アルプス山脈と中央山塊を越えピレネー山脈での初日を迎えた第8ステージ。逃げ切ったピーターズや、相変わらずの下りを見せたザカリン、最終山岳で飛び出しタイムを稼いだポガチャルやバルデ、そして大きく遅れたピノたちのコメントです。



ステージ優勝 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)

ツール初勝利を収めたナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)ツール初勝利を収めたナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:A.S.O.
プロキャリアで最高の勝利だ。たった2つ目なのにも関わらず!勝利を自分のやり方、つまり山岳ステージで掴みに行った。クレイジーだよ。(メイン集団と)12分差をつけた時、勝利を目指して走っていると分っていた。自分に「ステージを勝つことに集中しろ」と言い聞かせた。バレ峠の下りで(イルヌル)ザカリンを振り落とした時、決して諦めないと誓ったんだ。昨年ジロでステージ勝利を上げた時はできなかったから最後の500mは楽しめた。ステージ優勝にマイヨアポワ、そしてロマン(バルデ)はとても好調だ。

ステージ2位 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)

ペイルスルード峠を登るトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)ペイルスルード峠を登るトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO
レース終盤でチームを助ける為にも、2度と登りたくない恐ろしい登りを登るためにも逃げに乗りたかった。バレ峠はとても美しい登りだと聞いていたが、何も見えなかった。見えたのは自分の前輪だけ。大きなタイム差があり、ステージ優勝を賭けて争うと分っていた。

ステージ3位 カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)

逃げグループに入ったカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)逃げグループに入ったカルロス・ベローナ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
僕たちは逃げ集団と総合勢集団の両方に最低限残ることができた。最後にエンリク(マス)が少しタイムを失ったが、今日のステージはまあまあ楽観的に見れるんじゃないかな。難しい日になることは分っていたし、(総合勢を)登りでサポートできるよう逃げにたくさんの選手を入れておくことが重要になってくることも分っていた。だから僕らも逃げに乗ったんだ。最終的にプロトンが大きなタイム差を容認してくれ、ステージ優勝を争うことができた。一日を通して脚の調子は良かった。いつも先頭近くにいるのにブリッジをかけて戻れず、勝利を争えないんだ。それはほろ苦い悔しさがある。さっきも言ったように、自分のパフォーマンスとチームの全体的な走りには満足している。

ステージ4位 イルヌル・ザカリン(ロシア、CCCチーム)

ペイルスルード峠を2番手で登るイルヌル・ザカリン(ロシア、CCCチーム)ペイルスルード峠を2番手で登るイルヌル・ザカリン(ロシア、CCCチーム) photo:Makoto.AYANO
今日は勝利を狙えるステージの一つとして頭の中にあったんだ。僕たちは誰かを逃げに送り込みたいと思っていたし、レース前のミーティングで僕が行くことを話していた。そして実際乗ることができた。調子も良く、登りも順調だったが、下りに大きな問題があった。これが僕の課題だということは分っている。彼らの下りは速く、トライしたがナンズ・ピーターズも今日は本当に強かった。彼におめでとうと言いたい。

ステージ9位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ペイルスルード峠を登るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ペイルスルード峠を登るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto.AYANO
選手たちがお互いを見合っていた。みんな限界だったので(ペイルスルド峠の)頂上までの残り5kmを全力でいったんだ。下りはできる限り攻めた。(メイン集団に対し)40秒のアドバンテージを得られたので、良い一日になった。明日はまたハードな一日だが、それぞれのステージを各選手がどのように向き合うか見ていきたい。

ステージ10位&総合4位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

チームにとっては最高の一日だ。今ツールで初の逃げ切り、そして初勝利をナンズ(ピーターズ)は上げることができた。彼は日和見主義者でコンプレックスがない男なんだ。一方、今日の僕は落車で膝に強く打ち、痛みがあるから複雑な気持ちだ。

ステージ12位&マイヨジョーヌ アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

苦しみながらもマイヨジョーヌを守ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)苦しみながらもマイヨジョーヌを守ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
とてもタフな一日だった。序盤は逃げを行かせた。良い逃げで、最も(総合)タイムがよい選手でも17分遅れだったのでコントロールするのは簡単だった。

