ツアー・ダウンアンダー初日のピープルズチョイスクラシックで新鋭スプリンターが勝利。オーストラリアのクリテリウムチャンピオンジャージを着る21歳のカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がライバルたちを振り切った。



午後7時15分に51kmのレースがスタート午後7時15分に51kmのレースがスタート photo:Kei Tsuji


ツアー・ダウンアンダー2016ピープルズチョイスクラシックツアー・ダウンアンダー2016ピープルズチョイスクラシック image:Tour Down Underツアー・ダウンアンダーの開幕を告げるのは、アデレード市内のライミルパークを囲むように設置された1.7kmコースを30周する51kmで行われたクリテリウムレース。1985年から1995年までF1オーストラリアGPの舞台となったコースの一部を使用する。1996年にF1がメルボルンのアルバートパークに移ったことを受けて、南オーストラリア州が新たなスポーツイベントとして1999年にスタートさせたのがツアー・ダウンアンダーだ。

周回を重ねるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)周回を重ねるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji2日後に控えたUCIワールドツアーレースに出場する選手が全員顔を揃えるが、クリテリウム自体はUCI非公認であり、アデレード市民への顔見せ的な意味合いが強い。また、この日の成績はUCIワールドツアーレースの総合成績には反映されない。傾いた太陽の光に照らされて、午後7時15分に51kmレースのスタートが切られた(日没は午後8時31分)。

集団前方で展開するジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード)集団前方で展開するジャック・ボブリッジ(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji公式発表95,000人に見守られる中、シクロクロスさながらのホールショットで飛び出したのはラース・ボーム(オランダ、アスタナ)で、ここにリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)らが合流して一時は7名が先行する。しかし縦に長く伸びたメイン集団がボームらの逃げを阻止した。

レースにスパイスを加えたのが5周目、10周目、15周目、20周目の合計4回設定されたスプリントポイント。レース序盤からの断続的なアタックは封じられ、緩んだタイミングでスルリと抜けだしたレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)が5周目のスプリントポイントを先頭通過する。続く10周目はジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ)が取り、独走に持ち込んだクリス・ハミルトン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)が15周目のスプリントポイントを先頭通過した。

続いてクリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール)とマーティン・ベリトス(スロバキア、エティックス・クイックステップ)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ)がメイン集団を抜け出し、単独で生き残ったボアーロが20周目のスプリントポイントを獲得する。しかしいずれの逃げのリードも10秒足らず。フルフラットのハイスピードコースでメイン集団にアドバンテージがあることは明白だった。



ライミルパークの周回を駆け抜けるライミルパークの周回を駆け抜ける photo:Kei Tsuji
レース中盤に独走したクリス・ハミルトン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)レース中盤に独走したクリス・ハミルトン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) photo:Kei Tsuji逃げを率いるマーティン・ベリトス(スロバキア、エティックス・クイックステップ)逃げを率いるマーティン・ベリトス(スロバキア、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
ハイスピードでメイン集団を牽引するゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ハイスピードでメイン集団を牽引するゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji


集団前方に位置取るカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)集団前方に位置取るカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiレース終盤のメイン集団はチームスカイのコントロール下に置かれ、2012年北京五輪の団体追い抜きで金メダルを獲得しているゲラント・トーマス(イギリス)とピーター・ケノー(イギリス)がハイスピードでメイン集団を牽引。フィニッシュまで6周で吸収されると、それ以降アタッカーに活躍の場は残されていなかった。

スプリンターチームが競り合いながら最終周回になだれ込むスプリンターチームが競り合いながら最終周回になだれ込む photo:Kei Tsujiチームスカイはクライマーのセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)を除くメンバー6名全員で先頭を固めて周回を重ねる。平均スピード50km/hオーバーの巡航が続き、残り3周のフローリス・ゲルツ(オランダ、BMCレーシング)のアタックも短命に終わる。ケノーとトーマスの牽引が終わると、イアン・スタナード(イギリス)とサルヴァトーレ・プッチオ(イタリア)のリードアウトがスタートした。

スプリンターチームが競り合いながら最終周回になだれ込むスプリンターチームが競り合いながら最終周回になだれ込む photo:Kei Tsuji残り1周半でチームスカイのトレインが一旦下がると、キャノンデールやディメンションデータ、そしてオリカ・グリーンエッジ、IAMサイクリングが主導権を奪って残り1周の鐘を聞く。最も多くの人数を揃えたIAMサイクリングだったが、完全に主導権を握るには至らない。

スプリントで競り合うカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)スプリントで競り合うカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji競り合いの中からダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)に連れられて先頭に抜け出したのは、オーストラリアのクリテリウムチャンピオンであるユアンだった。最終ストレートで先に仕掛けたジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)に対抗するように、身長165cmの小柄な弾丸が飛び出した。

スピードが乗った状態から更に加速してニッツォロを抜き、いかにも空気抵抗が少ない低い体勢で突き進んだユアンが勝利。UCIレースではないが、勢いにつながる勝利をオリカ・グリーンエッジにもたらした。

「優勝候補としてレースに挑むのは簡単なことじゃない。これまで経験したことがないほどのプレッシャーを感じていた」と、レース後すぐのテレビインタビューにユアンは答える。

「勝負所の終盤まで無理に前に出ることなく集団内で力を温存。チームの走りはパーフェクトだった。この勝利は嬉しいけど、ツアー・ダウンアンダーのプレッシャーがなくなったわけじゃない。チームは総合成績を狙っているし、自分自身のステージ優勝も同時に狙う。この勝利は長い1週間の始まりにすぎないよ」と、オリカ・グリーンエッジとしてツアー・ダウンアンダー本戦での活躍を誓った。



スプリントを制したカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)スプリントを制したカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji
ダーブリッジと勝利を喜ぶカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ダーブリッジと勝利を喜ぶカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji祝福のキスを受けるカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)祝福のキスを受けるカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji


ツアー・ダウンアンダー2016ピープルズチョイスクラシック結果
1位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      1h02’25”
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位 アダム・ブライス(イギリス、ティンコフ)
4位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
5位 マルコ・クンプ(スロベニア、ランプレ・メリダ)
6位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
7位 ダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
8位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
9位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)
10位 パトリック・ショー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

スプリントポイント
5周目 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
10周目 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ)
15周目 クリス・ハミルトン(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
20周目 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ)
 
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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