クリストファー・フルーム(イギリス)の獲得を発表したイスラエル・スタートアップネイションが「クリスを軸としたグランツールチームを作ることを約束する」とコメント。中東チームは山岳アシスト陣の補強を急ぐこととなる。



イスラエル・スタートアップネイションイスラエル・スタートアップネイション photo:Kei Tsuji
クリストファー・フルーム(イギリス、現チームイネオス)の電撃加入を発表したイスラエル・スタートアップネイション。豊富な資金力でチームのワールドチーム昇格を叶えた共同オーナーのシルヴァン・アダムス氏はリリースの中で、「我々はクリスを中心に据えた、協力的なグランツールチームを構築することを約束する。ツール制覇という共通した目標を達成すべく戦っていきたい」と、フルームでマイヨジョーヌ獲得を目指すことを公言した。

「2018年ジロ・デ・イタリア開幕をイスラエルに招致したこと、若きイスラエルの才能の育成、そして更に下の世代に対する動機付けなど、我々がこれまで成し遂げてきたことは誇りだ。そして今後はクリスと共に、このスポーツにおける最高レベルの戦いにチャレンジする」と言うアダムス氏。「そして彼の選手としての功績だけではなく、競技外における彼の紳士的な立ち振る舞いにも感化された。チームにおける規範になってくれるはずだ」と加えている。

「我々は2021シーズンに向けて様々な分野、特にグランツールでの総合争いに加わることを目標に強化を進めてきた。そしてマイヨジョーヌを4度獲得したクリスは、ツールで総合エースを任せるにはこれ以上ない存在だ」とチームマネージャーを務めるキエール・カールストローム氏は語る。「彼は並外れたキャリアを誇り、我々と共にさらなる総合優勝を勝ち取るための頭脳とフィジカルを備えている。そして指導者としても若い選手たちの活躍を支えてくれると信じている」と加えている。

2015年にイスラエル国内の若手育成を目的に創設されたイスラエル・スタートアップネイションは、アダムス氏の資金力を武器に増強を続け、2019年には16名を放出してダン・マーティン(アイルランド)やアンドレ・グライペル(ドイツ)、アレックス・ドーセット(イギリス)、そして解散したカチューシャ・アルペシンからリック・ツァベル&ニルス・ポリッツ(ドイツ)やダニエル・ナバロ(スペイン)らを一挙獲得し、わずか5年間でワールドチーム昇格を果たした新興勢力。現在のチーム構成はスプリンターやクラシックレーサー寄りであるため、今後はフルームの山岳アシスト獲得が焦点となる。

text:So.Isobe