第74回国民体育大会が茨城県で開幕。自転車競技の初日はつくば市でロードレースが行われた。成年男子は山梨県の武山晃輔、少年男子は奈良県の岩田聖矢が優勝。今回初開催となる女子のロードレースは、徳島県の川上唯が優勝した。


雲が多い1日 筑波山は姿をはっきり見せず雲が多い1日 筑波山は姿をはっきり見せず photo:Satoru Kato
スタートセレモニーで子供達のダンスが披露されたスタートセレモニーで子供達のダンスが披露された photo:Satoru KatoいばラッキーのBBアートいばラッキーのBBアート photo:Satoru Kato

都道府県対抗で行われる国民体育大会=国体の今年の開催地は茨城県。自転車競技は9月29日に開幕。初日はつくば市でのロードレース、9月30日から10月3日の4日間は取手市の取手競輪場でトラック競技が行われる。

ロードレースのコースは、「つくばウェルネスパーク」をスタート/フィニッシュ地点とし、筑波山を望む周辺の公道に設定された1周11.5km。若干の起伏はあるものの、ほぼフラットと言ってよいコース設定だ。

今年のトピックは、初めて女子のロードレースが開催されたことだろう。2016年の岩手大会から女子種目が加わったが、ロードレースは男子のみとなっていた。今回女子のロードレースが開催されたことで、ようやく男女の機会均等がなされたと言えよう。

この日のつくば市は雲が多めながら時折陽が差す天気。9月末ながら夏を思わせるような湿度の高い暑さの中でのレースとなった。


女子国体ロード初代チャンピオンは川上唯

女子 茨城代表の梶原悠未を先頭にスタート女子 茨城代表の梶原悠未を先頭にスタート photo:Satoru Kato
女子 唐見実世子(広島県)や伊藤優以(兵庫県)らが集団前方で動く女子 唐見実世子(広島県)や伊藤優以(兵庫県)らが集団前方で動く photo:Satoru Kato女子2周目 池上あかり(福岡県)と菅原朱音(鳥取県)が先行女子2周目 池上あかり(福岡県)と菅原朱音(鳥取県)が先行 photo:Satoru Kato

茨城国体自転車競技の最初の種目は、初開催の女子ロードレース。エリートから高校生まで、各県1名ずつ計31名が出走。開催地茨城県の梶原悠未、鹿児島県の上野みなみ、Jフェミニンツアーで走る唐見実世子(広島県)や、伊藤優以(兵庫県)らが出場した。

4周46kmのレースは序盤から集団で進行。集団前方で唐見や伊藤が動き、2周目には池上あかり(福岡県、早稲田大学)と菅原朱音(鳥取県、八戸学院大学)らが飛び出すも、ほどなく吸収される。

女子最終周回 梶原悠未(茨城県)が前に出る女子最終周回 梶原悠未(茨城県)が前に出る photo:Satoru Kato女子最終周回 後方集団から先行する4名は見える範囲だが追走の足並みが揃わず女子最終周回 後方集団から先行する4名は見える範囲だが追走の足並みが揃わず photo:Satoru Kato

女子 川上唯(徳島県)が優勝女子 川上唯(徳島県)が優勝 photo:Satoru Kato
決定的な動きがないまま迎えた最終周回、 川上唯(徳島県)、今西瑠花(奈良県、榛生昇陽高校)、石田唯(京都府、北桑田高校)、大蔵こころ(愛媛県、松山城南高校)の4名が先行。15秒ほどまで差が開く。お見合い状態となったメイン集団から、伊藤優以(兵庫県)が追走して合流。5名となった先頭集団はそのまま逃げ切り、スプリントを制した川上が優勝。女子国体ロード初代チャンピオンとなった。

女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru Kato川上唯コメント
「あれ?という感じで逃げが決まってしまって、乗っかってしまったという感じでした。高校生ばかりの集団でしたが、あとから合流してきた伊藤優以さんとあわせてこのまま行こうという雰囲気でした。最後は伊藤さんに続いてスプリントに入りましたが、勝ちを意識することはなくて、そのままでも(入賞なので)良いと思っていました。うまく言えないけれど、まさか国体で勝てるなんて・・・という感じです。明日からのトラック競技はチームスプリントとスクラッチに出るので、そちらも頑張ります」
女子 結果(46km)
1位 川上 唯(徳島県) 1時間9分16秒
2位 伊藤優以(兵庫県)
3位 今西瑠花(奈良県、榛生昇陽高校) 1時間9分17秒
4位 石田 唯(京都府、北桑田高校) 1時間9分18秒
5位 大蔵こころ(愛媛県、松山城南高校)
6位 梶原悠未(茨城県、筑波大学) 1時間9分21秒
7位 上野みなみ(鹿児島県、シエルブルー鹿屋) 1時間9分23秒
8位 中村愛花(福井県、日本体育大学)


成年男子 武山晃輔が2度目の国体ロード制覇

成年男子 スタート成年男子 スタート photo:Satoru Kato
成年男子 中島康晴(福井県)、石原悠希(栃木県)を先頭に進む先頭集団成年男子 中島康晴(福井県)、石原悠希(栃木県)を先頭に進む先頭集団 photo:Satoru Kato
男子エリート+U23に相当する成年男子は、10周115kmで行われた。パレードなしでスタートしたレースは、直後からアタックが繰り返されるも決定的な動きがないまま進行していく。

