第4回ツール・ド・ヨークシャー(UCI2.1)がイギリスで開幕。182kmの平坦コースで競われた第1ステージは序盤から逃げに乗った地元イギリスのハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ)が逃げ切り勝利を飾った。



プロトンはサンウェブなどワールドチームがコントロールプロトンはサンウェブなどワールドチームがコントロール (c)CorVos
2014年のツール・ド・フランスにおけるグランデパールの地となったイギリス・ヨークシャー。その成功を受けて2015年から開催されているのがツール・ド・ヨークシャー(UCI2.1)である。今年は昨年から日程を1日増やし、計4ステージを実施する。登りの距離を増やすことで、総合争いにメリハリをもたせる。2019年にはこのヨークシャーでロード世界選手権の開催されることもあり、ジロ・デ・イタリアを回避したスプリンター、パンチャー系の選手が集まった。

主催はツール・ド・フランスを開催するASO。そのためUCI2.1クラスでありながら、出場する20チームのうち6チームがUCIワールドチームという構成。グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)といった面々が出場した。カヴェンディッシュにとってはミラノ~サンレモでの落車リタイアぶりのレースだ。

逃げグループは最大5分のタイムギャップを獲得逃げグループは最大5分のタイムギャップを獲得 (c)CorVos
第1ステージはウール取引で発展したビバリーから工業の街ドンカスターまでの182km。基本的に平坦なコースレイアウトだが、89.5km地点には小高い丘を登る山岳ポイントも設定される。スプリントポイントは93km地点と125.5km地点に設置。筋書き通りならば組織力の高いUCIワールドチームによるスプリントフィニッシュが予想された。

レースは向かい風の中スタート。プロトンのペースが上がらない中、コンチネンタルチーム、プロコンチネンタルチームの選手を中心とした6名の逃げグループが形成される。プロトンから5分ほどのリードを得た逃げグループとそれをタイムコントロールするプロトンという構図でレースは順調に推移した。

サンウェブが中心となってプロトンを牽引するサンウェブが中心となってプロトンを牽引する (c)CorVos
山岳ポイントでは逃げグループ全員が闘う姿勢を見せ、マイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス)が1位通過。その後のスプリントポイントではハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ)、アクセル・ジョルニオー(フランス、ディレクトエネルジー)がそれぞれポイントを獲得している。

終盤に入ると、フィニッシュまでに逃げグループを捕まえたいスプリンターチームがコントロールを開始。チームスカイ、ディメンションデータ、サンウェブが中心となり、プロトンを強力に牽引していく。逃げ集団からはアクセル・ジョルニオー(フランス、ディレクトエネルジー)が脱落した。

しかし、逃げグループはプロトンに吸収されることなく、残り5kmの地点で30秒以上のタイムを保持。そのまま、ラスト1kmのアーチをくぐった。逃げ切りを確信した5名は大きく牽制するが、トム・ベイリス(イギリス、ワンプロサイクリング)のスピードアップをきっかけにスプリントが始まった。下ハンドルを持たず、腰も浮かさずに踏み抜いたタンフィールドが先頭でフィニッシュ。地元イギリスのコンチネンタルチームに大きな勝利をもたらした。

5人のスプリントを制したハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ)5人のスプリントを制したハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ) (c)CorVos
ブルージャージを着用したハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ)ブルージャージを着用したハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ) (c)CorVos山岳賞を獲得したマイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス)山岳賞を獲得したマイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス) (c)CorVos


「残り5km地点でまだプロトンと30秒のタイム差があると聞いた時、何かの間違いかと思った。でも残り3kmのコース表示が見えてきた時、逃げ切れるかもしれないと感じた。だから一緒に逃げたメンバーに『俺達なら出来る』と言い続けたんだ。」とタンフィールドはコメントしている。

翌、第2ステージはバーンズリーからイルクリーに向かう149km。細かなアップダウンが激しい丘陵コースとなっている。フィニッシュは平均勾配8.2%、1.8kmの登坂を駆け上がるパンチャー向けのレイアウトになる。

また日本の與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)、萩原麻由子(アレ・チポッリーニ)が出場する女子レースも開催された。コースはバーバリーをスタートしドンカスターにフィニッシュする132.5km。レースは終始散発的なアタックがかかったが、最後は集団1つでフィニッシュへ。與那嶺のチームメイトであるキルスティン・ワイルド(オランダ、ウィグル・ハイファイブ)がスプリントを制している。

女子レース第1ステージを制したキルスティン・ワイルド(オランダ、ウィグル・ハイファイブ)女子レース第1ステージを制したキルスティン・ワイルド(オランダ、ウィグル・ハイファイブ) (c)CorVos

ステージ結果
1位 ハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ) 4h08’12”
2位 アリストエアー・スレイター(イギリス、JLTコンドール)
3位 マイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス)
4位 エメルソン・オロンテ(アメリカ、ラリーサイクリング)
5位 トム・ベイリス(イギリス、ワンプロサイクリング)
6位 マックス・ワルシャイド(ドイツ、サンウェブ) +05”
7位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
8位 エミルス・リーペンス(オーストリア、ワンプロサイクリング)
9位 コリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)
10位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
個人総合成績
1位 ハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ) 4h07’58”
2位 アリストエアー・スレイター(イギリス、JLTコンドール) +03”
3位 マイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス) +10”
4位 エメルソン・オロンテ(アメリカ、ラリーサイクリング) +14”
5位 トム・ベイリス(イギリス、ワンプロサイクリング)
6位 アクセル・ジョルニオー(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) +16”
7位 マックス・ワルシャイド(ドイツ、サンウェブ) +19”
8位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
9位 エミルス・リーペンス(オーストリア、ワンプロサイクリング)
10位 コリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)
ポイント賞
1位 ハリー・タンフィールド(イギリス、キャニオン・アイスベルグ) 21pts
2位 アリストエアー・スレイター(イギリス、JLTコンドール) 20pts
3位 マイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス) 9pts
山岳賞
1位 マイケル・カミング(イギリス、マディソン・ジェネシス) 4pts
2位 トム・ベイリス(イギリス、ワンプロサイクリング) 2pts
3位 アクセル・ジョルニオー(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) 1pts
チーム総合成績
1位 マディソン・ジェネシス 12h24’46”
2位 JLTコンドール
3位 キャニオン・アイスベルグ
女子レース結果
1位 キルスティン・ワイルド(オランダ、ウィグル・ハイファイブ) 3:28:30
2位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス・サイクリング)
3位 アリス・バーンズ(イギリス、キャニオン・スラムレーシング)
text:Kosuke Kamata
photo:CorVos

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