フォレリングがラ・クルス制覇　リエージュに続くビッグレース2勝目

ツール開幕に先んじた女子レース、ラ・クルスbyツール・ド・フランスは精鋭グループによるスプリントで決着。世界チャンピオンのアシストを受けたデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス）が大きな1勝を掴んだ。

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今年で8回目を迎えたラ・クルスbyツール・ド・フランス photo:A.S.O.
ラ・クルスbyツール・ド・フランス2021 コースプロフィール photo:A.S.O.今年で8回目を迎えたラ・クルスbyツール・ド・フランス。男子レースに先んじてグランデパールの地ブレストを出発し、海沿いのアップダウンコースを移動しながら最後はフィニッシュ登坂「狼たちの穴」を意味する3級山岳フォス・オ・ルー（全長3km・平均5.7%）を含む14kmコースを3周する。

107km、時間にして3時間弱のレースは激しいアタック合戦で幕開けた。スタートから約30km後に単独先行したセドリン・カバウ（フランス、チームアルケア）は25kmを消化したのち最初の3級山岳フォス・オ・ルーで吸収され、ここから優勝候補たちの本格的なアタックが始まった。

シクロクロス世界チャンピオンのルシンダ・ブラント（オランダ、トレック・セガフレード）のペースメイクで10名ほどが先行し、2度目のフォス・オ・ルーではロード世界チャンピオンのアンナ・ファンデルブレッヘン（オランダ、SDワークス）がメイン集団を絞り込む。先行グループとメイン集団が合流し、30名程度となった状態からカウンターでルス・ウィンダー（アメリカ、トレック・セガフレード）がアタックした。

スタートから約30km後に単独先行したセドリン・カバウ（フランス、チームアルケア） photo:CorVos
メイン集団をコントロールするSDワークスやトレック・セガフレード photo:CorVos
ウィンダーのアタックにはファンデルブレッヘンやグレース・ブラウン（オーストラリア、バイクエクスチェンジ）たちが反応したものの、マリアンヌ・フォス（オランダ）で勝負を狙うユンボ・ヴィズマが後続グループを率いて残り4.5kmで引き戻す。こうして30名ほどの集団が最後の3級山岳フォス・オ・ルーへと挑むこととなった。

今季ワールドツアーレースで6度トップ10入りするも勝ち星の無いカタジナ・ニエウィアドマ（ポーランド、キャニオン・スラム）が残り2.5km地点でアタック。しかし前半の急勾配区間を終えたタイミングでトップスター選手ばかりの追走グループに捕まり、勝負はゴールスプリントへと持ち越される。牽引役を務めたファンデルブレッヘンの背後からフォスが、そしてその背後からデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス）が加速体制に入った。

マリアンヌ・フォス（オランダ、ユンボ・ヴィズマ）を抜き去るデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス） photo:CorVos
ラ・クルス初制覇を遂げたデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス） photo:CorVos
勝利を喜ぶデミ・フォレリング（オランダ、SDワークス） photo:CorVos
フォスが勝ちパターンに持ち込んだかと思われたものの、「スプリントを始めた時点で脚が残っていないなと感じた」と徐々に失速。残り100mを切ってからフォスを追い抜き、セシリーウトラップ・ルドヴィグ（デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ）を抑えたフォレリングが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

「本当に嬉しい。とても美しい（勝利）。期待していなかったぶん自分のキャリアの中でもハイライトになる勝利」と驚くフォレリングは、ファンデルブレッヘンの後進として力を伸ばすオランダ期待の24歳。これまで大きな勝利はなかったが、徐々に成績を上げて臨んだ今年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュではファンフルーテンたちを下し、涙のビッグレース初制覇を決めていた。

2位ルドヴィグ、1位フォレリング、3位フォス photo:CorVos
「今回のルート発表のタイミングが遅く詳細を確認できなかったりと、正直言って勝てるとは思っていなかった。チームメイトたちの頑張りでこの試合に勝つことができた」と、リードアウトを務めたファンデルブレッヘンたちに感謝の気持ちを綴っている。