2022年が現役最終シーズンと宣言するリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が「来季はツールではなく、ジロで才能ある若手たちと勝負したい」と答えた。また引退後についても「母国選手を欧州に導きたい」と言及している。



チーム復帰1年目をチームリーダーとしてフルシーズン戦い抜いたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)チーム復帰1年目をチームリーダーとしてフルシーズン戦い抜いたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
来年1月30日で37歳の誕生日を迎えるリッチー・ポートはラストシーズンとなる2022年について、「チームは僕に”最終年を楽しむこと”を求めている。それは僕も一緒だよ」と現地メディアのインタビューに答えた。

ポートが最後の大舞台として選んだのは2011年から連続で出場中のツール・ド・フランスではなく、将来が嘱望される若手が多く集うジロ・デ・イタリア。その理由をポートは「これまで自分でも誇らしいレースをしてきたが、最後にあと一つだけ勝負がしたいんだ。そうじゃなければ家族との時間を犠牲にしてまで走る意味がないからね」と説明。「36歳という年齢で才能溢れる若い選手たちと台東に渡り合えることが嬉しい。ジロでキャリアを終えることができれば夢心地だろう」。

これまでジロに3度出場したポートは、初参戦となった2010年大会では総合7位入賞。来年出場すれば途中棄権した2015年以来、実に7年振りの舞台となる。その他のレーススケジュールについては、例年通り1月にツアー・ダウンアンダーの代替として開催されるサントスフェスティバル・オブ・サイクリングで初戦を迎え、ティレーノ~アドリアティコやパリ〜ニース、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネなど1週間程度のステージレースを連戦する予定だという。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで初の総合優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで初の総合優勝を果たしたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
来年はチームの中でキャメロン・ワーフ(オーストラリア)に次ぐ年長者となるポート。引退後のプランについて具体的な言及はなかったものの、「若い才能ある選手を欧州に導きたい。また教育からこぼれ落ちてしまった子どもたちを救いたい。それらが僕が自転車界で果たしたい役割なのかもしれない」と話した。

その言葉の通り、今季オーストラリア選手権個人タイムトライアルを弱冠20歳で制し、8月からトレーニーとしてイネオスで走るルーク・プラップと共に故郷タスマニアで練習をこなしたポート。若手指導については「時計や高級車にお金を使うべきではないとアドバイスしているよ。10年前に自分が犯した過ちを教訓にね」と冗談混じり語っている。

2010年にサクソバンクでプロデビューを果たしてから来年で13年目を迎えるポート。キャリアの集大成となるシーズンを前に「10年後に息子や娘に”父さんはこいつらと一緒に走っていたんだ”と言いたいんだ」と、インタビューを締めくくった。

text:Sotaro.Arakawa