「3ヶ月前に亡くなった父に捧げる勝利」と涙を見せたのは、ブエルタ15日目に逃げ切ったラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)。マイヨロホをキープしたエイキングや、逃げに乗ったアルたちのコメントを紹介します。



ステージ1位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)

天を指差してフィニッシュするラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)天を指差してフィニッシュするラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) photo:Photogomezsport
逃げに乗るのは簡単ではないが、今日はなんとか入ることができた。ステージ優勝を意識しながらスタートから仕掛け、誰かとではなく単独で行きたかった。僕の父親と2人の子どものためにも、どうしても勝利が欲しかったんだ。

今年は良い状態でシーズンの開幕を迎えることができず、また3ヶ月前に父が亡くなったこともあり、家族にとっても辛い時期になっていた。だから今日は彼のためにも勝ちたかったんだ。それに素晴らしいチームであるUAEチームエミレーツにも勝利を届けたかった。

ブエルタで4年ぶりのステージ優勝を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)ブエルタで4年ぶりのステージ優勝を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) photo:Photogomezsport
このブエルタで総合順位を争う考えはなく、逃げからの勝利を狙っていた。脚の調子は良く、スプリントもない僕が勝つためには独走しかないと思っていた。だからアルを引き離し、自分のペースで走りたかったんだ。クライスヴァイクが追いついてくるのではないかと恐れていたが、自分のペースを守り、その速度にも自信があった。

勝利を確信したのは最終山岳で後ろとのタイム差を確認したとき。最後の下りはリスクを犯したくなかったのでスピードを緩めた。調子が良くても勝てないときはあるが、今日はなんとしても勝利が欲しかったので、スタートからフィニッシュまで懸命に踏んだんだ。

ステージ2位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、チーム ユンボ・ヴィスマ)

マイカに1分27秒届かなかった2位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、チーム ユンボ・ヴィスマ)マイカに1分27秒届かなかった2位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、チーム ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
逃げに乗るのに苦労した。また(マイカを)追走する集団での協調が取れず、自分一人で追った方がいいと判断したんだ。一時はタイム差を縮めることに成功するも、自分のペースは越えるべきではないとも思っていた。唯一の望みはマイカが崩れることだったが、そんなことは起こらなかった。彼は強く、力を見せた。

そもそも逃げに乗る意図はなかった。だが大きな逃げ集団ができたので誰か一人は入っておくべきだと思い、それがたまたま僕だった。プリモシュ(ログリッチ)に何かあれば下がるつもりだったが、プロトンには十分なアシストがいたため、僕にステージ優勝を狙う自由が与えられた。そうさせてくれたチームには感謝しているよ。スタートからクレイジーな展開で、1日を通してペースが速く、誰にとっても楽なレースではなかっただろう。だからこそ明日の休息日が貴重なんだ。

ステージ3位 クリス・ハミルトン(オーストラリア、チームDSM)

3位のクリス・ハミルトン(オーストラリア、チームDSM)3位のクリス・ハミルトン(オーストラリア、チームDSM) photo:CorVos
とてもタフなステージだった。もちろん勝利が僕とチーム全体の目標だったが、とても苦しく(逃げ集団にいる)他の選手たちも同じぐらい苦しんでいてほしいと思っていた。いつ何が起こるか分からないので、その瞬間をじっと待っていなければならなかった。

3位という結果は嬉しい。力を出し切ったし、もし勝利を目指していなかったら、グランツールの表彰台も無理だっただろう。だから落ち込んでなんていないよ。逃げ集団にチームから僕を含めて4人もいたので、他の選手たちとの協力が難しかった。だからずっと選手たちによるアタックの連続で、残り50kmで僕が一か八か仕掛けたんだ。

ステージ5位&総合12位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

(最終日の地)サンティアゴまでの道のりは長く、まだ多くの山岳が待ち受けている。この2日間の調子が良かったので嬉しかったよ。

ステージ6位&マイヨロホ オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)

メイン集団はリーダージャージ要するアンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオがペースをキープメイン集団はリーダージャージ要するアンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオがペースをキープ photo:Photogomezsport
遅れることなくフィニッシュできて安堵したよ。とても長くタフなレースだったのにもかかわらず、チームは素晴らしい牽引をしてくれた。彼らがいなければこのマイヨロホはなかっただろう。本当に感謝したい。

プロトンにいるチームは強く、僕たちのチームもこのリーダージャージを守ることに不慣れであることは認めなければならない。(アダム・イエーツがアタックした瞬間は)ライバルたちの反応を見て、プリモシュ・ログリッチなどに追わせた方が賢明だと判断した。だけどフィニッシュまで下り坂だったこともあり、それほど差も開かなかったね。

ステージ7位&総合10位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨロホを含むメイン集団とともにフィニッシュしたフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨロホを含むメイン集団とともにフィニッシュしたフェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Photogomezsport
スタートからレースはフルガスだった。1日を通してアンテルマルシェがペースをコントロールして、チームも僕のサポートをしてくれた。最後の登りで何度かアタックが起こった結果、小集団でのフィニッシュとなった。調子はかなり良かったものの、他の選と同様に疲れたよ。だがら休息日が楽しみだ。

ステージ10位&総合4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

みんなが待ち望む戦いが繰り広げられなかったものの、僕らとしてはこの週末を乗り切ることができてホッとしたよ。脚の状態は良く、それはロペスも、僕らから15秒奪ったアダム・イエーツも同じだろう。最終日にそのタイム差が勝負を分けるかもしれないが、現時点ではみんなあまり関心がなかったようだった。今日はアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの選手たちを褒め称えたい。彼らはレースのコントロールという責務を素晴らしい形で果たした。

ステージ11位&総合5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター)

(アタックが起きなかった原因は)お互いをリスペクトし過ぎていたからではない。なかなか形成されない逃げによるアタックが繰り広げられた影響で、スタートからペースが速くとても厳しいレースになったからだ。またアタックが起こりそうな大きな山岳もなかったのも原因の1つだろう。イエーツに数秒奪われてしまったが、概ね問題ないと言える。また逃げ集団から遅れてきたカルロス(ベローナ)が、僕とエンリクのために素晴らしい働きをしてくれたんだ。彼には感謝したい。

ファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)

ラファウ・マイカを追うファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)ラファウ・マイカを追うファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ) photo:Photogomezsport
ここ数日、タンクの中身が空っぽになっていたので、逃げに乗る予定はなかった。だがレースが始まり脚に力が戻ってきてたんだ。だから勝利が狙えるのではと思い始め、最初の山岳での感触が良かったので仕掛けた。だが2時間半後には再び空っぽになってしまった。第3週目に繋がる良い走りだったと思うが、100%の状態になるにはまだ数日かかるだろうね。この水曜から土曜にかけてのステージは本当に厳しかった。この後調子が上向くことを祈っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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