イネオス・グレナディアーズのディスクブレーキ投入初戦となった石畳レース「GPドゥナン」。ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)は最終盤で捕えられ、ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が直後の集団スプリントで勝利した。



パリ〜ルーベにも登場する石畳を駆け抜けるパリ〜ルーベにも登場する石畳を駆け抜ける (c)Israel Start-Up Nation
世界選手権やパリ〜ルーベに向けて「石畳クラシックレース」への機運が高まる中、北フランス、ルーベのやや南に位置する街ドゥナンを舞台にしたセミクラシックレース、GPドゥナン(正式名称グランプリ・ドゥナン)が開催。12セクター、合計20kmに及ぶ石畳が組み込まれたパリ〜ルーベ前哨戦に、ベルギー勢を中心としたクラシックハンターやスプリンターが集結した。

イネオス・グレナディアーズのディスクブレーキ投入初戦としても注目された2021年大会。気温15度前後と秋の気配が深まる北フランスで逃げグループを形成したのは地元フランス勢中心の5名。最大で3分差を得た5名だったものの、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)擁するトタルエネルジーや、好調ヤスパー・フィリプセン(ベルギー)のスプリントを狙うアルペシン・フェニックスの牽引でリードは減少。石畳セクターを越えるたびにメイン集団の慌ただしさも増していった。

今大会最高難易度を誇る、残り82km地点の石畳(パリ〜ルーベではセクター22)では先頭グループとメイン集団とも崩壊した。ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)やルーク・ロウ(イギリス)などイネオス勢が組織的なペースアップを行い、イネオスがクフィアトコフスキとロウ、そしてオウェイン・ドゥール(イギリス)を加えた12名が先行。序盤の逃げから唯一逃げていたアダム・デボス(カナダ、ラリーサイクリング)を飲み込み先を急いだ。

フィニッシュを目指して逃げるミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)たちフィニッシュを目指して逃げるミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)たち (c)Équipe Cycliste Groupama-FDJ
セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)をも含む強力な逃げグループだったものの、メンバーを送り損ねたトタルエネルジーが必死に追走するメイン集団は、40秒のビハインドを40kmかけて10秒台にまで持ち直す。石畳の路肩走行、メカトラ、パンク、落車、土煙などパリ〜ルーベの前哨戦らしい殺伐とした状況下で、先頭はクフィアトコフスキとU23時代にパリ〜ルーベエスポワールを制したスタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン)、シクロクロス選手のクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、そしてクレモン・ダヴィ(フランス、グルパマFDJ)の4名に絞られた。

やがてヘルマンスが脱落し、3名になった先頭グループの背後にはイスラエル・スタートアップネイション率いる集団が土煙をあげながら迫った。タイム差は15〜20秒で増減を繰り返していたものの、残り5kmを切ってメイン集団が猛チャージ。人数をすり減らしながらも追いかけるプロトンは、残り500mを切ってもなお粘り続けたクフィアトコフスキを吸収。それと同時にスプリント勝負が始まった。

集団スプリントを制したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)集団スプリントを制したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) (c)ALPECIN-FENIX
絶好のリードアウトを得たジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)がベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を抑えて先頭を維持したものの、残り100mを切ってから猛然とヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が追い上げる。フィニッシュ直前で頭一つ抜け出し、ハンドルを投げ込むメーウスの横でフィリプセンが片手を突き上げた。

3レース3連勝を射止めたヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)3レース3連勝を射止めたヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) (c)INEOS Grenadiers
絶好調フィリプセンが、マチュー・ファンデルプール(オランダ)らと共に出場するパリ〜ルーベに向けて弾み。フィリプセンにとってはフランドル選手権とエシュボルン・フランクフルトに続く3連勝となった。
GPドゥナン2021結果
1位 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
2位 ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
5位 トム・ファンアスブロック(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション)
6位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
7位 ケニース・ファンローイ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
8位 バティスト・プランカールト(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
9位 ピート・アレハールト(ベルギー、コフィディス)
10位 イェンス・デブシェール(ベルギー、B&Bホテルズ KTM)

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