2015年に当時のアワーレコード世界記録を樹立したアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が、12月12日に再び挑戦することを発表した。2019年にカンペナールツが打ち立てた55.089kmという記録に挑む。



ジロ・デ・イタリア第8ステージで独走優勝を果たしたアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)ジロ・デ・イタリア第8ステージで独走優勝を果たしたアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:CorVos
今年のジロ・デ・イタリア第8ステージで勝利を挙げたアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)が、今年12月12日に2度目のアワーレコード世界記録更新に挑むことを発表した。

ドーセットがアワーレコード挑戦の場に選んだのは、前回と同じイギリス・マンチェスターのナショナルトレーニングセンター。ここでドーセットは2015年5月2日に52.937kmという結果で世界記録を樹立。しかし、そのわずか36日後にブラドレー・ウィギンス(イギリス)が更新し、2019年にはヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、NTTプロサイクリング)が55.089kmという現在の世界記録を打ち立てている。

アワーレコードに向けて準備をすすめるアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)アワーレコードに向けて準備をすすめるアレックス・ドーセット(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション) photo:Alex Dowsett / Youtube Channel
ドーセットは挑戦を選んだ理由を「このアワーレコードの挑戦を活用して、血友病があってもできること、患っている者としてするべきことしたいと思った」とコメント。自身も抱える血友病(遺伝性血液凝固異常症)という稀な病気について周知活動と、自身が設立した基金”Little Bleeders”やイギリス血友病チャリティ協会への支援をアピールするために走る。

「2015年に世界記録を出した時は保守的な走りだった。記録更新に十分な力しか出さず、まだ余力が残っていた。今回は最後の20分をペースを維持したまま走るのか、それとも攻めるのかをその場で判断したい」と語るドーセット。「前回の平均パワーは約360Wだった。今回は明らかに400Wかそれ以上で走らなければならないだろう。ヴィクトール・カンペナールツの記録は簡単には破れない。厳しい挑戦になるが不可能ではない」と再挑戦への意気込みを語った。

今季限りでイスラエル・スタートアップネイションの退団が決まっており、未発表ながらも移籍先のチームと2年契約を結んだことを公表しているドーセット。今回の挑戦は現チームのバイクであるファクターで行う予定で、ジロから帰国後には風洞実験やスキンスーツの調整など着々と準備を進めている。


text:Sotaro Arakawa

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