石原悠希と小山智也(ハバ・キウィ・アトランティコ)も出場したマヨルカ3日目は、登りで絞られた7人によるスプリント勝負に。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を僅差で下した。



チャレンジマヨルカ3日目の舞台は再び山岳へチャレンジマヨルカ3日目の舞台は再び山岳へ photo:CorVos
1年を通して温暖な気候ゆえ、冬季の合宿地として有名なマヨルカ島を舞台にワンデーレースが4つ連なる「チャレンジマヨルカ」。3日目の「トロフェオ・セッラ・デ・トラムンターナ」はマヨルカ島北部のリュセタを発着点に、山頂フィニッシュではないものの4つのカテゴリー山岳が登場する158.9kmのタフなレースだ。

ワールドチームから唯一逃げに乗ったジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)を含む6名が、プロトンから最大3分30秒のタイム差を奪う展開に。しかし初日のトロフェオ・カルビアを6位と好調な滑り出しを見せたバルベルデ擁するモビスターとボーラ・ハンスグローエが中心となってメイン集団をコントロールした。

ワールドチームから唯一逃げに乗ったジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード)ワールドチームから唯一逃げに乗ったジャコポ・モスカ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVosプロトンはエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)を擁するボーラ・ハンスグローエなどがコントロールプロトンはエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)を擁するボーラ・ハンスグローエなどがコントロール photo:CorVosシーズンインのレースから積極的に動いたエンリク・マス(スペイン、モビスター) シーズンインのレースから積極的に動いたエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
連続する2級山岳で勢いを失った逃げ集団は、フィニッシュまで40kmを残す1級山岳プイグマホール(登坂距離14.6km/平均勾配6%)手前でプロトンに吸収。山岳中腹でこのレースがシーズンインのエンリク・マス(スペイン、モビスター)が1人集団から飛び出すと、それをエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)や初日に優勝したブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)、バルベルデやサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)などが追った。

1人淡々と登るマスにエリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック)が単独で合流。しかし追走で力を使い切ったジェスベールはマスに再び離され、入れ替わるようにマクナルティやウェレンス、バルベルデを含む追走グループがマスに追いつき、7人の集団で頂上を通過した。

スプリントするティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スプリントするティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
スプリント勝利を飾ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)スプリント勝利を飾ったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
20km余り続く下りでスプリント力で劣るブッフマンなどがアタックするも決定的な動きには繋がらず、勝負は7人のままスプリントに持ち込まれた。「フィニッシュ周辺はよく知っているコースで、勝つには最終コーナーを1番か2番目で入らなければならないと分かっていた」と言うウェレンスが最終の右コーナーをトップで通過。そのまま緩斜面のストレートで背後のバルベルデを振り切り勝利を挙げた。

なお、フィニッシュライン直前でウェレンスがバルベルデの進路を塞ぐように左に寄ったとして、レース直後にコミッセールによる映像確認の時間が取られたものの、すぐさまウェレンスの優勝が認められている。

「プイグマホールでのペースがとても速くついていくのに必死だった。その後はアタックが連続したものの、誰も抜け出すことはできなかった」と語るのは、2017、18、19年に続く大会4度目の優勝を挙げたウェレンス。「トレーニングでの調子は良くなかった。しかしレース直前にエースナンバーをピン留めすると、次第に気持ちが高まっていったんだ」と相性抜群のレースを振り返った。

表彰台に上がったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)表彰台に上がったティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
初日に続き、3日目に出場した石原悠希と小山智也(ハバ・キウィ・アトランティコ)はDNF。小山はレース後に「本日も獲得標高3000m超のコースで、矢印の地点付近(※プイグマホール峠直前のソレ峠)まで粘ったものの完走ならず。段差でボトル飛んでいって登りで我慢できずに車に取りにいったら戻れないと言う失態。神々たちは今日もカッコよかったです」と投稿している。

※筆者追記
トロフェオ・セッラ・デ・トラムンターナ2022結果
1位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 4:12:32
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 コービー・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
7位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 0:14
8位 ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
9位 ベン・ツィーホフ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:19
10位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) 1:52
DNF 石原悠希(ハバ・キウィ・アトランティコ)
DNF 小山智也(ハバ・キウィ・アトランティコ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos