ツール第21ステージの集団スプリントを制したワウト・ファンアールト、マイヨヴェールを獲得したカヴェンディッシュ、大会2連覇でマイヨジョーヌを喜ぶポガチャル。そして現役最後のツールを走り終えたグライペルなど、21日間の激闘を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

フィニッシュ後にステージ3勝目をアピールするワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)フィニッシュ後にステージ3勝目をアピールするワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Kei Tsuji
信じられないほど素晴らしいツールになった。まるでジェットコースターのようなツールを勝利で締めくくることができ、予想を遥かに越える成果だ。実は今夜の飛行機で東京に向かわなければならないが、このインタビューによって乗り遅れてしまうかもしれないね。

人数が減ったチームの中で、マイク(テウニッセン)が素晴らしいリードアウトをしてくれた。(最終コーナーからフィニッシュ地点の距離が延長されたことで)僕らのようなコーナーを過ぎてから勝負したいチームにとっては有利になった。それにマイクが僕を絶好のポジションまで運んでくる確信があったので、彼の後ろについていけばいいだけだった。ワールドクラスのリードアウトをしてくれた彼には脱帽だよ。

チーム総合成績トップに輝いたバーレーン・ヴィクトリアスチーム総合成績トップに輝いたバーレーン・ヴィクトリアス photo:Kei Tsuji
マイヨヴェールの獲得というツールでの目標がまだ1つ残っている。それを目指すため、またここに戻ってきたい。それが次の目標だ。東京五輪では(ロードレースとタイムトライアルの)両方で勝利を狙っているが、とても難しい挑戦になるのは分かっている。だが、まだ今週の勝利から頭を切り替えられそうにない。

ステージ3位&マイヨヴェール(ポイント賞) マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

10年ぶりのマイヨヴェールを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)10年ぶりのマイヨヴェールを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto AYANO
幸せに満ち溢れている。1ヶ月前までツール・ド・フランスに出場する予定もなかった。だが僕はいま、この3週間の思い出とともにここパリにいる。シャンゼリゼで再びマイヨヴェールを着用できるとは想像もしていなかった。ドゥクーニンク・クイックステップの素晴らしいチームメイトとスタッフに感謝したい。彼らなしでこの成功はなく、彼らがいたからこそこの激動のツールを走り切ることができた。

5週間会うことができなかった家族とともに、ここに来て忘れられない瞬間を共有することができた。本当に嬉しいよ。

ステージ4位 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ)

マイケル(マシューズ)の状態が良ければ、僕の右から彼がスプリントを開始する予定だった。4位は良い結果と言えるが、リードアウトという役割があったので複雑な心境だ。僕自身の4位よりも、リードアウトをして仲間の勝利を喜びたかった。少しの運が足りなかったのだろう。なぜならレースではほんの少しの差が勝負を決めるからね。

ステージ5位 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)

今年限りでの現役引退を発表したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)今年限りでの現役引退を発表したアンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) photo:A.S.O.
ツール・ド・フランスを走る最後のステージという感動の1日となった。(距離が延長された)新しいフィニッシュの影響で、皆が向かい風に吹かれ、一か八か掛けに出たが上手くいかなかった。もっと良い結果でこのツールを終えたかったので少し残念な気持ちもあるが、無事ツール・ド・フランスを終えることができてホッとしている。

マイヨジョーヌ&マイヨアポワ(山岳賞)&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

2枚めのマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)2枚めのマイヨジョーヌを獲得したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto AYANO
表彰式スピーチ

昨年、優勝者スピーチのために言葉を考えるべきだったのだが、そのやり方が分からなかった。そして今年もまた紙を見て話すのではなく、いまここで思ったことを語ろうと思う。3週間に渡り、僕ら選手を応援してくれたフランスの人々や世界中のファンに感謝したい。ありがとう。おかげで素晴らしいレースになった。

UAEチームエミレーツのみんなは素晴らしく、チームという名のファミリーの一員になれて本当に嬉しい。このツールを目指す1年間、彼らはずっとそばにいて僕を支えてくれた。このチームで、ツールという旅を終えることができて誇りに思う。ここで涙は決して流さないけどね。

コロナウイルスという困難な中での開催となったが、来年はマスク無しでここに来れることを願っている。またレースを運営し、レースバブルやプロトコルを管理してくれたスタッフの人々にも感謝を伝えたい。おかげで安全にレースをすることができた。

また、家族や彼女、友人たちにも感謝したい。これで言うべきことはすべて話せたかな。とにかくこの勝利が嬉しい。ただただ幸せだよ。

タデイ・ポガチャル(スロベニア)の総合優勝を祝うUAEチームエミレーツタデイ・ポガチャル(スロベニア)の総合優勝を祝うUAEチームエミレーツ photo:Makoto AYANO
表彰式後インタビュー

