熟練の職人による高い組立精度とコストパフォーマンスで人気を集めるオランダのホイールブランド、ファストフォワード。同社定番の45mmハイトリムを持つフルカーボンクリンチャーホイール「F4R FCC DT350」をインプレッションした。



ファストフォワード F4R FCC DT350ファストフォワード F4R FCC DT350 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
自転車大国であるオランダで2006年に創業したレーシングホイールブランド、ファストフォワード。当時はまだ高価だったカーボンホイールのみをラインナップし、速さ、軽さ、耐久性という基本性能に優れながらも手頃なプライスを実現したプロダクトで支持を集めてきた。全て熟練した職人の手よって組み上げられることで高い精度を実現し、出荷される1本1本にシリアルナンバーが刻まれる点も高品質を保証する証とも言える。

ハイトの異なる数種類のリムと各種グレードのハブを組み合わせることで、豊富なバリエーションを取り揃えるファストフォワードのホイールラインアップ。その中でもオールラウンドホイールとして定番となっているのが45mmハイトの「F4R」シリーズである。今回インプレッションを行った「F4R FCC DT350」は、FCCの文字が示す通りフルカーボンクリンチャーモデルであり、ハブにDTスイスの350を採用することで、よりリーズナブルなプライスとした日本国内限定ホイールだ。

リムサイドを内側に湾曲させたDARCテクノロジーにより空力を高めるリムサイドを内側に湾曲させたDARCテクノロジーにより空力を高める ハブにはコストパフォーマンスに優れるDT350を採用。スポークはストレートプル仕様だハブにはコストパフォーマンスに優れるDT350を採用。スポークはストレートプル仕様だ

リム表面はマットな質感。クリア塗装によりカーボンの柄が押し出たルックスにリム表面はマットな質感。クリア塗装によりカーボンの柄が押し出たルックスに バルブホール部にはそれぞれシリアルナンバーが刻まれるバルブホール部にはそれぞれシリアルナンバーが刻まれる


フルカーボンのリムには同社独自のエアロテクノロジー「DARC(ダルク)」を採用しており、サイドウォールの中央部分を内側に湾曲させたくびれを持つ形状によってリム上でより速い気流を生み出し、リム側面だけでなく、スポークと空気の干渉が減少、ホイール全体で空気抵抗を削減させているという。

これによってリム面に沿うように空気が流れるため、斜めからの風に対しても抵抗が小さくなり、エアロダイナミクスの向上だけでなく、ハンドリングの改善にも貢献するという。加えて、湾曲した部分の肉厚を抑えることができるため、一般的なリム形状に比べリムハイトを高めながら軽量かつ横剛性強化を可能にしている。

昨今主流となっている23~25mm幅のタイヤにフィットさせるべく、リム幅は22.4mm。素材には硬質なTC-35カーボンを使用することで優れた強度を実現し、タイヤの最大空気圧も一般的なフルカーボンクリンチャーが8barなのに対して、F4R FCCでは9barと高い設定となった。

ブレーキ面には強度や耐熱性を高めるCBTが採用され、カーボンリムでも高いブレーキング力を発揮ブレーキ面には強度や耐熱性を高めるCBTが採用され、カーボンリムでも高いブレーキング力を発揮 ブレーキパッドはスイスストップのブラックプリンスが付属するブレーキパッドはスイスストップのブラックプリンスが付属する


フルカーボンクリンチャーには常にブレーキ面の強度や耐熱性といった問題がつきまとうが、1.5Kカーボンと、ガラス転移温度の高い特殊なレジンを組み合わせる「CBT(Confidence Brake Technology)」を採用したことで解消。同社の従来型フルカーボンクリンチャーとの比較で制動性能を30%向上させ、更にブレーキング時のノイズも軽減させたという。

ハブにはDTスイスのベーシックグレードであるDT350を採用。上位DT240モデルと同様のスターラチェット方式を採用し、高いパワー伝達効率するとともに、ボディー形状と製法を見直すことでコストダウンを図っている。ストレートプルスポークを使う点にも注目だ。重量は前後セットで1540g。それでは、インプレッションに移ろう。



ー インプレッション

「ハイト以上のエアロ感、手頃な価格で"買い"なホイール」渡辺勇大(GROVE港北)

「ハイト以上のエアロ感、手頃な価格で買いなホイール」渡辺勇大(GROVE港北)「ハイト以上のエアロ感、手頃な価格で買いなホイール」渡辺勇大(GROVE港北)
見た目のハイト以上に扱いやすさが光るホイールですね。ディープすぎないリムのおかげで、性能のバランスが良い。平地の巡航から、登りやアップダウンのあるコースまで、そつなくこなしてくれる万能な仕上がりだと思います。

リムは45mmのミドルハイトですが、乗った感触では60mmのディープホイールを使っているかと思わせるほどのエアロ感が特徴です。車速がスーッと流れてくれるので速度維持がしやすいですし、エアロ形状のスポークはストレートプル仕様ですから漕ぎ出しの反応の良さも感じますね。大出力で踏み込んでもたわむことなく、パワーを受け止めて5〜60km/hまでしっかり加速してくれたので、スプリント勝負に持ち込まれる場合でも問題なさそうです。

リム幅を見ても昨今主流の25Cタイヤとの相性もバッチリだと思います。ホイール自体がガチガチに硬いということもなく、適度にしなって振動吸収もしてくれるところも乗りやすさに繋がっていますね。もちろんローハイトリムではありませんから、登りに差し掛かった際の瞬間的な加速はやや苦手な印象ですが、ジワッとトルクを掛けた際の伸びは印象的。

「バランスの良い性能で、シチュエーションを選ばず使っていける1本」渡辺勇大(GROVE港北)「バランスの良い性能で、シチュエーションを選ばず使っていける1本」渡辺勇大(GROVE港北)
全体的な性能バランスは高く、手頃な価格と相まって思わず欲しいな、と思わせてくれるホイールでした。どんなシチュエーションでも扱いやすい味付けですので、ディープホイールを初めてという方にもオススメです。

ファストフォワード F4R FCC DT350
リム形式:クリンチャー
リムサイズ:高さ45mm、幅22.4mm
ハ ブ:DT350(ストレートプル仕様)
重 量:1,540g
制限体重:100kg
付属品:ホイールバック、QRレバー、バルブエクステンダー、ブレーキパッド、リムテープ
価 格:185,000円(税別)



インプレッションライダーのプロフィール

渡辺勇大(GROVE港北)渡辺勇大(GROVE港北) 渡辺勇大(GROVE港北)

横浜市港北区に店舗を構えるGROVE港北の店長。元MTBのダウンヒルプロライダーであり、20年以上に渡ってレース活動を行ってきたベテラン。その経験を活かしトータルとしての乗りやすさを求めるフィッティングやバイクセッティングに定評がある。ロードやMTBなど幅広くスポーツバイクをお客さんと一緒に遊びその楽しさを伝えていくことを大切にしている。愛車はスペシャライズドTarmac S-Works。

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ウェア協力:Pandani
ヘルメット&アイウェア協力:KASK

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO

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