8月12日にスコットランドのグラスゴーにて開催されたヨーロッパ選手権で、マチュー・ファンデルポール(オランダ)とワウト・ヴァンアールト(ベルギー)を下したマッテーオ・トレンティン(イタリア)が勝利。イタリアは男女2冠を達成した。
ジョン・デゲンコルブを主軸に据えたドイツナショナルチーム (c)CorVos
オランダ王者マチュー・ファンデルポールらが紹介を受ける (c)CorVos
雨に濡れるグラスゴー市街地 (c)CorVos
8月2日から12日までの10日間、英国スコットランド南西部のグラスゴーにて、陸上競技や水泳、自転車競技、ゴルフ、体操、ボート、トライアスロンからなる計7競技185試合で開催されたヨーロッパ選手権。
最終日に開催された男子ロードレースは市民の憩いの場として親しまれる「グラスゴーグリーン」を発着する230.4kmで、最大標高差は40mほどとコースの難易度は高くない。ただし鋭角コーナーを多く含む市街地コースはスコットランド名物の雨雲によって濡れ、落車が多発するサバイバルレースが展開されることとなった。
序盤の逃げに乗ったのはマティアス・クリセク(オーストリア)や、今年のツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝を挙げているスプリンターのミッケル・ライム(エストニア)といった面々。メイン集団から5分程度の猶予を得たエスケープが逃げ、中盤からイタリアやフランス、ベルギーなど強豪国がペースメイクを行う展開で進んだ。
世界王者ペテル・サガン(スロバキア)は、中盤にツール・ド・フランスでのダメージを拭いきれずリタイア (c)CorVos
集団内で走るワウト・ヴァンアールト(ベルギー) (c)CorVos
登坂でのペースアップにジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が苦しむ (c)CorVos
すると横風による集団分裂が発生し、昨年覇者アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が脱落。ナショナルチーム用のアルカンシエルを用意して臨んだ世界王者ペテル・サガン(スロバキア)もツール・ド・フランスでの落車ダメージを拭いきれず、「後半になって痛みが増してきたのでリタイアするのが最良の選択だった」と途中でレースを降りている。
100kmを残して逃げグループが吸収されると、移籍市場を賑わせているワウト・ヴァンアールト(ベルギー)や、サンドロ・メウリーズ(ベルギー)、マチュー・ファンデルポール(オランダ)、マウリツ・ラメルティンク(オランダ)、ニコ・デンツ(ドイツ)、マッテーオ・トレンティン(イタリア)、ダヴィデ・チモライ(イタリア)、ピエールリュク・ペリション(フランス)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス)、エミルス・リーペンス(ラトビア)という各チームのエース級を含む強力な10名が先行。強豪国の多くがメンバーを送り込んだことでメイン集団のペースは上がらず、結局先頭グループに追いつくことは無かった。
雨に濡れたグラスゴー市街地を駆け抜ける (c)CorVos
2分のリードを得た逃げグループは残り10km。優勝に向けた争いが始まろうとしたそのタイミングで、雨に濡れた直角右コーナーでアルバジーニとラメルティンク、デンツ、そしてメウリーズがクラッシュ。低速での落車だったため各選手に深刻なダメージは無かったが、優勝候補の一角だったアルバジーニが脱落。メウリーズのみが復帰に成功し、イタリアとベルギーが2名づつ有した状況でフィニッシュラインを目指した。
復帰に力を使ったメウリーズはヴァンアールトの発射台を務められずに遅れ、残り300mの最終コーナーを抜けるとトレンティンのためにチモライがリードアウトを開始する。タイミングを見計らったトレンティンが仕掛け、ファンアールトとファンデルポールが追従。サバイバルレースで強さを見せるクラシックレーサーによる三つ巴のスプリント勝負は、最後まで先頭を譲らなかったトレンティンに軍配が下った。
逃げ集団のスプリントを制したマッテーオ・トレンティン(イタリア) (c)CorVos
喜びを爆発させるマッテーオ・トレンティン(イタリア) (c)CorVos
放心状態のマチュー・ファンデルポール(オランダ) (c)CorVos
「信じられない。ここ最近苦しんでいたことを考えれば本当に信じられない勝利だよ!最高の一日だ。僕のサポートをしてくれた全ての人に感謝したい」とは、フィニッシュ直後にチモライに駆け寄ったトレンティン。今年は新天地を求めてクイックステップフロアーズからミッチェルトン・スコットに移籍したものの、パリ〜ルーベでの落車によって背骨を骨折。早いタイミングで戦列復帰したものの本調子とはならず、苦しい時期が続いていた中での勝利だった。
「リスクを背負いたくなかったのでずっと集団前方で展開していたことが味方になった。悪天候がレースを厳しくしたけれど、チームとして最善を尽くすことができた。落車の瞬間も前方にいたことで助かったし、チモライも切り抜けてくれて本当に良かった。スプリントではチモライにリードアウトを頼み、彼は見事にやってのけてくれた。とにかくこの勝利はイタリアチームの力を結集して生まれたものだ」と、今後12ヶ月ヨーロッパチャンピオンジャージを着ることになったトレンティンは言う。新ジャージ姿のお披露目は1週間後のユーロアイズクラシック・ハンブルク(UCIワールドツアー)となる見込みだ。
ヨーロッパ選手権2018表彰台。マッテーオ・トレンティン(イタリア)の両脇はマチュー・ファンデルポール(オランダ)とワウト・ヴァンアールト(ベルギー) (c)CorVos
また、先立って行われた女子レースでは集団スプリントを制したマルタ・バスティアネッリ(イタリア)が勝利しており、イタリアチームは男女2冠を達成。個人タイムトライアルでは男子がヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)、女子はエレン・ファンダイク(オランダ)が制している。



