超級山岳イゾアールを駆け上がる女子レース「ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」で、アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)が独走勝利。與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)は自身の目標を大きく更新する11位でフィニッシュした。



與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)とフランス王者のシャルロット・ブラヴァール與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)とフランス王者のシャルロット・ブラヴァール photo:Kei Tsujiプレゼンテーションを受けるエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのメンバープレゼンテーションを受けるエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのメンバー photo:Kei Tsuji

ブリアンソンの街をスタートしていく選手たちブリアンソンの街をスタートしていく選手たち photo:Kei Tsuji
7月20日に開催された「ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」は、ツール男子レースに先立って行われた女子ワールドツアーレース。67.5kmのショートカットコースではあるものの、ツール第18ステージの舞台と同じブリアンソンから超級山岳イゾアールを目指すレイアウトだ。

昨年まではパリ・シャンゼリゼ周回コースで争われていた同レースだが、今年から初日がヒルクライムレース、そして上位20選手がマルセイユで開催される第2ステージへの挑戦権を得るという変則ステージレースに生まれ変わっており、標高2645mのイゾアールへの登坂力がものを言う。キャニオン・スラムが特別ジャージを用意するなど、その注目度は昨年以上に高くなった。

平均時速41km/hに達する活発なアタック合戦から抜け出したのは、リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド、チームヴェロコンセプト)。しかし単騎逃げを試みた元世界王者もイゾアールの麓でブールス・ドルマンス・プロサイクリングやWM3エネルジーが牽引する集団に飲み込まれた。

ブリアンソンからイゾアールを目指す集団ブリアンソンからイゾアールを目指す集団 photo:Tim de Waele / TDWsport
超級山岳イゾアールに差し掛かる超級山岳イゾアールに差し掛かる photo:Tim de Waele / TDWsport
本格的な登坂区間で集団を率いたのは、元世界王者、現イギリス王者のエリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)だった。淡々と刻んでいくハイペースに10名程度まで人数が絞り込まれ、與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)もここに食らいついていく。

すると残り4.1kmで、「少し早いかなと思ったけれど、タイムトライアルを踏まえてリードを稼いでおく必要があった」と語るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)が発進。ジロ・ローザの登りTTステージで勝利した登坂力で一気に後続を引き千切ると、追走したダイグナンやシャーラ・ギロー(フランス、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)を一切寄せ付けなかった。

残り4.1kmからアタックしたアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)残り4.1kmからアタックしたアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport独走でイゾアールの「カスデゼルト」を走るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)独走でイゾアールの「カスデゼルト」を走るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport

独走勝利を飾ったアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)独走勝利を飾ったアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport
最終的に距離4kmで2位ダイグナンに43秒、3位以下に1分半を稼ぎ出したヴァンヴルーテンが圧勝。「ツールに集まったたくさんの観客の前で勝利できてよかった。本来クライマーではなかったけれど、リオ五輪の時に自分の登坂力に気付いて、そこからヒルクライムを集中的にこなしてきた。コースが発表されてからすごく楽しみにしてきたレースを勝てて良かった」と語っている。

そして世界のトップクライマーに食らいついてイゾアールを駆け上がった與那嶺は、3分12秒遅れの11位でフィニッシュ。途中ダイグナンのアタックにも反応するなど、ギローのアシストとしての仕事をこなしながら、世界トップクラスのクライマーと戦えることを示してみせた。ジロ・ローザを終えてからは休息を挟み、オランダ、そしてレース直前にはイゾアールでも練習を重ねてきたという。

エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)のアタックに反応する與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)のアタックに反応する與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsportイゾアールを登る與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)イゾアールを登る與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsport

目標を大きく更新した與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)目標を大きく更新した與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsport
「今日はもう登りで(勝負が)決まるとわかっていました。しっかりと試走をしていて、頑張りどころを自分の中でも(準備)出来ていましたし、今日は凄く脚のコンディションも良くて、今日は大丈夫だなって。そこからは絶対に千切れないように耐える走りでした。トップ20が目標だったんですが、11位になれました。(今回のレースは)FDJのスポンサーレースだったんで、チームもハッピーですし、マルセイユ(2ステージ目のTT)にも2人が参加できます。それから、最後まで世界のトップ選手と(走ったことで、彼女たちが)ここで千切れるんだっていうのが目の前でわかりました。あそこまで登りがキツいと、(自分が)あそこまで残れるんだなって言うのがわかったんで、良かったです(與那嶺)」。

エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのエースを担ったギローは1分半遅れの5位。チーム加入時から登坂力を買われていた與那嶺は、コースが発表された時点でチーム首脳陣から出場を伝えられていたという。ウィメンズワールドツアーでは昨年もフィラデルフィア・サイクリングクラシックで11位に入っているが、今回は最高峰の選手が勢揃いした中での結果であるため、同じ11位でも評価は段違いと言える。

第2ステージはフランス最大の港町マルセイユの街で行われる。

ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス表彰台ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス表彰台 photo:Tim de Waele / TDWsport
ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス2017
1位 アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) 2h07'18"
2位 エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) +43"
3位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) +1'23"
4位 メーガン・グアルニエ(アメリカ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング) +1'28"
5位 シャーラ・ギロー(フランス、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) +1'33"
6位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、オリカ・スコット) +1'41"
7位 ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB) +1'51"
8位 アナ・サナブリア(コロンビア、セルヴェット・ジウスタ) +2'24"
9位 カタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー) +2'52"
10位 ハンナ・ニルソン(スウェーデン、BTCシティ・ルブリャナ) +3'04"
11位 與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) +3'12"
text:So.Isobe
photo:Kei Tsuji / TDWsport

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