モールマンが悲願のジロドンネ初勝利　総合はSDワークスの独占変わらず最終日へ

ジロドンネは9日目でクイーンステージを迎えた。登坂距離14kmに及ぶ1級山岳マタイウルで、ベテランのアシュリー・モールマン（南アフリカ、SDワークス）が残り8kmから独走し念願のジロドンネ初勝利を挙げた。またファンデルブレッヘンが3位に入り総合優勝に大手をかけている。

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ジロ・ローザを着用するアンナ・ファンデルブレッヘン（オランダ、SDワークス） photo:CorVos選手たちがレース中何度も水を掛けるほど暑い気温のなか行われた photo:CorVos
序盤から積極的に仕掛けたエリーザ・ロンゴボルギーニ（イタリア、トレック・セガフレード ウィメン） photo:CorVos
10日間に渡り争われたジロ・デ・イタリア・ドンネも残すところあと2日。総合優勝を占うクイーンステージの第9ステージは、フェレット・ウンベルトから2級山岳を越え、1級山岳マタイウルの山頂を目指す122.6kmで争われた。

この日逃げを打ったのはイタリア王者のエリーザ・ロンゴボルギーニ（イタリア、トレック・セガフレード）や総合2位のアシュリー・モールマン（南アフリカ、SDワークス）ら4名。最大3分20秒まで広げたタイムマージンを使いながら最終山岳マタイウルに入ると、チームDSMやモビスターが牽引するメイン集団が、逃げ集団から遅れたマルタ・バスティアネッリ（イタリア、アレBTCリュブリャナ）とアヌースカ・コスター（オランダ、ユンボ・ヴィズマ）の2人を吸収した。

3級、2級、1級山岳とフィニッシュに向かい徐々にカテゴリーが上がっていく第9ステージ photo:CorVos
フィニッシュまで8kmを残した段階でモールマンがダンシングでスピードを上げると、それまで順調に見えたロンゴボルギーニの脚が止まる。プロ通算42勝を挙げながらもジロのステージ勝利がないモールマンが、悲願の勝利に向け独走体制に持ち込んだ。

メイン集団はステージ優勝を狙うジュリエット・ラボウ（フランス、チームDSM）のためにリアヌ・リッパート（ドイツ）がハイケイデンスで牽引すると、残り6kmから総合3位のデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス）が飛び出し、集団が崩壊する。この動きに反応できたのはマルタ・カヴァッリ（イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ）と、チームメイトでジロ・ローザを着用するアンナ・ファンデルブレッヘン（オランダ、SDワークス）の2人。2位を争う3名集団がペースを上げると、沿道の観客に水を掛けてもらいながら懸命に踏むロンゴボルギーニを一気に抜き去っていった。

単独走になってからも一切ペースが落ちることがなったモールマンが、他を寄せ付けないヒルクライム力を見せそのまま独走勝利。その1分26秒後には残り1kmでカヴァッリを置き去りにしたフォレリングとファンデルブレッヘンがフィニッシュし、総合順位でトップ3に入るSDワークスの3名が、ステージでも1位から3位を独占する圧倒的な強さを見せた。

10度目の出場で念願のステージ勝利を掴み取ったアシュリー・モールマン（南アフリカ、SDワークス） photo:CorVos
肩を抱き合いフィニッシュしたステージ3位のアンナ・ファンデルブレッヘン（オランダ、SDワークス）と2位のデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス） photo:CorVos
「とにかく信じられない。ジロには10度出場して、2位はあったがステージ優勝がなかった。総合でも2位にいるが、勝利はまた格別だ」と喜ぶモールマン。「今年は最初の合宿からアンナ・ファンデルブレッヘンと同部屋で、彼女のことを知る良い機会になった。彼女はすぐに心を開いてくれ、情報を共有し、私の走りのフィードバックなどをくれた」と、今季より加入した世界王者が刺激になったと話した。

そのファンデルブレッヘンはレース後、「モールマンは良い走りを見せた。今日は全員にとってタフなステージだったが、チームとしては完璧な1日になった」とコメント。2位のモールマンと1分23秒差をつけ、ジロ・ローザをほぼ確定させた。またその他の総合順位に大きな変動はなく、ステージ4位のカヴァッリが順位を3つ上げ総合6位に入っている。

表彰台で勝利を喜ぶアシュリー・モールマン（南アフリカ、SDワークス） photo:CorVos
ステージと総合を独占したSDワークスの3人 photo:CorVos