沖縄県で開催された今年のインターハイ。最終日は、「ツール・ド・おきなわ」でおなじみの名護市と東村にまたがるコースで男女のロードレースが行われた。男子はスプリント勝負を制した美甘星次郎(倉吉総産高校)が初優勝。女子は渡部春雅(駒澤大学高校)が独走逃げ切りで連覇を達成した。レースのダイジェストと優勝選手のコメントを紹介する。


スタートしていく男子スタートしていく男子 photo:Satoru Kato名護市中央会館に設置された大型モニターでコース途中の映像に見入る観客名護市中央会館に設置された大型モニターでコース途中の映像に見入る観客 photo:Satoru Kato

3日間のトラック競技を終え、4日目の最終日はロードレース。前日までの南国の青空は一変し、朝から断続的に雨が降り続ける中でのレースとなった。

コースは、「ツール・ド・おきなわ」と同じ名護市民会館前をスタート/フィニッシュとし、「おきなわ」の終盤と序盤を組み合わせて逆回りにした設定。序盤から登りと曲がりくねった下りコーナーが続き、パワーとテクニックが要求される。男子は羽地ダムを通ってコースの一部を2回通過する94.3km。女子は羽地ダムを通らない51.5kmで行われた。


男子 20名のスプリント勝負を制した美甘星次郎が初優勝

男子 豪雨の中スプリント勝負男子 豪雨の中スプリント勝負 photo:Satoru Kato
男子 美甘星次郎(倉吉総産高校)がスプリントを制して優勝男子 美甘星次郎(倉吉総産高校)がスプリントを制して優勝 photo:Satoru Kato
142名が出走した男子。レース中盤、トラック競技の3kmインディビデュアル・パーシュート決勝で対戦した山田拓海(飯田風越高校、長野)と安達光伸(岐南工業高校、岐阜)の2人が、後続に1分50秒差をつけて逃げる。

残り30kmを過ぎたあたりで雨が強くなり、雷が鳴り始めたことから、およそ20分間レースが中断される。山田と安達の逃げでレースが再開されると、残り20km過ぎからメイン集団が一気に差を縮めはじめる。昨年優勝の川崎三織(栄北高校、埼玉)らを含むメイン集団は、残り10kmを切ったところで10秒前後まで詰め寄り、平坦区間に入ったところで逃げる2人を吸収する。

20人となった先頭集団は残り1kmのストレートに入り、フィニッシュに合わせたかのように激しくなった雨の中スプリント勝負へ。残り200mから仕掛けたという美甘(みかも)星次郎(倉吉総産高校、鳥取)がガッツポーズを決めてフィニッシュに飛び込んだ。

美甘星次郎「残り500mで色々なことが頭を駆け巡った」

男子 表彰式男子 表彰式 photo:Satoru Kato「登りがきついことは分かっていましたが、下りが思ったより怖くて車間が空いてしまうことあり、なるべく前で展開出来るように位置取りに気をつけて走りました。

僕はそれほど力がないので、最後はゼッケン1桁の人たち(昨年の上位勢)の動きを見ながら、残り500mまでしっかりついて行くことを考えていました。マークしていた大河内(将泰、南大隅高校)選手が、フィニッシュ手前で落車してしまったのでちょっとパニックになりましたが、気持ちを切り替えて足をためることに集中しました。

最後は牽制が入って誰も行く気配がなかったので、左側から出てくる選手だけを見られる位置につけて残り200mから仕掛けました。抜け出せたけれど最後にやられるかもと思い、最後まで我慢でした。スプリントは得意というわけではないのですが、スプリント系の練習をしていたことが発揮できたのかなと思います。

母と優勝を喜ぶ美甘星次郎(倉吉総産高校)母と優勝を喜ぶ美甘星次郎(倉吉総産高校) photo:Satoru Katoインターハイは今回初めて出場しました。トラックは団抜き(チーム・パーシュート)と4速(4km速度競走)に出場しましたが、どちらも入賞までいかず、4速は予選落ちでした。ロードは完走できればいいなと思っていたので、勝てるとは思ってもいませんでした。それでも最後の先頭集団に残って、残り500mまで来た時には「もしかしたら行けるかも?」と思って色々なことが頭を巡りました。

