2009年3月9日に開催されたパリ〜ニース第2ステージ。落車や集団分裂が連続するナーバスなレースで、ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)が集団スプリントを制した。アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)はラスト2kmで発生した落車により遅れたが、救済措置によりタイムロスは免れた。

ロワール地方の平野部を駆け抜ける第2ステージロワール地方の平野部を駆け抜ける第2ステージ photo:Cor Vos第2ステージはサン・ブリッソン・シュル・ロワールからラ・シャペル・サンチュルサンまでの195.5kmで行なわれた。コースは中盤の2つの3級山岳を除いてフラットであり、正真正銘スプリンターのためのステージだ。

時折晴れ間がのぞくレースは、ピエト・ローイヤッケル(オランダ、スキル・シマノ)のアタックが早々に決まり、これにアイトール・エルナンデス(スペイン、エウスカルテル)、アレクサンダー・クチンスキー(ベラルーシ、リクイガス)、クリストフ・ローラン(フランス、アグリチュベル)の3名が合流した。

序盤から逃げるピエト・ローイヤッケル(オランダ、スキル・シマノ)ら4名序盤から逃げるピエト・ローイヤッケル(オランダ、スキル・シマノ)ら4名 photo:Cor Vosアスタナがコントロールするメイン集団がこの逃げを容認したため、先頭4名のリードは59km地点で最大7分35秒に。2つの3級山岳でポイントを量産したエルナンデスは、翌日の山岳賞ジャージ着用を決めている。

レース後半に入ると、フランセーズデジューやチームコロンビア、ラボバンクを始めとしたスプリンターチームが集団ペースアップを開始。タイム差を詰め始めたメイン集団では、ゴールまで50kmを残して大規模な落車が発生した。

総合リーダーのアルベルト・コンタドール(スペイン)擁するアスタナがメイン集団をコントロール総合リーダーのアルベルト・コンタドール(スペイン)擁するアスタナがメイン集団をコントロール photo:Cor Vos落車したウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)らを含む第2集団は横風と格闘しながら追走し、ラスト39kmで無事メイン集団に復帰している。

先頭を逃げ続けていた4名は、ラスト23kmですべて吸収され、ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)のカウンターアタックも失敗。大集団はスプリンターチームを先頭にゴールへと突き進んだ。

メイン集団のスピードを上げるクイックステップメイン集団のスピードを上げるクイックステップ photo:Cor Vosスキル・シマノやチームコロンビアが集団最前列でポジション争いを繰り広げるラスト2km、集団内では再び落車が発生し、リーダージャージのコンタドールの目の前で次々と選手がクラッシュ。コンタドールは危機一髪これを回避したが、足止めにより1分以上遅れてゴール。しかし「ラスト3km以内の落車は集団と同タイム」とする救済措置によりタイムロスは免れた。

チームコロンビア先頭でラスト1kmに突入したメイン集団は、ラスト600mからのユルゲン・ルーランズ(ベルギー、サイレンス・ロット)のアタックによって隊列が乱れ、ルーランズの失速とともにラスト200mでハウッスラーが急加速スプリントで先頭に。

レンショーやロレンツェットを下したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)が先頭でゴールレンショーやロレンツェットを下したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)が先頭でゴール photo:Cor Vosタイミングを見誤ったマーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア)やミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)の追い上げは届かず、ハウッスラーが悠々と片手を挙げてゴールラインを切った。

優勝したハウッスラーは「想い描いていた通りの夢が叶ったようだ。レース終盤に横風区間と集団が分裂しやすいアップダウンが連続することは、あらかじめチームで確認していたんだ。とにかくチームメイトは素晴らしい走りを見せてくれたよ」と語る。ジャン=ポール・ファン・ポッペル氏(サーヴェロ監督)の「今日は全力でハウッスラーの勝利をサポートする作戦だった」という言葉通り、ブラックジャージをまとうアシストたちはエースを確実にスプリント勝利へとエスコートした。

落車しながらも総合トップの座を守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)落車しながらも総合トップの座を守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vosハウッスラーは今シーズン、ツアー・オブ・カタールで総合2位&新人賞を獲得し、ヴォルタ・アオ・アルガルヴェでステージ2勝。「信じられないぐらい素晴らしいシーズンだ。たとえ今、シーズンが終わったとしても、ここまでの成績を考えると大満足」と喜びを語る。

オンループ・ヘットニュースブラッドでゴール寸前まで逃げ、フースホフト(ノルウェー)の勝利に大きく貢献したハウッスラーの今後の目標は「北のクラシック」。「すでに大満足のシーズンだが、まだ迎え撃つべきレースは数多く残っている。ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベはシーズン最大の目標なんだ」。25歳のクラシックハンターは、さらなる高みを目指す。

落車しながらもリーダージャージを守ったコンタドールは「(大怪我を負わずに済んで)とってもラッキーだった。レース自体は4名が逃げを試みるというパリ〜ニースの典型的なステージ。でも横風区間ではみんなナーバスになっていたよ。とてもストレスフルなレースだったけど、チームメイトに守られていたから、何の問題も無かった」と語る。リーダージャージを着続けることに関しては「ジャージのキープは二の次。かといって総合トップの座をライバルに明け渡すのは得策ではない。ライバルにリードを許すことになるからね」とも語っている。総合争いはレース後半の山岳ステージで加熱する。

パリ〜ニース2009第2ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)4h45'01"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア)
3位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
4位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
5位 ムリロ・フィッシャー(ブラジル、リクイガス)
6位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、フランセーズデジュー)
7位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)
9位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)
10位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、ラボバンク)

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)4h56'06"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+07"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+09"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+11"
5位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+14"
6位 ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)+18"
7位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+19"
8位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)+20"
10位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+21"

ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)

山岳賞
アイトール・エルナンデス(スペイン、エウスカルテル)

新人賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)

チーム総合成績
アスタナ