大集団スプリントに持ち込まれたパリ〜ニース第2ステージでライバルたちを置き去りにする加速を見せたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が勝利。現状のシーズン最多勝となる5勝目を飾った。


レース前半は集団一つのまま向かい風の中を進むレース前半は集団一つのまま向かい風の中を進む photo:A.S.O.
レース中盤にかけて逃げグループを形成したオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)らレース中盤にかけて逃げグループを形成したオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)ら photo:A.S.O.フランス中部の平野を一路南下するフランス中部の平野を一路南下する photo:A.S.O.

パリからニースを目指す8日間の旅路の2日目、この日はオルソンヴィルからヴィエルゾンまで187.5kmにわたって南下する。登場するカテゴリー山岳はゼロ。フィニッシュが5%ほどの登り基調ではあるが、ピュアスプリンター向きの平坦ステージだ。

押し戻されるような強い向かい風の中、12時05分に153名がスタートを切った。前日に落車リタイアしたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)に続いて、第1ステージで落車して膝を痛めながら最下位でフィニッシュしたルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がリタイア。2014年大会で総合2位に入っている元世界チャンピオンが25km地点でバイクを降りた。

向かい風の影響でレースは平均スピードが33〜34km/hまでしか上がらないスローな展開を見せ、アタックが生まれないまま、逃げグループが生まれないまま一塊で集団は進む。やがて第1スプリントポイント(63km地点)に差し掛かると、ここを総合首位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先頭通過する。2番手ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)と3番手クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)とともに、それぞれ3秒、2秒、1秒のボーナスタイムを獲得した。

その後ようやくトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)、アントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)、ラルス・ボーム(オランダ、ロットNLユンボ)という逃げグループが形成されたが、この「逃げ屋揃いの」強力な動きをスプリンターチームが警戒したため集団はスピードを落とさない。タイム差が1分を超えなかったため逃げグループはやがて分裂。ボアーロとマシャドの2人が先行を開始したところでようやくタイム差が広がり始めた。

向かい風の中を進むプロトン向かい風の中を進むプロトン photo:A.S.O.
メイン集団を牽引するロットNLユンボやグルパマFDJメイン集団を牽引するロットNLユンボやグルパマFDJ photo:A.S.O.メイン集団を牽引するグルパマFDJメイン集団を牽引するグルパマFDJ photo:A.S.O.
逃げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)とティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)逃げるマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)とティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) photo:A.S.O.

残り45km地点でタイム差はこの日最大の3分をマーク。逃げる2人をクイックステップフロアーズ、グルパマFDJ、ロットNLユンボ、ロット・スーダルが追いかけ、残り30km地点でタイム差を2分とする。2人逃げのため、第2スプリントポイント(173.5km地点)を集団先頭通過すればボーナスタイム1秒獲得。ここをしっかり取ったアラフィリップがボーナスタイムをさらに1秒加算し、この日だけで合計3秒の総合タイムを稼ぐことに成功した。

逃げるボアーロとマシャドが残り4kmで吸収されると、そこからロット・スーダルが先頭でトレインを走らせ、トレック・セガフレードやグルパマFDJ、サンウェブ、クイックステップフロアーズが覇権争いに加わる。最も人数を揃えたクイックステップフロアーズが残り2kmから主導権を握ったものの、残り1kmで隊列が崩れたためヴィヴィアーニを完璧にリードアウト出来ない。最終ストレートに入るとグルパマFDJが先頭に出た。

残り500mから勾配5%の登り斜面が始まると、グルパマFDJのジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)に続いて、ラモン・シンケルダム(オランダ)がマイヨジョーヌを着るデマールのために最後のリードアウト。しかしデマールはポジションを落としてしまい、代わって好位置からディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が加速した。

ヴィヴィアーニが唯一フルーネウェーヘンの加速に反応したが、そのスリップストリームから抜け出すことはできない。下ハンドルを握ってもがき続けたフルーネウェーヘンがヴィヴィアーニを引き連れる形で、その他のスプリンターたちとの距離を広げながら先頭フィニッシュした。

登りスプリントで先頭に立つディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)登りスプリントで先頭に立つディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:A.S.O.
登り基調のスプリントを制したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)登り基調のスプリントを制したディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:A.S.O.

ドバイツアーとヴォルタ・アン・アルガルヴェでステージ優勝し、クールネ〜ブリュッセル〜クールネでも勝利しているフルーネウェーヘンが今シーズン5勝目。ヴィヴィアーニとアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)に並んで現在のシーズン最多勝だ。

「自分の調子も良いし、チームの調子も良い。今日のステージは全体的にイージーだったけど、フィニッシュは登り基調でハードなものだった。他の有力スプリンターを打ち破ったことを嬉しく思う。今大会もっともスプリント向きの1日を勝利で締めくくることができてよかったよ。明日もスプリンターにチャンスがあるものの、今日よりコースはずっと厳しい。何とか登りをこなして勝負に挑みたい」と、連勝を狙うフルーネウェーヘンは語る。2019年からロットNL社に代わってジュンボ社がタイトルスポンサーにつくことが決まっているオランダチームを、波に乗る24歳のダッチスプリンターが率いている。

今シーズン5勝目を飾ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)今シーズン5勝目を飾ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:A.S.O.マイヨジョーヌを守ったアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)マイヨジョーヌを守ったアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.
パリ〜ニース2018第2ステージ結果
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 4:51:31
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)
4位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
5位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)
6位 マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ)
7位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
8位 ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)
9位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)
10位 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
DNF ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 7:58:57
2位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:07
3位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) 0:00:08
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 0:00:10
5位 マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ) 0:00:13
6位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
7位 トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) 0:00:15
8位 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)
9位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、バーレーン・メリダ)
ポイント賞
1位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 24pts
2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 15pts
3位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 12pts
山岳賞
1位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) 8pts
2位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 4pts
3位 ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 4pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレル(スペイン、モビスター) 7:59:12
2位 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー)
チーム総合成績
1位 バーレーン・メリダ 23:57:34
2位 ミッチェルトン・スコット 0:00:02
3位 アージェードゥーゼール
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.