次は都道府県対抗に出る予定ですが、出るレースは全て全力を出せるようにしたいです」


女子 渡部春雅が独走逃げ切りで連覇 ポイントレースと合わせて2冠

女子 スタート女子 スタート photo:Satoru Kato
女子 渡部春雅(駒澤大学高校)が独走逃げ切りで連覇女子 渡部春雅(駒澤大学高校)が独走逃げ切りで連覇 photo:Satoru Kato
女子は40人が出走。序盤から昨年優勝の渡部春雅(駒澤大学高校、東京)、石田唯(北桑田高校、京都)の2人が先行。コース中盤の登りで石田が遅れ、渡部が独走状態に入る。遅れた石田と阿南里奈(別府翔青高校、大分)の2人が合流するが、渡部との差は2分から3分と広がる。自分のペースで走ったという渡部は、後続との差を5分まで差を広げてフィニッシュ。インターハイロード2連覇を達成し、前日のポイントレースと合わせて2冠を達成した。

渡部春雅「ひとつひとつのレースを大切に、自分の走りが出来るようにしたい」

「石田選手が登りで強いので、一緒に逃げられたらいいなと考えていました。その通りの展開になり、ふたつ目の長い登りに入ってペースで登っていったら石田さんが離れていったので、ここで行くしかないと思ってガンガン行きました。後ろとのタイム差が分からなくて、石田さんと阿南さんがくっついたことも知らなかったので、とにかく後ろに追いつかれないようにと考えて走りました。天気が良くなかったですが、いろんな状況で試合はあるので、良い経験になったと思います。

女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru Kato女子優勝の渡部春雅(駒澤大学高校・左)と、2位の石田唯(北桑田高校)共に2年生女子優勝の渡部春雅(駒澤大学高校・左)と、2位の石田唯(北桑田高校)共に2年生 photo:Satoru Kato

ポイントレースは昨日のことなので、今日はロードに集中しようと思っていたので、2冠は意識していませんでした。終わっていろんな人に「2冠取れたね」と言われて実感が湧いてきました。

明後日(8月4日)は白馬でMTBのジュニアオリンピックカップに出場し、11月のツール・ド・おきなわの女子国際に今年も出場します。ジュニアギアの制限があるので、登りに入る前に足を使って千切れてしまったので、今年はもうちょっとうまく走りたいです。一つ一つのレースを大切に、自分の走りが出来るようにして行きたいです」


男子 ロードレース総合優勝は榛生昇陽高校男子 ロードレース総合優勝は榛生昇陽高校 photo:Satoru Kato自転車競技総合優勝は松山城南高校自転車競技総合優勝は松山城南高校 photo:Satoru Kato

2019年のインターハイ自転車競技の全日程が終了。ロードレースとトラック競技を合わせた学校対抗の総合成績は、トラック競技でのトップを松山城南高校が守りきって優勝。トラック競技の団体種目で優勝した岐南工業高校と、福井県立科学技術高校が2位、3位と続いた。

来年のインターハイは石川県で開催される。
男子個人ロードレース 結果(94.3km)
1位 美甘星次郎(倉吉総合産業高校、鳥取) 2時間30分34秒4
2位 高原令伍(榛生昇陽高校、奈良) 2時間30分34秒4
3位 川崎三織(栄北高校、埼玉) 2時間30分34秒5
4位 武 チュール(東北高校、宮城) 2時間30分34秒5
5位 留目夕陽(八王子桑志高校、東京) 2時間30分34秒7
6位 北村翔太(前橋工業高校、群馬) 2時間30分34秒8
7位 渡邉諒馬(松山城南高校、愛媛) 2時間30分34秒8
8位 五十嵐洸太(横浜高校、神奈川) 2時間30分34秒8
完走37名
女子個人ロードレース 結果(51.5km)
1位 渡部春雅(駒澤大学高校、東京) 1時間32分45秒6
2位 石田 唯(北桑田高校、京都) 1時間37分35秒4
3位 阿南里奈(別府翔青高校、大分) 1時間37分38秒4
4位 大蔵こころ(松山城南高校、愛媛) 1時間39分17秒1
5位 若原梨々花(岐阜第一高校、岐阜) 1時間39分17秒2
6位 片山葉月(奈良北高校、奈良) 1時間39分17秒5
7位 若子内凛(盛岡農業高校、岩手) 1時間39分17秒6
8位 五島 宝(福井坂井高校、福井) 1時間32分45秒6
完走14名
ロードレース総合成績
1位 榛生昇陽高校(奈良) 24点
2位 倉吉総合産業高校(鳥取) 20点
3位 栄北高校(埼玉) 16点
総合成績
1位 松山城南高校(愛媛) 29点
2位 岐南工業高校(岐阜) 24点
3位 福井県立科学技術高校(福井) 23点
text&photo:Satoru Kato
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