ツール・ド・フランスでステージ通算30勝を飾り、スプリンターとして一時代を築いたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がバーレーン・メリダに移籍する。数シーズン低迷の続いた34歳の「マン島の超特急」が旧知のスタッフがいる新天地での復活を目指す。


マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) photo:LaPresse - Ferrari / Paolone
「このチームへの加入は長期的な野望の第一歩。とても興奮しているし、高いモチベーションを得ている。まるで夢が叶ったと言ってもいいだろう」。4年間在籍したディメンションデータを離れ、バーレーン・メリダに移籍することを発表したカヴェンディッシュは満足感溢れるコメントを残している。

カヴェンディッシュは新たにチーム代表に就任したロッド・エリングワース氏と再びタッグを組むことになる。カヴェンディッシュはエリングワース代表のコーチングを受けていた2011年にロード世界選手権コペンハーゲン大会で優勝。互いをよく知る存在であり、さらにマクラーレン社のチーム合流が移籍の背中を押した。「過去にもマクラーレンと協力した経験から、彼らのテクノロジーやプロセスの優位性を知っている。これは絶好の機会だと感じた。ロッド(エリングワース)との関係は深く、選手として、人間としての成長に彼は欠かせない存在だった。チームメイトたちと顔を合わすのが待ち遠しい。必ずやってくる成功に向けて全力を尽くしたい」。

2007年にTモバイルでプロ入りし、ツールでステージ通算30勝、ジロ・デ・イタリアでステージ15勝、ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ3勝、さらにロード世界選手権やミラノ〜サンレモで優勝を飾っているカヴェンディッシュ。2010年前後にかけて世界トップスプリンターとしての名をほしいままにした。

2017年ツール・ド・フランス 右手を負傷したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)がフィニッシュ2017年ツール・ド・フランス 右手を負傷したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)がフィニッシュ photo:Kei Tsuji / TDWsportカヴェンディッシュはディメンションデータに移籍した2016年のツールでステージ4勝を飾ってマイヨジョーヌを着たものの、そのシーズンを最後に低迷してしまう。相次ぐ落車に見舞われ、さらに2017年には伝染性単核球症を患っていることを発表。2019年はグランツール出場もなく、シーズン0勝に終わっている。最後の勝利は2018年2月ドバイツアーのステージ優勝まで遡る。

「マークの契約により2020年の布陣が固まった。勝つためのバランスが整ったと言える」と語るのはバーレーン・メリダのエリングワース代表。「マークは真のチャンピオンであり、レース以外の面でも大きく貢献する存在になる。彼とタッグを組むのは2016年リオ五輪とカタールでの世界選手権以来となる。彼は今まで以上に勝利へのエネルギーとやる気にみなぎっている。彼が最高の力を発揮できるよう、チームとして力を尽くしたい」。

新城幸也が契約延長を行なったバーレーン・メリダはカヴェンディッシュの他にもミケル・ランダ(スペイン)やワウト・プールス(オランダ)、ペリョ・ビルバオ(スペイン)、エロス・カペッキ(イタリア)、ラファエル・バルス(スペイン)、マルコ・ハラー(オーストリア)らを新たに獲得。カヴェンディッシュはソンニ・コルブレッリ(イタリア)やフィル・バウハウス(ドイツ)らとともにスプリントに挑むことになりそうだ。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

text:Kei Tsuji