アメリカ、アイオワ州でシクロクロスワールドカップが開幕。激しいアップダウンコースでオランダ王者のマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)がスタートから一度も先頭を譲らず独走勝利を飾った。



激しい高低差が選手を苦しめるジングルクロス激しい高低差が選手を苦しめるジングルクロス photo:UCI
シクロクロスにおける三大シリーズと言えばUCIワールドカップとスーパープレスティージュ、そしてDVVフェルゼクリンゲン・トロフェー(元Bpost Bankトロフェー)だ。それぞれシーズン7〜8戦開催され、年間ランキングが争われる。

スーパープレスティージュは1982-1983年シーズンに初開催されたシクロクロスシリーズ戦で、1993-1994年シーズンに始動したUCIワールドカップよりも歴史は古い。三大シリーズと世界選手権を同年に制覇することを「グランドスラム」と呼び、昨シーズン引退したスヴェン・ネイス(ベルギー)が2005年に達成している。

今シーズンの世界選手権は2月3日から2日間、オランダのファルケンブルグで開催される。日本国内のUCIレースは10月9日の茨城シクロクロス第2戦取手ステージと、10月29日の東北CX Project第1戦さがえ、11月3日のスターライトクロス幕張、11月19日関西シクロクロス第3戦マキノ高原、11月25日からのRaphaスーパークロス野辺山2連戦、12月3日の宇都宮シクロクロスろまんちっく村という7レース(いずれもクラス2)に増加している。
シクロクロス2017-2018主要UCIレース(WC=UCIワールドカップ、SP=スーパープレスティージュ)
9月17日 WC第1戦 アイオワ(アメリカ)
9月24日 WC第2戦 ウォータールー(アメリカ)
10月1日 SP第1戦 ギーテン(オランダ)
10月8日 DVV第1戦 ロンセ(ベルギー)
10月9日 茨城シクロクロス第2戦取手小貝川ステージ 茨城県取手市
10月15日 SP第2戦 ゾンホーフェン(ベルギー)
10月21日 SP第3戦 ボーム(ベルギー)
10月22日 WC第3戦 コクサイデ(ベルギー)
10月29日 SP第4戦 ルッデルフォールデ(ベルギー)
10月29日 東北CX Project第1戦さがえ 山形県寒河江市
11月1日 DVV第2戦 オウデナールデ(ベルギー)
11月3日 スターライトクロス幕張 千葉県千葉市
11月12日 SP第5戦 ガーフェレ(ベルギー)
11月19日 関西シクロクロス第3戦 滋賀県高島市
11月19日 WC第4戦 ボーゲンセ(デンマーク)
11月25日 WC第5戦 ゼーベン(ドイツ)
11月25日〜26日 Raphaスーパークロス野辺山 長野県南牧村
11月26日 DVV第3戦 ハンメ(ベルギー)
12月3日 宇都宮シクロクロスろまんちっく村 栃木県宇都宮市
12月9日 DVV第4戦 エッセン(ベルギー)
12月16日 DVV第5戦 アントワープ(ベルギー)
12月17日 WC第6戦 ナミュール(ベルギー)
12月26日 WC第7戦 ヒュースデンゾルダー(ベルギー)
12月28日 DVV第6戦 ローエンホート(ベルギー)
12月30日 SP第6戦 ディーゲム(ベルギー)
1月1日 DVV第7戦 バール(ベルギー)
1月21日 WC第8戦 ノメ(フランス)
1月28日 WC第9戦 ホーヘルハイデ(オランダ)
2月3日〜4日 UCI世界選手権 ファルケンブルグ(オランダ)
2月10日 DVV第8戦 リール(ベルギー)
2月11日 SP第7戦 ホーグストラテン(ベルギー)
2月17日 SP第8戦 ミッデルケルケ(ベルギー)
スタートを待つマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)スタートを待つマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:UCIチャック・ノリスよりメーウセンチャック・ノリスよりメーウセン photo:UCI