8月2日から12日までの10日間、英国スコットランド南西部のグラスゴーにて、陸上競技や水泳、自転車競技、ゴルフ、体操、ボート、トライアスロンからなる計7競技185試合で開催されたヨーロッパ選手権。
最終日に開催された男子ロードレースは市民の憩いの場として親しまれる「グラスゴーグリーン」を発着する230.4kmで、最大標高差は40mほどとコースの難易度は高くない。ただし鋭角コーナーを多く含む市街地コースはスコットランド名物の雨雲によって濡れ、落車が多発するサバイバルレースが展開されることとなった。
序盤の逃げに乗ったのはマティアス・クリセク(オーストリア)や、今年のツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝を挙げているスプリンターのミッケル・ライム(エストニア)といった面々。メイン集団から5分程度の猶予を得たエスケープが逃げ、中盤からイタリアやフランス、ベルギーなど強豪国がペースメイクを行う展開で進んだ。



すると横風による集団分裂が発生し、昨年覇者アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が脱落。ナショナルチーム用のアルカンシエルを用意して臨んだ世界王者ペテル・サガン(スロバキア)もツール・ド・フランスでの落車ダメージを拭いきれず、「後半になって痛みが増してきたのでリタイアするのが最良の選択だった」と途中でレースを降りている。
100kmを残して逃げグループが吸収されると、移籍市場を賑わせているワウト・ヴァンアールト(ベルギー)や、サンドロ・メウリーズ(ベルギー)、マチュー・ファンデルポール(オランダ)、マウリツ・ラメルティンク(オランダ)、ニコ・デンツ(ドイツ)、マッテーオ・トレンティン(イタリア)、ダヴィデ・チモライ(イタリア)、ピエールリュク・ペリション(フランス)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス)、エミルス・リーペンス(ラトビア)という各チームのエース級を含む強力な10名が先行。強豪国の多くがメンバーを送り込んだことでメイン集団のペースは上がらず、結局先頭グループに追いつくことは無かった。

2分のリードを得た逃げグループは残り10km。優勝に向けた争いが始まろうとしたそのタイミングで、雨に濡れた直角右コーナーでアルバジーニとラメルティンク、デンツ、そしてメウリーズがクラッシュ。低速での落車だったため各選手に深刻なダメージは無かったが、優勝候補の一角だったアルバジーニが脱落。メウリーズのみが復帰に成功し、イタリアとベルギーが2名づつ有した状況でフィニッシュラインを目指した。
復帰に力を使ったメウリーズはヴァンアールトの発射台を務められずに遅れ、残り300mの最終コーナーを抜けるとトレンティンのためにチモライがリードアウトを開始する。タイミングを見計らったトレンティンが仕掛け、ファンアールトとファンデルポールが追従。サバイバルレースで強さを見せるクラシックレーサーによる三つ巴のスプリント勝負は、最後まで先頭を譲らなかったトレンティンに軍配が下った。



「信じられない。ここ最近苦しんでいたことを考えれば本当に信じられない勝利だよ!最高の一日だ。僕のサポートをしてくれた全ての人に感謝したい」とは、フィニッシュ直後にチモライに駆け寄ったトレンティン。今年は新天地を求めてクイックステップフロアーズからミッチェルトン・スコットに移籍したものの、パリ〜ルーベでの落車によって背骨を骨折。早いタイミングで戦列復帰したものの本調子とはならず、苦しい時期が続いていた中での勝利だった。
「リスクを背負いたくなかったのでずっと集団前方で展開していたことが味方になった。悪天候がレースを厳しくしたけれど、チームとして最善を尽くすことができた。落車の瞬間も前方にいたことで助かったし、チモライも切り抜けてくれて本当に良かった。スプリントではチモライにリードアウトを頼み、彼は見事にやってのけてくれた。とにかくこの勝利はイタリアチームの力を結集して生まれたものだ」と、今後12ヶ月ヨーロッパチャンピオンジャージを着ることになったトレンティンは言う。新ジャージ姿のお披露目は1週間後のユーロアイズクラシック・ハンブルク(UCIワールドツアー)となる見込みだ。

また、先立って行われた女子レースでは集団スプリントを制したマルタ・バスティアネッリ(イタリア)が勝利しており、イタリアチームは男女2冠を達成。個人タイムトライアルでは男子がヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)、女子はエレン・ファンダイク(オランダ)が制している。
結果
1位 | マッテーオ・トレンティン(イタリア) | 5h50'02" |
2位 | マチュー・ファンデルポール(オランダ) | |
3位 | ワウト・ヴァンアールト(ベルギー) | |
4位 | ヘスス・エラーダ(スペイン) | |
5位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア) | |
6位 | サンドロ・メウリーズ(ベルギー) | +07" |
7位 | ミヒャエル・アルバジーニ(スイス) | |
8位 | ピエールリュク・ペリション(フランス) | |
9位 | ニコ・デンツ(ドイツ) | +25" |
10位 | マウリツ・ラメルティンク(オランダ) | +2'15" |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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