終盤の登りで飛び出した有力勢3名が23秒差で逃げ切り。マリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)がステージ通算20勝目を達成し、ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)は総合成績を2位に上げることに成功した。



リラックスした様子のマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)リラックスした様子のマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス) (c)CorVosルシンダ・ブラント(オランダ、中央)とサンウェブのチームメイトたちルシンダ・ブラント(オランダ、中央)とサンウェブのチームメイトたち (c)CorVos

各賞ジャージ着用者や、アルカンシエルが最前列に並ぶ各賞ジャージ着用者や、アルカンシエルが最前列に並ぶ (c)CorVos
総合成績上で重要な登りTTを終えた翌日は、逃げ切りにチャンスがあるパンチャーステージが用意された。サン・ジョルジョ・ディ・ペルレナから大回りを描いて隣町のブレガンツェを目指す121.6kmには、ゴール前7.6kmに3級山岳ファーラ峠の頂上が置かれている。

終盤に入ると総合順位変動を狙うアタック合戦が勃発し、総合4位ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)と総合3位のアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)、続いて総合5位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)らが次々と仕掛けるものの、全て集団によって吸収される。

集団が3級山岳ファーラ峠に差し掛かる集団が3級山岳ファーラ峠に差し掛かる (c)CorVos
前方で展開するアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)やアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)前方で展開するアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)やアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
人数を減らしながらファーラ峠をクリアした直後に飛び出したのが、現ヨーロッパ王者のマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)と山岳賞狙いで動いていたエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)だった。すぐにブラントも合流し、3名が僅かなリードを得ながらテクニカルダウンヒルを飛ばしに飛ばした。

ダウンヒルを終えてのタイム差はおよそ25秒。ステージ優勝、そして総合変動も可能な危険な逃げをミッチェルトン・スコットやブールス・ドルマンス率いるメイン集団が必死に追走したものの、猛烈なペースで逃げる3名との距離は縮まらなかった。

圧倒的なスプリント力で制したマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)圧倒的なスプリント力で制したマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス) (c)CorVos
23秒遅れの集団は元世界王者のジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、サイランスプロサイクリング)が先着23秒遅れの集団は元世界王者のジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、サイランスプロサイクリング)が先着 (c)CorVosマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)の勝利を喜ぶチームメイトたちマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)の勝利を喜ぶチームメイトたち (c)CorVos

マリアチクラミーノに袖を通したマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)マリアチクラミーノに袖を通したマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス) (c)CorVos
最終的に3名によるゴール勝負に持ち込まれ、ブラントの番手から仕掛けたフォスが圧勝。これまでのスプリントステージでもトップ5入りを繰り返していた元世界王者が余裕のリードで気迫のガッツポーズを繰り出した。2006年、12年、13年に世界選手権優勝、11年、12年、14年にジロ・ローザ総合優勝を飾っている元絶対王者にとって、今回の勝利はジロ・ローザステージ通算20勝目という快挙だ。

逃げ切ったブラントは総合成績を2つ上げ、アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)に代わって総合2位に。不調に苦しむ與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)はスタート後20km地点の登りで遅れ、第3集団内でフィニッシュしている。以下は本人からのレースレポートを紹介。



コンディションが上がらず、苦しいステージでした。コースはノコギリのようなギザギザの登りと下り。

スタート直後から高速でレースは進みました。ニュートラルが終わり、最初の登りでもう脚が動かずギリギリ粘れず、第1集団に残れず、そこでレースは終わりました。スタートして20kmで終わり。何をしに来ているか、ちょっと分からなくなります。

街中を駆け抜けていくプロトン(中央に與那嶺恵理)街中を駆け抜けていくプロトン(中央に與那嶺恵理) (c)Vélofocus/Wiggle High5
第2集団も全力で追走しますが、アベレージスピードも非常に高く常に45km/h前後で進みます。登りごとにもう限界で、本当に苦しかった。ここまで身体に力が入らないのは久しぶりです...。終盤には1分ほどまで詰めたのですが、皆力尽きました。

先頭集団ではエリサは攻撃を繰り返し、最後に3名で抜け出し2位。先頭集団でエリサをフォローしたチームメイトにも申し訳なく。何も仕事が出来ず、使えない選手だなと思います。

明日の第9ステージはゾンゴランです...。もう今はこれだけで十分。無事これ名馬でゴールを目指します。
ステージ結果
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス) 3h06'38"
2位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)
3位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)
4位 ジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、サイランスプロサイクリング) +23"
5位 ソラヤ・パラディン(イタリア、アレ・チポッリーニ)
6位 マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア、ヴァルカーPBM)
7位 ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ)
8位 エレーナ・チェッキーニ(イタリア、キャニオン・スラム)
9位 ナディア・クァリオット(イタリア人、トップガールズ・ファッサボルトロ)
10位 エウジェニア・ブヤク(スロバキア、BTCシティ・リュブリャナ)
100位 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) +6'47"
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 19h32'24"
2位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) +2'29"
3位 アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) +2'51"
4位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +2'53"
5位 カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +4'21"
6位 メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) +4'33"
7位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ) +4'59"
8位 ルス・ウィンダー(アメリカ、サンウェブ) +5'52"
9位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) +6'05"
10位 サブリナ・ストゥルテンス(オランダ、ワオディールス) +6'36"
ポイント賞
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス) 38pts
2位 クリスティン・ウィルド(オランダ、ウィグル・ハイファイブ) 31pts
3位 ジョリーン・ドール(ベルギー、ミッチェルトン・スコット) 30pts
山岳賞
1位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 28pts
2位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) 24pts
3位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 20pts
ヤングライダー賞
1位 ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ・ウィメンズ) 19h43'58"
2位 ナディア・クァリオット(イタリア、トップガールス・ファッサボルトロ) +0'56"
3位 ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) +6'50"
チーム総合成績
1位 サンウェブ 58h15’57”
2位 モビスター +9'02"
3位 サーヴェロ・ビグラ +11'30"
text:So.Isobe
photo:CorVos,Vélofocus/Wiggle High5

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