ツール・ド・ランカウイ第3ステージは2日連続の集団スプリントで決着。入部正太朗(日本)らのアシストを受けたマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)が勝利を飾った。



首都クアラルンプールを目指して進むメイン集団首都クアラルンプールを目指して進むメイン集団 (c)CorVos
3日目を迎えたツール・ド・ランカウイ(UCI2.Pro)。テメルローからマレーシアの首都クアラルンプールを目指す161kmコースは基本的に平坦だが、重量級スプリンターにとっては40km手前で頂上を超える1級山岳(距離9.1km/平均勾配4.1%)を越えられるかがキーポイントだ。

スタート地点までの130km移動を挟み、現地時刻12時10分にスタートが下される。初日に逃げ切りを決めた総合首位イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース)と同2位スラキット・ブーンラタナタナコーン(タイ、タイランドコンチネンタルサイクリングチーム)以下は総合成績が僅差であるため、9.2km地点の中間スプリントでは総合上位の地元マレーシアのチーム勢が火花を散らした。

中間スプリントポイントを越えていく中間スプリントポイントを越えていく (c)CorVos
その後生まれた逃げグループに入ったのは、前日最終盤まで逃げたライリー・フィールド(オーストラリア、チームブリッジレーン)や、スプリンターのマッテオ・ペルッキ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)、総合4位のモハメドザリフ・ムハンマドヌルアイマン(マレーシア、チームサプラサイクリング)、ジョアン・ルボン(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)といった7名。集団を引き離す過程でペルッキは逃げグループから離れ、残る6名はヴィノ・アスタナモータース率いるメイン集団から約3分半差を得て巡行体制に入った。

後半の1級山岳「ゲンティン・センパー(ゲンティンハイランドではなく、その玄関口として知られる峠)」に差し掛かるとメイン集団ではアンドローニジョカトリ・シデルメクがペースアップを行い、前日3位のジェレミー・ルクロック(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)らスプリンターが脱落。NTTプロサイクリングのスプリントエースを担うマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ)も遅れかけたが、チームメイトのアシストを受けて無事に集団復帰を果たしている。

ここから全日本王者の入部正太朗を含むNTTプロサイクリングが集団のペースを上げ、残り2km地点で粘り強く逃げ続けていたメンバーを引き戻す。アシストを使い切ったヴァルシャイドが単独になり、リカルド・ミナーリ(イタリア)をエースに据えるNIPPOデルコ・ワンプロヴァンス優勢でスプリント勝負が始まった。

ようやく勝利を射止めたマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)ようやく勝利を射止めたマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング) (c)CorVos
ステージトップスリーが表彰を受けるステージトップスリーが表彰を受ける (c)CorVos
クアラルンプールのランドマークである、ペトロナスツインタワーの真下で繰り広げられたスピード勝負。ドゥシャン・ラヨヴィッチ(セルビア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)がミナーリを解き放ったが、その背後に滑り込んだヴァルシャイドが残り100mから腰を上げる。急加速したヴァルシャイドがミナーリを追い抜き、アフメト・オーケン(トルコ、チームサプラサイクリング)の追い上げを交わして勝利した。

ランカウイ開幕前のクリテリウムで勝利しながら、初日には逃げ切りを許し、前日も2位に終わったヴァルシャイドが3度目の正直で今季UCIレース初勝利。「とてもハードだった。特に最後の登りでは集団に留まるためにすごく追い込んだ。登りの最後では若干遅れてしまったけれど、チームは一丸となって僕を引き戻してくれた。彼らの素晴らしい仕事ぶりを誇りに思うよ。最後は1人でスプリントになったけれど、チームの働きに報いることができてスーパーハッピーだ」と喜びを語っている。

翌日は今大会最大の山場である超級山岳ゲンティンハイランドを目指すクイーンステージ。最終的な総合成績を決める激しい登坂勝負が繰り広げられる。
ツール・ド・ランカウイ2020 第3ステージ結果
1位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング) 3:51:42
2位 リカルド・ミナーリ(イタリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)
3位 アフメト・オーケン(トルコ、チームサプラサイクリング)
4位 ジョルジオウス・ボグラス(ギリシャ、SSIOSミオジーサイクリングチーム)
5位 ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
6位 アレクサンダー・コーワン(カナダ、ワイルドライフ・ジェネレーションプロサイクリング)
7位 ジャマリディン・ノヴァルディアント(インドネシア、Pgnロードサイクリングチーム)
8位 ルーカ・パチオーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
9位 アブドルハリル・モハマドイザットヒルミ(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)
10位 トリスタン・ワード(オーストラリア、チームブリッジレーン)
個人総合成績
1位 イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース) 9:47:56
2位 スラキット・ブーンラタナタナコーン(タイ、タイランドコンチネンタルサイクリングチーム) 0:09
3位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング) 1:17
4位 アフメト・オーケン(トルコ、チームサプラサイクリング) 1:22
5位 モハメドザリフ・ムハンマドヌルアイマン(マレーシア、チームサプラサイクリング)
6位 タジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト) 1:23
7位 ベルナルド・ファンアールト(インドネシア、Pgnロードサイクリングチーム) 1:27
8位 ジョルジオウス・ボグラス(ギリシャ、SSIOSミオジーサイクリングチーム) 1:28
9位 ライリー・フィールド(オーストラリア、チームブリッジレーン) 1:29
10位 アイマン・チャフヤディ(シンガポール、Pgnロードサイクリングチーム) 1:32
その他の特別賞
text:So.Isobe
photo:CorVos

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