レース後半になるとユンボ・ヴィズマが先頭に出てレースを厳しくし始めた。彼らは先頭に出てから最後までフルガスに近いペースで走っていた。最後は最高の選手たちから離れないよう自分の走りをして、結果(マイヨジョーヌをキープ)を出した。

(トム)デュムランが猛烈なペースを刻んでいたのでついていくことができず、少しの間自分のペースで走らざるを得なかった。なんとか頑張って集団に戻り、頂上からは彼らについていくことができた。だから今日は良い一日だった。

明日は同じようなステージで、その翌日は休息日だ。だからあと1日持ちこたえることができることを願っている。何が起こるか、誰にも分からない。

ステージ13位&総合5位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

マイヨブランを着て走るエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)マイヨブランを着て走るエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
良い日だった。最後の2つの登りは本当に、本当に、本当に、本当に速かった。数字を見れば結構すごいことになってるんじゃないかな。

自分の走りには満足している。これは世界最大のレースなので簡単に勝たせてくれないし、誰も簡単には遅れない。だから総合勢とともにフィニッシュし、ログリッチや他のライバルたちからタイムを失わず済んだことに満足している。

最後の登り始めでアタックがあった時は大変だった。デュムランはとてもハードなペースで引いていたので、最後までこのペースは無理だと思い(サイクルコンピュータの)数字を見ながら走っていた。最後まであの数字で登れるわけないと知っていたからね。

自分の力と彼らのアタックを対処しようよした。すぐについていけない瞬間もあったが、登り終わりまでは追いつくと思っていた。だから自分のベストだと思う選択をし、それが上手くいったと思う。

良かったと思うべきだろうね。これは世界最大のレースだ。僕たちは本当に強い選手たちに対するリスペクトが必要だ。でも、この戦いをTVで観られたらどれだけ幸せだっただろうか!

ステージ16位&総合2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

有力集団で温存しながら登るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)有力集団で温存しながら登るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto.AYANO
簡単なステージではなかった。チームは今日も強さを示した。最後の登りでデュムランが、体調が良くないからチームの為に働くと言ってきた。彼は素晴らしい働きをしてくれ、そのおかげですぐに集団は小さくなっていった。とても強い牽引だった。高みを目指して毎日ベストを尽くそうとしている。僕はまだ良い順位にいるし、ツールはあと2週間ある。何が起きてもおかしくない。

ステージ17位&総合6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)

1級山岳ペイルスルド峠を登るナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)ら1級山岳ペイルスルド峠を登るナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)ら photo:Luca Bettini
脚の調子は良い。ステージ終盤に何度かアタックをしたが、集団が毎回追いついてきた。結局ルダンヴィエルでは総合勢と共にフィニッシュした。ライバルたちはとても強い。僕の目標はこの中でトップになることだ。今日落車しツールを去ることになったディエゴ・ローザには残念に思う。

総合争いから脱落したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)

遅れたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)らがペイルスルード峠を登る遅れたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)らがペイルスルード峠を登る photo:Makoto.AYANO
昨日のステージやオルシエール・メルレットのステージ(第4ステージ)で感じたいけるという気持ちに頼り過ぎていた。だが、それ以外は先週の土曜(第1ステージ)から抱える痛みに苦しんでいる。背中がとても痛み、ペダルを踏む力がない。

足の怪我でレースを降りたジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)

レースを降りたジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング)レースを降りたジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、NTTプロサイクリング) photo:CorVos
キツく、正直言って全くもって体調も良くなかった。序盤から痛みを抱え、レース中に良くなっていくかもしれないという希望も打ち砕かれた。50km痛みと戦っていたけれど、大きなダメージを負わないためにも、レースを降りるよりもマシな選択肢はなかった。

ポッツォ(ヴィーヴォ)の例からも分かる通りチームには闘志がみなぎっているけれど、選手誰もがこの過酷なツール・ド・フランスで戦っている。いつか僕らのチームにもチャンスが訪れることを、そして僕らのチームメイトは何か大きなものを掴むための脚が揃っていることを信じている。

もちろんそれが苦痛に耐えながらツールを戦っている理由だけれど、この先2週間以内で回復見込みのないダメージを引きずったまま走るのは得策じゃない。クラシックなど今期これから控えているレースのためにも、今は身体をリカバリーさせることが必要だ。

text:Sotaro.Arakawa

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