圧倒的な走りで独走を築いていくマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)圧倒的な走りで独走を築いていくマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) photo:UCI
UCIワールドカップカレンダーは、昨年に引き続いてアメリカで開幕。クロスベガスがC1に戻ったことでアイオワ州で行われていたジングルクロスが初陣となり、ウィスコンシン州ウォータールーにあるトレック社が社屋裏で開催するCXCカップがワールドカップ第2戦に昇格している。

激坂登りや角度のついたキャンバー下りなど、ダイナミックなレイアウトが特徴のジングルクロスに挑んだのは、先週の初戦で優勝したマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)や、世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)などヨーロッパ勢と、迎え撃つ北米勢ら52名。日本からは中里仁(スピードヴァーゲン・ファミリーレーシング)も参戦した。

ホールショットを奪ったのは絶好調のファンデルポール。その後ろにはテレネット・フィデアから移籍したチームメイトのトム・メーウセン(ベルギー、ベオバンク・コレンドン)やクィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・フィデア)、ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート・サーカス)らが続く。

走りに精彩を欠いたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)走りに精彩を欠いたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) photo:UCIコーナーを攻めるローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート・サーカス)コーナーを攻めるローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート・サーカス) photo:UCI

UCIシクロクロスワールドカップ2017-2018第1戦 表彰台UCIシクロクロスワールドカップ2017-2018第1戦 表彰台 photo:UCI
プッシュを続けるファンデルポールがリードを築いていく一方、高い気温に苦しんだファンアールトは徐々に後退。後続グループに飲み込まれては遅れ、この日は精彩を欠いたまま14位でフィニッシュ。「プロになってこんなに苦しんだのは初めて。早くマテューとの優勝争いに加わりたい」とコメントを残している。

世界王者と同じく、暑さに苦しんだと語るファンデルポールだったが、その勢いは止まらなかった。途中に見舞われた変速トラブルでも失速せず、フライオーバーでは観衆を沸かせるジャンプを繰り出しながらも2位グループを寄せ付けない。最終的にファンデルポールはこの日、スタートからフィニッシュまで一度も先頭を譲ることなくポール・トゥー・ウィンを達成。フィニッシュライン上では敬礼ポーズが決まった。

2位グループの攻防は最終ストレートまで続き、スプリント力に長けるスウィークが先着して2位を確保した。4位にケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス)、5位にラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア)と続き、好ダッシュしたメーウセンはDNF。中里は49位だった。

男子エリート結果
1位 マテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン) 1h06'28"
2位 ローレンス・スウィーク(ベルギー、エラリアルエステート・サーカス) +43"
3位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、テレネット・フィデア) +44"
4位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス) +54"
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア) +58"
6位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、マーラックス・ネポレオンゲームス) +1'28"
7位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +1'43"
8位 ジャンニ・フェルメールシュ(ベルギー、チームステイラーツ) +1'46"
9位 ミカエル・ボロス(チェコ、パウエルスサウゼン・ファストフートサービス)
10位 イェンス・アダムス(ベルギー、、パウエルスサウゼン・ファストフートサービス) +1'59"
14位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン) +2'32"
49位 中里仁(スピードヴァーゲンファミリーレーシング)
女子エリート結果
1位 カテリーナ・ナッシュ(チェコ) 47'27"
2位 ケイトリン・ケオー(アメリカ、) +12"
3位 サンヌ・カント(ベルギー、ベオバンク・コレンドン) +30"
4位 ソフィー・デボワ(オランダ) +31"
5位 マウド・カプタインス(オランダ、クレラン・シャルル) +34"
6位 カロリーヌ・マーニ(フランス) +36"
7位 アニカ・ラングヴァド(デンマーク) +37"
8位 エレン・ノーブル(アメリカ、アスパイアレーシング) +57"
9位 ニッキー・ブラマイヤー(イギリス) +1'07"
10位 エヴァ・リヒナー(イタリア) +1'21"
text:So.Isobe
photo:UCI