ここシャンゼリゼに再びマイヨジョーヌで来ることができ、また素晴らしいチームと一緒にフィニッシュできて本当に嬉しい。早くみんなでお祝いしたいね。もちろん(東京五輪が控えているので)少しの時間しか祝えないが、みんなと良い時間を楽しみたい。

今日のレース序盤は最高だった。みんなとお喋りしながら、お互いの健闘を称え合った。だけど、石畳区間になってからは、再びフルガスのレースに戻っていった。それもそれでとても楽しかったけどね。

いまの感情を上手く表現できない。来年に向けてやる気は十分だし、次の目標についてストレスを感じないよう挑むだけだ。

総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

総合上位3人の表彰、総合表彰台、2位ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)、1位タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、3位リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)総合上位3人の表彰、総合表彰台、2位ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)、1位タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)、3位リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ) photo:Makoto AYANO
1ヶ月前にツールで総合2位になると言われても信じなかっただろう。初出場のツールで表彰台に上がれるなんてまだ信じられない。このツールにはプリモシュ(ログリッチ)をアシストするトム(デュムラン)の代わりとして来たんだ。そのチャンスを掴むことができ、とても嬉しいよ。

総合3位 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)

母国エクアドルにあるカルチの山から始まり、パリの表彰台まで辿り着いた。夢が叶った思いだよ。

総合4位 ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)

第9ステージで勝利を挙げたベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)第9ステージで勝利を挙げたベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) photo:A.S.O.
僕がツールで4位に入るなんて誰も予想しなかっただろうね。このツールでは(ステージ優勝した)2020年のジロ・デ・イタリアのように積極的な走りをしようと思っていた。(第1ステージでの落車で)腕が動かず、立つことも、肩を動かすこともできなかった。当然僕のレースは終わり、肩を骨折したと100%の確信があった。初めてのツールを初日にリタイアなんて最悪だと思っていたよ。

マイヨジョーヌへの道のりは長く、違うレベルの争いだった。だけど、いつの日かマイヨジョーヌが着れるといいね。そのためには今年と同じぐらいの成長が必要だ。いまは休み、ワインを飲みながら友人とのひとときを楽しみたい。この後は1ヶ月ぐらい休暇を取る予定だ。

総合5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)

5位という結果と、3週間に渡る自分の走りに満足している。チームによるサポートは偉大で、全員が素晴らしい働きをしてくれた。この成功の秘訣は、厳しいレースや困難な状況下であっても、レースを楽しむ気持ちだろう。グランツールではいつも、1回や2回ぐらい絶好調なステージがあるのだが、今回はそれがなく残念だった。だが、その原因にも2つほど心当たりがあるので、今後に向けて改善していきたい。未来の成功に向けて、引き続き努力していくよ。

総合6位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)

正直、総合6位でレースを終えるのは苦い結果だ。最後の山岳ステージなど調子の良い日もあったが、モンヴァントゥー(第11ステージ)やポルテ峠(第17ステージ)で脚が動かなかった。いつものハイケイデンスで脚を回せなかった。今後はその原因を探し、改善していきたい。この後は一週間ほど休みを取り、その後は高地トレーニングをして、100%の状態でブエルタ・ア・エスパーニャに挑む準備をする予定だ。ツール同様、総合での表彰台を目指す。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)

3年振りのツール完走となったクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)3年振りのツール完走となったクリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Makoto AYANO
今年は素晴らしい年になっている。数々の苦しみを越え、ここパリにたどり着くことができてた。再びパリを走ることができて誇りに思う。マイヨジョーヌは着ていないが、お母さんは僕のことを褒めてくれるんじゃないかな。このツール・ド・フランスに感謝を伝えたい。

チーム総合成績で1位を獲得したバーレーン・ヴィクトリアスのロルフ・アルダグ監督

チーム総合成績トップに輝いたバーレーン・ヴィクトリアスチーム総合成績トップに輝いたバーレーン・ヴィクトリアス photo:Kei Tsuji
チーム全員にとって素晴らしい経験になった。ジロ同様、総合エースのジャック(ヘイグ)を失う不運に見舞われたが、そこから作戦を変え、逃げ切りでマテイ・モホリッチとディラン・トゥーンスが勝利を掴んだ。その後はペリョ・ビルバオが総合順位を狙い、トップ10に入った。その後はマテイによる勝利、そしてワウト・プールスのマイヨアポワを守ろうとしたがポガチャルに奪われてしまった。チーム総合でポディウムに上がることができ、チームにとって特別かつ忘れられない瞬間になった。

text:Sotaro.Arakawa

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