熊本で始まった高校選抜大会。ロードレースは山本哲央(韮崎)が逃げ切って優勝。女子は石上夢乃(横浜創学館)がスプリントを制して優勝した。



山本哲央(韮崎)が逃げ切り優勝山本哲央(韮崎)が逃げ切り優勝 photo:Hideaki TAKAGI
高校選抜大会が3月26日(日)から行われ、ロードレースは同日に熊本県山鹿市で、トラックレースは27日(月)から3日間で久留米競輪場で行われる。大会はちょうど1年前に起こった熊本地震復興支援として行われており、例年ならば熊本競輪場だが震災で施設が損壊し使用できないためトラックレースは久留米競輪場で行われるものだ。

男子は山本哲央(韮崎)が逃げ切って優勝

コースは上り2か所と平坦区間で構成される1周11.1kmで、男子は7周、女子は3周で行われた。男子は序盤からアタックがかかるが決まらず、2周目の上りでようやく4人が抜け出す。メンバーは蠣崎優仁(伊豆総合)、荒木知(真岡工)、山本将司(高知工)、松村恭輔(栄北)でこれに福田圭晃(横浜)が加わり逃げは5人に。蠣崎がイニシアチブを取り福田らとともにペースをつくり、メイン集団との差は最大1分で30秒前後をキープする。

男子スタート前男子スタート前 photo:Hideaki TAKAGI1周目から仕掛ける蠣崎優仁(伊豆総合)ら1周目から仕掛ける蠣崎優仁(伊豆総合)ら photo:Hideaki TAKAGI


後半に入るとメイン集団が活発化し散発的にアタックがかかる。一方先頭からは松村そして福田が下がり3人に。それでもタイム差は30秒前後をキープする。6周目にそれまでも積極的に抜け出しの動きをしていた山本哲央(韮崎)が依田翔大(甲府工)とともに抜け出し先頭3人に合流する。このころにはメイン集団とのタイム差は20秒ほどでお互いに見える位置だったが3人は協力して逃げ続け差を逆に広げていく。

最終周回の上り区間で先頭3人から抜け出したのは山本。山本は自分のペースで上るとすぐに2人は離れ、またメイン集団とのタイム差も50秒にまで広げる。山本の逃げ切りは確定的で、離れた2人にメイン集団が追いつくかの関心へ移る。山本は低い姿勢で独走を続け見事優勝、2位には3位に対しぎりぎり0.6秒差で依田が逃げ切り、山梨県勢でワン・ツーフィニッシュを飾った。

5周目、30秒前後の差をキープして逃げ続ける5人5周目、30秒前後の差をキープして逃げ続ける5人 photo:Hideaki TAKAGI6周目前半、先頭は3人に数を減らす6周目前半、先頭は3人に数を減らす photo:Hideaki TAKAGI

6周目前半、メイン集団からブリッジをかけた2人が合流する6周目前半、メイン集団からブリッジをかけた2人が合流する photo:Hideaki TAKAGI最終周回へ、山本哲央(韮崎)が積極的に引く先頭集団最終周回へ、山本哲央(韮崎)が積極的に引く先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI


山本と依田の同郷2人が協調して仕掛け、蠣崎らの先頭へ合流したことが山本の勝因だ。その山本はこう語っている。「メイン集団にいるときに同じ山梨の依田君と一緒に行こうと抜け出して先頭へ追い付けました。最後の上りで単独で抜け出したとき、本当は2人ぐらいで行きたかったのですがこれはもう一人で行ったほうが速いと思って行きました。独走も苦手ではないので。学校には部活が無かったので自分一人で作って高体連登録も昨年9月にしました」

いっぽうで強さを見せたのは蠣崎だ。2周目からの逃げメンバーで最も多く先頭を引きつつも最後まで残り、山本と依田が合流してからも協調して逃げ続けた。その蠣崎はこう語る。
「最後の上りで粘れなくて。依田君と共に逃げ切れるかと思ったのですが脚が攣ったりで。今日は勝つことと楽なレースをしないということが目標でした。自分はヨーロッパ、世界を狙っているのでそこで戦うためには誰よりも強い走りをしないといけないと思っています」

