「逃げ屋」の本領発揮　雪による短縮ステージでデヘントが独走勝利

雪によって超級山岳の山頂フィニッシュが省かれ、短縮コースで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第2ステージ。序盤から逃げ、終盤に独走に持ち込んだトーマス・デヘント（ベルギー、ロット・スーダル）が華麗な逃げ切りでリーダージャージを手にした。

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3分前後のリードで逃げるトーマス・デヘント（ベルギー、ロット・スーダル）ら photo:Volta Ciclista a Catalunya

ボルタ・ア・カタルーニャ2018第3ステージ photo:Volta Ciclista a Catalunya当初ボルタ・ア・カタルーニャ第3ステージは標高2,148mの超級山岳バルテル2000にフィニッシュする今大会最難関の山岳コースで行われる予定だったが、積雪によってコースが大幅に変更。距離は199kmから153kmに短縮され、1級山岳ブラコンス峠（全長10.2km/平均5%）と2級山岳コリャボス峠（全長7.2km/平均5.6%）が設定されただけの中級山岳ステージに変更された。

「逃げ屋」トーマス・デヘント（ベルギー、ロット・スーダル）が逃げた。クレメン・シェヴリエ（フランス、アージェードゥーゼール）とルイス・マス（スペイン、カハルーラルRGA）、パブロ・トレス（スペイン、ブルゴスBH）、ミケル・ビズカラ（スペイン、エウスカディ・ムリアス）とともに集団を抜け出したデヘントは3分前後のリードを築きながらエスケープ。まだ総合で大きく遅れていない選手たちによる逃げグループにメイン集団は大きなタイム差を与えない。

最大の難所である1級山岳ブラコンス峠に差し掛かると先頭はビズカラとマス、デヘントに絞られ、モビスター率いるメイン集団から2分のリードで逃げを継続する。1級山岳ブラコンス峠を先頭通過し、山岳賞ジャージ着用を確定させたデヘントが2級山岳コリャボス峠に入ったところで独走を開始した。

カタルーニャ内陸部を北上する photo:Volta Ciclista a Catalunya
リーダージャージを着て走るアレハンドロ・バルベルデ（スペイン、モビスター） photo:Volta Ciclista a Catalunya
逃げるルイス・マス（スペイン、カハルーラルRGA）ら5名 photo:Volta Ciclista a Catalunya

フィニッシュまで20kmを残してビズカラとマスを引き離したデヘントは、1分半まで縮まっていたタイム差を2分まで広げながら2級山岳コリャボス峠をクリア。単独で向かい風が吹くフィニッシュまでの13km緩斜面区間（勾配1〜2%）に入る。

一方、ミッチェルトン・スコットとモビスターが率いるメイン集団からはサイモン・イェーツ（イギリス、ミッチェルトン・スコット）とティボー・ピノ（フランス、グルパマFDJ）、マティアス・フランク（スイス、アージェードゥーゼール）がアタックし、ナイロ・キンタナ（コロンビア、モビスター）がマークに入る。先頭デヘント、追走4名、その後ろにチームスカイ率いるメイン集団という展開で残り10kmを切った。

向かい風に立ち向かい、34km/h前後のスピードを刻みながら緩斜面を独走したデヘントが、追走グループを27秒差引き離したまま残り1kmアーチ通過する。アタックと牽制を繰り返したことでペースが落ちた追走4名を尻目に、デヘントが独走逃げ切り勝利を達成した。

追走4名は集団に追いつかれながらも辛うじて逃げ切り、イェーツを先頭に20秒遅れでフィニッシュ。77名の精鋭集団内でフィニッシュしたアレハンドロ・バルベルデ（スペイン、モビスター）から総合リーダーの座はデヘントに移った。残り1km地点を切ってから落車したアダム・イェーツ（イギリス、ミッチェルトン・スコット）は背中を痛めたためリタイアを強いられている。

メイン集団をコントロールするモビスター photo:Volta Ciclista a Catalunya
道路から立ち上がる水蒸気を切ってフィニッシュするトーマス・デヘント（ベルギー、ロット・スーダル） photo:Volta Ciclista a Catalunya

「終盤の向かい風は厄介だったけど、なんとか逃げ切ることができた。（集団にバルベルデを残している）キンタナが追走グループを引かなくなったし、そういった総合関係の動きが出たことが自分に有利に働いたと思う。自分にできることはただただ力強くペダルを回し続けること。残り距離が少なくなればなるほど、勝ちたい気持ちが高まっていった。逃げ切れるかもしれないと思い始めたのは残り3kmを切ってから。でも残り1kmからまた登りが始まり、強い向かい風に押し戻されそうになった。もうタンクはすっからかんだったし、集団から誰かが追いついてきても不思議ではなかった。この勝ち方はキャリアの中で最高のパフォーマンスだと思う」と、圧巻の逃げ切りを果たしたデヘントは語る。STRAVAログを見ると、体重68kgのデヘントは独走に持ち込んでから40分間にわたって平均369Wを出力。ニュートラル走行を含めると4時間38分にわたって平均299Wを出力している。

総合リーダーならびに山岳賞リーダーのデヘントは「ペースを上げても集団がタイム差を3分以内に抑え込むだろうと思って、一定ペースで逃げ続けた。明日の山岳ステージでチームカーの並びが前になればいいなと思って、スプリントポイントでボーナスタイムを獲得。下りでリードを広げたくて山岳を先頭で越えたので山岳賞ジャージもやってきた。リーダージャージを手にしたけど、タイム差も小さいし、明日の山頂フィニッシュで首位を守りきるのは難しい。できるだけ食らいついてみるけどリーダージャージを失うことになると思う。総合リーダーになった今、山岳ポイントを量産できる明日のステージで自由に逃げることができないので、山岳賞ジャージのキープも難しい状態。とにかくチームはステージ優勝という目標を達成したので、これから先の成績はボーナスのようなものだ」とコメントする。総合2位バルベルデとの総合タイム差は23秒。翌日の1級山岳ラ・モリーナで再び総合成績にシャッフルがかかることになりそうだ。

リーダージャージを手にしたトーマス・デヘント（ベルギー、ロット・スーダル） photo:Volta Ciclista a Catalunya

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