ベネヴェントの石畳が敷かれた緩斜面で繰り広げられた今大会3回目のスプリント勝負。平均勾配3.4%の登りをパワフルに突き進んだアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がライバルたちを完全に突き放すスプリントで今大会1勝をマークした。



メイン集団を牽引して3級山岳を進む山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)メイン集団を牽引して3級山岳を進む山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji


5月11日(水)第5ステージ ☆☆ プライア・ア・マーレ〜ベネヴェント 233km5月11日(水)第5ステージ ☆☆ プライア・ア・マーレ〜ベネヴェント 233km image:Giro d'Italiaプライア・ア・マーレの美しい海に別れを告げてジロはイタリア半島を北上する。内陸部を走る今大会最長クラス(最長は240kmの第18ステージ)の233kmコースには3級山岳を含む標高700m級のアップダウンが組み込まれているものの、コースの難易度はスプリンターにもチャンスがある2つ星だ。

チームメイト達に守られて進むマリアアッズーラのダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)チームメイト達に守られて進むマリアアッズーラのダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsujiスタートしてすぐ、35km地点に位置する標高783mの3級山岳フォルティーノ(3.5km/平均5%)に向かって登りが始まるとNIPPOヴィーニファンティーニの集団コントロールが始まった。ダミアーノ・クネゴ(イタリア)のマリアアッズーラを守りたいチームが徹底的に集団先頭を固め、アタックを完全に封じ込める。山本元喜も先頭ローテーションに加わった。

逃げグループを形成するアメツ・チュルカ(スペイン、オリカ・グリーンエッジ)ら逃げグループを形成するアメツ・チュルカ(スペイン、オリカ・グリーンエッジ)ら photo:Kei Tsuji狙い通りクネゴが3級山岳を先頭通過すると、フィニッシュまで200km近くを残してダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)、アメツ・チュルカ(スペイン、オリカ・グリーンエッジ)、パヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ)、アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)の逃げが決まる。

総合成績にインパクトの少ないこの逃げ(チュルカが5分25秒遅れ)をメイン集団は容認。タイム差が7分まで広がったためチュルカが暫定総合リーダーに。しかし当然のことながらジャイアント・アルペシンとスプリンターチームがタイム差を詰め始めた。

この日のリタイア者は2名。第2ステージで逃げてマリアアッズーラを着た2015年ブエルタ・ア・エスパーニャ山岳賞のオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)は前日の落車の影響でリタイア。他にもスプリンターのヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・サウスイースト)も発熱を伴う体調不良によってバイクを降りている。



レースはカラブリア州からバジリカータ州、そしてカンパニア州に入るレースはカラブリア州からバジリカータ州、そしてカンパニア州に入る photo:Kei Tsuji
トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のバイクはペダリングモニターのカバーまでピンクトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のバイクはペダリングモニターのカバーまでピンク photo:Kei Tsujiカンパニア州を走り、ベネヴェントの街を目指すカンパニア州を走り、ベネヴェントの街を目指す photo:Kei Tsuji
ロット・ソウダルとジャイアント・アルペシンがメイン集団を牽引ロット・ソウダルとジャイアント・アルペシンがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsuji


派手に落車したジャンフランコ・ジリオーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)ら派手に落車したジャンフランコ・ジリオーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)ら photo:Kei Tsujiジャイアント・アルペシンとロット・ソウダルが集団先頭を固め、残り50kmを切ってからランプレ・メリダもローテーションに合流。登りではなく下りで集団から脱落する選手も現れるほどペースが上がり、逃げグループを射程圏内に捉える。

ロットNLユンボとロット・ソウダルがメイン集団を牽引ロットNLユンボとロット・ソウダルがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsujiカンパニア州のベネヴェントの6.5km市街地周回に入ると同時に逃げは吸収。今にも雨粒が落ちてきそうな曇り空に覆われた周回コースを、ロット・ソウダルとロットNLユンボのダブルロットチームを先頭にした集団が駆け抜ける。アップダウンコースで集団に食らいついたマリアロッサのマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)は周回コースに入るとともに脱落した。

メイン集団から脱落したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)メイン集団から脱落したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji残り1200m地点で最終コーナーで発生したレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)の落車を避けるようにして、スプリンターが街の目抜き通りである石畳が敷かれたガリバルディ通りに突入する。ウルティモキロメトロ(残り1kmアーチ)からフィニッシュまでは平均勾配3.4%の緩斜面。

後続を大きく引き離したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)後続を大きく引き離したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji周りの出方を伺いながら緩斜面を進むスプリンターたち。すると残り300mでグライペルが腰を上げ、フィニッシュに目線を送りながら加速を開始した。

大きく両手を広げるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)大きく両手を広げるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsujiマリアビアンカを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)が真っ先に反応したものの、トップスピードまで加速したグライペルが石畳を飛ぶように駆け抜ける。アルノー・デマール(フランス、FDJ)とソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)の追撃も全く歯が立たず、グライペルが10mほどの差を広げて勝利した。

“圧勝”という言葉が当てはまるグライペルの勝利。「最終コーナーで(ターラマエの)落車が発生した時、すぐ後ろにいたけど何とか回避。残り300mで後ろが少し離れたタイミングでスプリントを開始した。周りが躊躇していたので全開で踏んだ」とレース後すぐのインタビューで答えている。

「逃げた4名が強力だったため集団の追撃スピードもかなり速かった。ラッキーなことに他のチームの協力を得て逃げを引き戻した。勝利につながるチームメイト達の献身には本当に感謝しているし、朝の時点で今日のフィニッシュは自分向きだと確信していたんだ」と語るグライペルが今大会1勝目。マリアロッサはキッテルが守っている。

登りスプリントで集団が割れたため、集団の前後で4秒差がついた。ステージ13位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)はヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)を含むマリアローザ候補たちから4秒のリードを奪うことに成功している。

トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)はユンヘルスに対して4秒を失いながらもマリアローザを堅守。レース後、ドゥムランは「ジロが厳しいレースだと言われている理由が今日分かった。今日は一日中アップダウンの繰り返しで、しかもクレイジーなフィニッシュだった。ボブ・ユンヘルスがボーナスタイムを狙ってスプリントするのが見えたけど気にしなかった。仮に彼が3位に入って4秒獲得しても総合首位は揺るがない。すでに自分も目一杯の状態だったし、安全に走りきることを優先した」と振り返っている。



プロセッコを豪快に開けるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)プロセッコを豪快に開けるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji



ジロ・デ・イタリア2016第5ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)           5h40’35”
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
3位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
5位 モレーノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、ウィリエール・サウスイースト)
7位 リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)
8位 ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)
9位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)
154位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)           +3’51”

マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)        19h40’48”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)    +16”
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)             +20”
4位 ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・アルペシン)
5位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)          +24”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)             +26”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +27”
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)              +35”
9位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)             +37”

マリアロッサ ポイント賞
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)      106pts
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)                   86pts
3位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ)            80pts

マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)       14pts
2位 ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)              7pts
3位 フレン・アメルスケタ(スペイン、ウィリエール・サウスイースト)      6pts

マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)  19h41’04”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)              +41”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)         +1’18”

チーム総合成績
1位 アスタナ                               59h03’53”
2位 エティックス・クイックステップ                       +09”
3位 カチューシャ                                +28”

text&photo:Kei Tsuji in Benevento, Italy
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