レースが後半に入ると、18名の集団が先行。窪木一茂(福島県)、孫崎大樹(京都府)、中島康晴(福井県)、狩野智也(群馬県)、渡邊翔太郎(岐阜)、武山晃輔(山梨県)らを含む強力な先頭集団は、後続に1分近い差をつけて逃げる。メイン集団は人数を減らしながらも、岡本隼(和歌山県)らが前を追おうとするが、足並みが揃わずタイム差が縮まらない。

成年男子 岡本隼(和歌山県)を先頭に前を追うメイン集団成年男子 岡本隼(和歌山県)を先頭に前を追うメイン集団 photo:Satoru Kato成年男子 残り2km 仕掛けどころを探って牽制する先頭集団成年男子 残り2km 仕掛けどころを探って牽制する先頭集団 photo:Satoru Kato

成年男子 武山晃輔(山梨県)が優勝成年男子 武山晃輔(山梨県)が優勝 photo:Satoru Kato
先頭集団は最終周回までに10名まで絞られるも、メイン集団との差は1分以上までに開く。残り2kmをすぎると勝負を意識した牽制が始まり、それまで協調してローテーションを回してきた先頭集団が蛇行を始める。残り1km、先頭集団のペースが緩んで横に広がった一瞬を突いて武山がアタック。反応が遅れた窪木や中島が追うも捕まえ切れず、武山が逃げ切り勝ち。2016年の岩手国体以来となる国体ロード優勝を決めた。

成年男子 表彰式成年男子 表彰式 photo:Satoru Kato武山晃輔コメント
「気づいたら分裂するような形で先行する集団が出来ていた。メンツも良く、ハイペースで協調して回していくことで意思疎通が出来ていた集団だったので、後ろとのギャップを稼いでいけた。ド平坦のレースだったけれど、残り2周から足の調子がそれほど良くなく、しかけるタイミングは絞っていかないとと考えていた。スプリントになったら窪木さんらに勝てる自信は無かったし、入賞を狙うかワンチャンに賭けるか考え、自分の勝ちパターンでまとめることが出来た。

全日本、インカレ、国体と優勝出来たが、取らなければいけない大会でしっかり勝ててこれたので、やるべきことはやれたと一安心している。トラック競技はポイントレースとチームパーシュートに出場する予定。明日1日しっかり休んで、積極的にしっかり走れるようにしたい」


成年男子 結果(115km)
1位 武山晃輔(山梨県、日本大学) 2時間29分33秒
2位 窪木一茂(福島県、チームブリヂストンサイクリング) 2時間29分34秒
3位 中島康晴(福井県、キナンサイクリングチーム)
4位 孫崎大樹(京都府、チームブリヂストンサイクリング)
5位 近谷 涼(富山県、チームブリヂストンサイクリング) 2時間29分35秒
6位 當原隼人(沖縄県、日本体育大学)
7位 渡邊翔太郎(岐阜県、愛三工業レーシングチーム)
8位 奥村十夢(奈良県、中央大学)


少年男子 岩田聖矢が優勝

少年男子 スタート少年男子 スタート photo:Satoru Kato
少年男子 序盤に形成された7名の先頭集団少年男子 序盤に形成された7名の先頭集団 photo:Satoru Kato少年男子 残り2周 7名の先頭集団から飛び出す岩田聖矢(奈良県)と寺田吉騎(静岡県)少年男子 残り2周 7名の先頭集団から飛び出す岩田聖矢(奈良県)と寺田吉騎(静岡県) photo:Satoru Kato

高校生がメインとなる少年男子は8周92kmで行われた。序盤から7名の集団が先行し、タイム差を徐々に広げていく。追走の足並みが揃わないこともあってレース終盤には1分30秒以上の差となり、勝負は7名に絞られる。最終周回に入る直前、岩田聖矢(奈良県)と寺田吉騎(静岡県)の2人が先行。これで先頭集団は解体され、岩田と寺田でフィニッシュを目指す。最後は1対1のスプリント勝負となり、岩田が先着して優勝した。

少年男子 岩田聖矢(奈良県)が優勝少年男子 岩田聖矢(奈良県)が優勝 photo:Satoru Kato
少年男子 表彰式少年男子 表彰式 photo:Satoru Kato岩田聖矢 コメント「最初に出来た7名の逃げメンバーが厚かったので、ラスト3周くらいから入賞は確定かなと思っていた。でも昨年は3位で今年は優勝したかったので、自分から仕掛けて人数を絞った。でも残ったのがスプリントに強い寺田さんだったので、スプリント勝負には持ち込みたくなかった。でも声援が聞こえてきて、足がつりながらだったけれど最後ギリギリで差し切れた。

来年はU17に上がるので、全日本で津田(悠義)君に勝ちたい」
少年男子 結果(92km)
1位 岩田聖矢(奈良県、榛生昇陽高校) 2時間4分57秒
2位 寺田吉騎(静岡県、磐田北高校) 2時間4分58秒
3位 五十嵐洸太(神奈川県、横浜高校) 2時間5分45秒
4位 天野壮悠(大阪府、千里高校)
5位 堀川敬太郎(福岡県、祐誠高校) 2時間6分21秒
6位 大河内将泰(鹿児島県、南大隅高校) 2時間6分21秒
7位 北宅柊麻(愛媛県、松山城南高校) 2時間6分24秒
8位 邊見竜馬(福島県、石川高校) 2時間6分42秒
text&photo:Satoru Kato