「逃げ切りの可能性はないと思っていたが、できるかぎり逃げたい、ゴールから近い位置で捕まりたいと考えながら走り続けた」と語るのは、144kmを単独で逃げた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)。降格処分に対するガビリアやヴィヴィアーニらのコメントと合わせて紹介します。



144kmの単独エスケープを行った初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)

フィニッシュ地点で坂本拓也マッサーに迎えられる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)フィニッシュ地点で坂本拓也マッサーに迎えられる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
監督のマリオからは「逃げに乗れ」と言われていた。昨日も同じオーダーが自分とチーマに出ており、昨日はチーマが乗ったので、今日はお前が行け!という感じだった。風もあったので集団にいてもラクではないと思っていたので、スタート直後からアタックを仕掛けた。誰も付いてこなかったので、タイム差が1分ほど開いたところで少し後ろを待ったが、誰も来ず、これはもう一人で行くしかないと思った。

この状況で逃げ切りの可能性はないと思っていたが、できるかぎり逃げたい、ゴールから近い位置で捕まりたいと考えながら走り続けた。無茶に踏んでいっても、捕まることはわかっていたし、今日のゴールまでの展開や、まだ3週間レースが続くということも考慮して無理をしない程度に温存しながら走った。今日、逃げに乗れたことは良かった。思った以上の反応をいただいていて嬉しく思う。明日からもエネルギーを温存できるところはとことん温存しながら、逃げなのか、何かできることをしたい。今日1日で3週間分の仕事をしたとは思っていないので、また明日からも引き続き頑張りたいと思う。

ステージ優勝:フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

マリアチクラミーノを獲得したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)に笑顔はなしマリアチクラミーノを獲得したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)に笑顔はなし photo:Kei Tsuji
僕の望んだ勝ち方ではないし、だからこそポディウムでは手を挙げなかった。僕の考えでは勝者はヴィヴィアーニ。彼は自分のスプリントをしただけで、アッカーマンの背後からまっすぐ仕掛けていたんだ。降格処分によって自分が勝者となるのは初めての経験だけど、特にスプリント勝負ではたまに起こること。結果を抜きにすればチームとしての働きはパーフェクトだったし、できるだけ早く正攻法で勝利を収めたいと思う。

降格処分が与えられたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)

先着したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が両手を離す先着したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が両手を離す photo:Kei Tsuji
主催者決定に対して非常に落ち込んでいる。昨日はミスを犯してしまったので今日はベストを尽くそうと思っていた。リプレイでも僕の背後で何人ものスプリンターがラインをクロスさせているのが見えるはず。チームはよくやってくれたし彼らの働きを誇りに思う。今日は向かい風のスプリントだったのでなるべくタイミングを待って仕掛けたんだ。勝利したはずだったのでとても嬉しかったけれど、今僕としては早くこの(イタリアチャンピオン)ジャージを表彰台の一番高いところへと連れて行きたい気持ちだ。

ステージ3位:パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)

チームとして良い働きができたと思うけれど、向かい風の中で仕掛けるタイミングが早すぎた。結果的に3位となったけれど、満足できる結果だと思う。まだまだステージ優勝のチャンスがある。良い勝負をしたい。

パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)の後ろからエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が出るパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)の後ろからエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が出る photo:Kei Tsuji
ステージ4位:マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード

自分のスプリントに満足しているよ。今日はトップ3にも食い込める脚があったと思う。今日は満足だけど、昨日はバッドデイで昨晩は本当に落ち込んでいたんだ。他のスプリンターたちはあまりにも強く"ジロに出場したのは間違いだった"と思うほどだったけど、今は昨日が単にバッドデイだったと思えている。世界屈指のスプリンターによる争いでも勝負に絡めるということを実証できた。

ステージ5位:ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)

今日もまた長く混沌とした1日だった。最終盤のトリッキーなシケインはうまく回避できたけれど、スプリントでは何度もラインが交錯していたので数回脚を止めては踏み直すの繰り返しだった。自分の力を示したかったので残念だが、確実に昨日よりはフィーリングも良い。

総合首位、マリアローザ:プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)

マリアローザを守ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)マリアローザを守ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji
今日は逃げがたった一人だった分、レースコントロールもイージーだった。強風吹き付けるコンディションだったのでエシュロンが発生しそうな状況では十分に警戒していた。僕らはオランダチームなので横風への対処法は身に沁みてわかっている。終盤はいつも通りストレスフルだったがチームは僕をパーフェクトに守ってくれた。傷一つつくことなく1日を走りきれたよ。

総合2位:サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

今日も長い1日ではあったものの、自分にとっては特に何も起こらなかった。予想通り横風区間が多かったものの、総合上位陣が分断されるような事態には繋がらなかった。どちらかというと追い風寄りの横風だったことが理由だと思う。チームメイトたちの働きはパーフェクトで、1日を通して前から20番手以内をキープできた。僕自身は横風を感じないほど完璧にアシストしてもらえたんだ。


text:So.Isobe