「逃げでは自分の脚を削ってでもタイム差を広げることが先で、それでも最後の展開になれば勝てると思っていました。山梨の2人は強かったですね。息も合っていて。山本君の登坂力があるというのはわかっていましたが」

最終周回上りでペースを上げる山本哲央(韮崎)最終周回上りでペースを上げる山本哲央(韮崎) photo:Hideaki TAKAGIラスト5km、後続に50秒以上の大差をつけフィニッシュへ向かう山本哲央(韮崎)ラスト5km、後続に50秒以上の大差をつけフィニッシュへ向かう山本哲央(韮崎) photo:Hideaki TAKAGI

2位は同じ山梨県の依田翔大(甲府工)が逃げ切る2位は同じ山梨県の依田翔大(甲府工)が逃げ切る photo:Hideaki TAKAGI声を掛け合って抜け出した山本哲央(韮崎)と依田翔大(甲府工)がワン・ツー声を掛け合って抜け出した山本哲央(韮崎)と依田翔大(甲府工)がワン・ツー photo:Hideaki TAKAGI


女子は石上夢乃(横浜創学館)がスプリントで優勝

女子は3周のレース。1周目下りでの落車で集団が分かれその後の上りを経て先頭は9人に絞られる。2周目、3周目ともに高尾貴美歌(鹿町工)、山口伊吹(鹿町工)、池上あかり(祐誠)ら九州勢が積極的に上りでペースを上げるが集団はばらけない。フィニッシュ手前500mで下山美寿々(大教大天王寺)がアタックするがハイスピードで突っ込んだ最終右コーナーで落車、その右側を抜けた石上夢乃(横浜創学館)が優勝。2位には地元の中冨尚子(千原台)が入った。

女子3周目、上り区間。先頭は池上あかり(祐誠)女子3周目、上り区間。先頭は池上あかり(祐誠) photo:Hideaki TAKAGI女子ラスト1.5km女子ラスト1.5km photo:Hideaki TAKAGI


優勝した石上は小学生のころからMTBなどで活躍していた選手で今年のアジア選手権にも出場している高校1年生。
「高体連のロードレースで勝つのは初めてです。1周目の下りで人数が絞られ、上りは九州の選手が前を引いていたのでついていく走りでした。早々に絞ってゴールスプリントで勝つという作戦だったので思う展開になり嬉しいです。今後はいろいろな勝ちのパターンを増やしていきたいです」と語る。

女子 石上夢乃(横浜創学館)が優勝女子 石上夢乃(横浜創学館)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
結果

オープニングレース フィニッシュオープニングレース フィニッシュ photo:Hideaki TAKAGI女子表彰女子表彰 photo:Hideaki TAKAGI男子表彰男子表彰 photo:Hideaki TAKAGI男子 77.7km
1位 山本哲央(韮崎)2時間04分45秒
2位 依田翔大(甲府工)   +30秒
3位 伊藤旭(九州学院)
4位 片桐東次郎(昭和一学園)
5位 成海大聖(普天間)
6位 岩瀬照(吉田)     +34秒
7位 塩島嵩一朗(南大隅)
8位 佐藤健(九州学院)
9位 角田光(白河実業)
10位 松崎広太(取手一)

女子 33.3km
1位 石上夢乃(横浜創学館)1時間02分15秒
2位 中冨尚子(千原台)
3位 成海綾香(南大隅)      +01秒
4位 山口伊吹(鹿町工)      +03秒
5位 中川由理(川越工)      +04秒
6位 高尾貴美歌(鹿町工)     +12秒
7位 池上あかり(祐誠)      +16秒
8位 下山美寿々(大教大天王寺)  +53秒

photo&text:高木秀彰