵になるのが今日明らかになった。今年のツールはハイレベルで白熱した闘いになる」。

ステージ23位・39秒遅れのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ23位・39秒遅れのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ステージ23位:39秒遅れ
「乾いていてほしいと思うコーナーは全てウェットな状態だった。コンサバにコーナーを攻めたおかげで数秒は失ったと思う。総合争いのライバルたちから10秒近く遅れたのは望んでいたことじゃない。でもまだツールは始まったばかり」。

ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)ステージ56位:51秒遅れ
「風景を満喫する余裕なんて無かったけど、観客が詰めかけた橋を駆け抜けるのは特別だった。今日はそれほどコーナーを攻めることが出来なかった。9kmのフラットコースを走るのは自分の得意分野じゃないけど、リスクを負わずに出来る限りの走りをすることだけに集中した」。

ステージ72位・55秒遅れのイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ステージ72位・55秒遅れのイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Kei Tsujiイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ステージ72位:55秒遅れ
「予想通りの満足出来る走りが出来た。タイムトライアルで無類の強さを発揮するアームストロングやコンタドールとのタイム差は想定内。他のライバルたちと比べると、まずまずのタイムだったと思う。コースはまだ濡れた状態だったので、無用なリスクは冒さなかった。とにかくついにツールが始まった。初日としてはポジティブな感触を得ている」。

サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)ステージ75位:56秒遅れ
「雨が降っていなかったらほぼブレーキに手をかける必要がないようなコースだった。コーナーは慎重にクリアしたよ。リスクを負わなかったとは言え、濡れたコースを走るのはいつでもリスキーだ。今年のツールで注目されているサストレやメンショフ、ウィギンズ、シュレクと同じようなタイムで満足。これからの数日は気が抜けない。明日のステージもややこしい闘いになるかも知れない」。

ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ステージ77位:56秒遅れ
「路面は濡れていたし、観客もずぶ濡れだった。落車して数分を失うわけにはいかないから、コーナーはかなり慎重に攻めたよ。直線路は出すべき力を出し尽くした。「3週間の闘いの中でプロローグはそれほど大きな意味を持たない。ここでのタイム差は数秒。でも3週目の山岳では分差の計算になる」。

「カラダの感触には満足している。コンピューターの数値も良かった。前々から言っているように、今回のプロローグでは優勝を狙っていたわけじゃない。自分の走りをしただけ。これはレースの第一歩で、最終目標のプロセスの一部に過ぎない。とにかく長いトレーニング期間の成果がこうして出たことに満足している。早く明日になって脚の感触を確かめたい。今日は終わり、そして明日が始まる。今回のプロローグは走っただけで一日が終わった気がする。もしエドヴァルド・ボアッソンが勝てないならトニ・マルティンが勝つと思っていた」。

ステージ122位に終わったアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ122位に終わったアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Kei Tsuji

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ122位:1分09秒遅れ
「雨の影響で昨日試走したコースとは全く様子が違っていた。大きなタイムを失わないために全力で走った。とにかく、このツールに向けて準備出来ることは全てやった。今から何か始めてももう遅い。今はレースに集中するだけ」。

選手コメントは現地のレース取材、ならびに各チーム公式サイトより。

text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji,Makoto Ayano

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