オランダで開催されたヴォルタ・リンブルグクラシックで、NIPPOヴィーニファンティーニのマルコ・カノラ(イタリア)が逃げからのマッチスプリントを制し優勝。機材盗難という逆境をはねのける勝利だった。



ヴォルタ・リンブルグクラシック2017 コースレイアウトヴォルタ・リンブルグクラシック2017 コースレイアウト 序盤からアタックと吸収を繰り返しながら、ハイペースでレースが進行した序盤からアタックと吸収を繰り返しながら、ハイペースでレースが進行した photo:CorVos3名のスプリントを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)3名のスプリントを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:CorVos追走グループのスプリントはニック・ヴァンデルリーク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)が先着追走グループのスプリントはニック・ヴァンデルリーク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)が先着 photo:CorVos優勝したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)をサンドロ・メウリーズ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)とニック・ヴァンデルリーク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)が囲む優勝したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)をサンドロ・メウリーズ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)とニック・ヴァンデルリーク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)が囲む photo:CorVosオランダで開催されたヴォルタ・リンブルグクラシック(UCI1.1)は、今年で開催44回目を迎えるワンデーレース。ドイツ色濃い当地方を縦横無尽に駆け巡るコースには細かいアップダウンが無数に続き、その様子はアルデンヌクラシックに近い。

ジェットコースターのような198kmのコースを持ち、ロンド・ファン・フラーンデレン開催目前のこのレースには、BMCレーシングとロットNLユンボという2つのUCIワールドチームを筆頭に22チームが参加した。ベルギーを代表するプロコン/コンチネンタルチームの他、NIPPOヴィーニファンティーニからは唯一の日本人選手として小石祐馬がマーストリヒト近くのアイスデンに設置されたスタートラインに並んだ。

雨の中、序盤から激しいアタック合戦が続き、各チームがアタックと吸収を続けながらスタート後2時間の平均スピードは42km/hに到達。その後もユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロットNLユンボ)らエース級の選手が攻撃を仕掛けるも逃げは決まらない。

ようやく決定的な動きが発生したのは、ゴールまで60kmを残した時点。今季好調を維持しているマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)の動きにサンドロ・メウリーズ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)とニック・ヴァンデルリーク&マーティン・トゥスヴェルド(共にオランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)が合流。4名は疲弊したメイン集団を置き去りにすると、一路フィニッシュに向けて巡行モードに入った。

ハイペースで飛ばす先頭からはやがてトゥスヴェルドが脱落したものの、後続も10名ほどの追走集団となっていたため、およそ1分差が縮まらない。ポール・マルテンス(ドイツ、ロットNLユンボ)らがペースを上げようとするも意思疎通が図れず、逆にアタックと吸収が生まれたことで先頭との差は徐々に開いていった。

残り10km時点で、先頭3名と後続グループの差は1分+αで、メイン集団までは1分半。協調体制を築き上げた3名には雨やコーナーが連続するレイアウトも味方し、余裕を持ってゴールまで到達。最後は3人の中でも余裕のある走りを見せていたカノラが濡れた石畳上でスプリントを開始し、追いすがるメウリーズを下して勝利。NIPPOヴィーニファンティーニにとって待望の1勝であり、カノラ自身にとっても2014年のジロ・デ・イタリア第13ステージに続く、久しぶりの優勝となった。

「とても嬉しく、勝てたことに満足している。レース中、チームはとてもよく機能していた。最終コーナーを抜けたときに、3選手のなかで自分が一番強いことはわかっていた。とても良いコンディションだったので、勝利を狙って挑戦した」と自信をコメントしたカノラ。

また、チームはこの日の朝に機材盗難の被害に遭っており、ロードバイクとTTバイク8台ずつが盗まれるという事件のため、スペアバイクも用意が無い状態での勝利だった。「チームに勝利をもたらすことができて本当に嬉しい。今朝、チームはバイク盗難の事実を知り、とても怒っていたし、そのことが、いつも以上のモチベーションを与えてくれた。」とカノラはコメントしている。

また、小石は不調によってDNF。「自分は不調でリタイアという結果で終わってしまったが、カノラが今シーズンのチーム初勝利という結果で終えることができた!この調子で今後も頑張ります!」と語っている。



ヴォルタ・リンブルグクラシック2017結果
1位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)           4h45’26”
2位 サンドロ・メウリーズ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
3位 ニック・ヴァンデルリーク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)       +04”
4位 アントワン・ワーナー(ベルギー、WBヴェランクラシック・アクア・プロジェクト)   +51”
5位 ポール・マルテンス(ドイツ、ロットNLユンボ)                   +59”
6位 イェルーン・マイイェルス(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)
7位 ディミトリ・ペスケンス(ベルギー、WBヴェランクラシック・アクア・プロジェクト)
8位 ジェローム・バウニーズ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
9位 ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ロブ・ラウハ(オランダ、タルテレット・アイソレックス)

text&photo:So.Isobe

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