2017年のジロ・デ・イタリア総合勝者であり、同年のタイムトライアル世界王者であるトム・デュムラン(オランダ)が競技生活を「当分の期間」停止する。1月23日、所属するユンボ・ヴィズマがインタビュームービーと共に発表した。



スペインでチーム合宿に参加していたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)スペインでチーム合宿に参加していたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
「(活動停止を)決めたのは昨日のこと。チームが僕の意見を尊重してくれたことは本当に良かった。まるで100kgのバックパックを背中から降ろしたような気分だ」と、プレッシャーから解き放たれた気分を表現したデュムラン。2019年に負った膝故障から長いリハビリ期間を経て復活し、新天地ユンボ・ヴィズマに移籍後はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のアシストを務めながら総合7位に食い込むなど、復調への道のりを歩んでいるかに見えた30歳のオールラウンダーが突如レースから離れることになった。

ユンボ・ヴィズマはスペインでチームキャンプを開催中であり、先日ロンド・ファン・フラーンデレンやツール・ド・フランスを含むデュムランの参戦スケジュールを発表したばかり。具体的な休止期間は「当分の間」と明らかにされていない。

「サイクリストとしての自分のあり方を見失ってしまった」「サイクリストとしての自分のあり方を見失ってしまった」 (c)CorVos
決断に至った理由についてデュムランは、「サイクリストとしての自分のあり方を見失ってしまった。チーム、スポンサー、妻や家族など身の周り全ての人のためにベストを尽くしてきたけれど、その思いが逆に自分自身を見失わせた」と説明する。「一人の人として、トム・デュムランは彼の人生で何をしたいのか?という疑問がここ何ヶ月も頭を支配してきたんだ。自分が何を、そしてどのように望んでいるのかを頭の中で整理するために今は時間が必要なんだ」。

「いろいろな人と話したり、電話をかけたり、考える時間を作ったり、犬と散歩に出かけたりしたい。人として必要なことを探したいと思う。もちろん自転車に乗ることは大好きだけど、チームとの合宿中に、動き続ける列車から一旦降りて考える時間が必要だと思った。おそらく僕は自転車選手であり続けたいと思うし、2ヶ月後に戻ってきたとき、新鮮な気分でいられるとも思う。周囲の目を気にするのではなく、自分自身のプランを良く練り上げていきたい」と、心境を加えている。

text:So Isobe