1991年1月1日以降に生まれた選手を対象にしたマイヨブラン(ヤングライダー賞)争いは、いわば将来のマイヨジョーヌ争い。バーギルやアラフィリップ、イェーツ、マインティーズを始めとする若手有力オールラウンダーの名前をチェックしておこう。



2015年にマイヨブランを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)2015年にマイヨブランを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waele


25歳以下の選手を対象にした「将来のマイヨジョーヌ争い」

ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele1975年のツール・ド・フランスで初めて導入されたマイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)は、将来のマイヨジョーヌ候補がしのぎを削るもう一つの総合争い。現在マイヨブランを争っているメンバーが5年後、10年後にマイヨジョーヌを巡って競り合うことになる。ジャージスポンサーは眼鏡販売会社のクリス社。

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.comマイヨブランの対象となるのは、プロ1年目の新人だけではなく、誕生日が1991年1月1日以降の選手。つまり25歳以下の選手だ。

アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiヤングライダー賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に数例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)が、マイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。2010年アンディ・シュレク(ルクセンブルク)は総合2位でフィニッシュし、3度目のヤングライダー賞を獲得。総合優勝したコンタドールがその後のドーピング違反発覚で失格になったことで、史上4例目のヤングライダー賞対象選手による総合優勝が決まった。

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele「花の1990年生まれ」と呼ばれるサガンやキンタナ、バルデ、ピノ、アル、マシューズ、ドゥムラン、クヴィアトコウスキーはヤングライダー賞を卒業。順当にいけば、2015年ヤングライダー賞3位のワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン 1991年10月28日生まれ)が最有力候補になるだろう。バーギルはツール前哨戦のツール・ド・スイスで総合3位。ブエルタ・ア・エスパーニャでは2013年にステージ2勝、2014年総合8位という成績を残している。

バーギルの最大の対抗馬と目されるのは、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでヤングライダー賞(総合6位)に輝いたジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ 1992年6月11日生まれ)だ。今年ツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝に輝いたアラフィリップが初めてのグランツールに挑む。


ドーフィネでヤングライダー賞を競り合ったアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ 1992年8月7日生まれ)とルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ 1992年2月21日生まれ)、そして2014年ジロ・デ・イタリアで総合7位の成績を残しているウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ 1991年3月25日生まれ)も有力候補。

他にもエドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト 1991年6月13日生まれ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18 1992年11月18日生まれ)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ 1991年1月5日生まれ)がヤングライダー賞対象選手だ。



ツール・ド・フランス2015ヤングライダー賞
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)             84h47’26”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)           +14’48”
3位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)        +30’03”
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                   +37’40”
5位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +1h32’09”
6位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)         +2h13’43”
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)        +2h15’24”
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)         +3h02’55”
9位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)        +3h07’35”
10位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、MTNキュベカ)          +3h09’24”



歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2015年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)        総合2位
2014年 ティボー・ピノ(フランス)          総合3位
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)        総合2位
2012年 ティージェイ・ヴァンガーデレン)       総合5位
2011年 ピエール・ロラン(フランス)         総合10位
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合1位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)     総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)        総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)    総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア)      総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア)         総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア)         総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン)        総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン)     総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス)         総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ)        総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア)        総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス)          総合15位

text:Kei Tsuji in Saint-Lo, France

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