目まぐるしく動いた総合争いに注目が集まった今年最後のグランツール。初のグランツール勝利を手に入れたファビオ・アルや、マドリードでの栄光をつかみとったジョン・デゲンコルブらのコメントを紹介しましょう。



マイヨロホを勝ち取ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

マイヨロホを手に入れたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)。自身初の総合優勝を収めたマイヨロホを手に入れたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)。自身初の総合優勝を収めた photo:CorVos
ゼイツ、ランダ、ヴァノッティ、ローザ、カタルド、サンチェス。彼らがいなくてはマイヨロホを獲得できなかっただろう。チームメートたち、そしてスポンサーに感謝している。今大会は大きな逆風が吹いていた。沢山の挫折と多くの戦いを経て、マドリードに辿りついたんだ。そして、表彰台の頂点に立った。このシーズンの初めに僕らが宣言した約束を守ることができたんだ。グランツールを勝ち取るという大きな目標を達成できた。

総合2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

総合2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)総合2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:A.S.O.僕の結果には満足しているよ。3つのハードなステージを強力なライバルたちと争った、緊張感にあふれた最終週が終わって2位というのはかなり良い結果だと思っている。このブエルタでは大きな成功を収めたといっていいんじゃないかな。総合で2位、重要な山岳ステージでの勝利、マイヨロホも着ることができたし、複合賞を獲ることもできた。

僕がマドリードでの表彰台に上がるためのチャンスを与えてくれたチームのみんなには感謝している。いま、僕は36歳だけど、まだまだベストの状態なんだということが分かったのもうれしいね。ファビオ・アルの優勝を祝福するよ。

総合3位、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)

ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)をホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が囲うファビオ・アル(イタリア、アスタナ)をホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が囲う photo:CorVos自分にとって特別な一日になった。グランツールの総合表彰台はいつも夢見ていたことだから。この順位は開幕からずっと自分のことをサポートしてくれたチームメイトに捧げたい。彼ら無しではこの順位にいることは到底不可能だった。ブエルタの期間中は浮き沈みも経験し、決して楽な展開では無かった。でも最終的にこの結果まで到達できた。本当にチームのおかげだ。

ティンコフ・サクソは常にレース前方で展開したし、全ての山岳ステージでは差を付けるべくプッシュし続けた。チームリーダーを経験したことも自分にとって大きく、そこで生まれる責任の重さも知った。いつかグランツールで勝てる日が来ると信じているよ。来年もビッグレースに挑むと思うけれど、優勝にはまだ早い。将来的に表彰台の頂点を狙うことができれば良いと思う。じっくりと腰を落ち着けて準備を整えていきたい。

たったの12秒差で2位まで届かなかったが、プリートはこのブエルタで非常に力を発揮した。自分自身はツール・ド・フランス明けだったので、開幕時はベストな状態では無かったんだ。でも後半に掛けて調子が上がっていった。個人TTはかなり難しいレースとなり力を発揮できず終いだった。でもずっと言っていた通り、ブエルタは個人TTで終わりじゃなかったんだ。

総合5位にはいったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)

もし、ジロが終わった時期に、誰かがブエルタに出れば5位以内に入れるはずだ、と言っても僕は信じなかっただろうし、2つのステージで勝てると言われても、マイヨロホを6日間着ることができると言われても信じられなかっただろう。まるで夢のような結果だ。でも、この2年間僕が厳しくトレーニングを積んできたからこその結果でもあるんだ。まだこれで僕のキャリアが終わったわけじゃない。むしろスタートラインに立ったんだ。このブエルタの様な活躍を続けていきたいね。

最終ステージを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)がステージ優勝。ブエルタ10勝目を手に入れたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)がステージ優勝。ブエルタ10勝目を手に入れた photo:CorVosこの勝利は最高にうれしいよ!このために21日間を耐えてきたんだ。スプリントのためにチームがハードに働いてくれたことに応えることができた。

昨日は僕らにとって悪夢のような一日だった。僕らは深く失望していたけど、良いことばかりじゃないのがサイクルスポーツであり、人生でもある。それは変えられないことさ。僕らはトム(・ドゥムラン)のことを誇りに思っている。このブエルタは1日長かったのさ。でも彼がグランツールの総合を争う姿をまた見られると信じているよ。

このブエルタは、チームがこれまで参加してきたグランツールの中でも最も成功したレースになったと思う。僕らが収めた戦績について、本当に誇りに感じている。このレースを最高の形で締めくくることが出来た。良い気分で家に戻ることができるよ。

今、僕はかなり好調なんだよ。先週、いつもより長い時間クライマーたちについていくことができたことからも分かるように、かなり絞れている。きちんと回復も出来そうだから、今は世界選手権で頭がいっぱいだよ。なんとしても勝ちたいレースなんだ。

ステージ2位のダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)

デゲンコルブとスプリントするダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)デゲンコルブとスプリントするダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVosラスト5kmは本当に、本当にデンジャラスだった。ボーイ(・ファンポッペル)がフィニッシュまで僕を運んでくれたし、クライマーに至るまでチーム全員が集団前方で良い働きをしてくれた。僕がチームを離れるということを知っているのにもかかわらず、彼らは僕のために全力を尽くしてくれたんだ。これぞチームスピリットだよ。

ラスト1kmでデゲンコルブの後ろについた。でも、向かい風が強くてポジションを下げてしまい、余計なパワーを使うことになってしまった。ダニエーレ・ベンナーティが仕掛けると同時に、僕も全力で踏み続けたんだけど、デゲンコルブは強かったね。あと少しのところまで迫ったんだけど、そこから彼はもう一段加速したんだ。2位という結果は、今日僕が手に出来る最高のリザルトだったと納得しているよ。

13回連続のグランツール完走(歴代新記録)を遂げたアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)

間違いなく特別で、間違いなくユニークな記録だよ。グランツールを完走するたびに連続出場記録が話題に上がったけれど、自分にとっては何が何でも取りたい記録ではなかった。でももちろん、新記録を打ち立てたことに誇りを持っているんだ。

一番厳しかったのは間違いなく今年のツール・ド・フランス。序盤の落車で怪我を負ってしまいその後の3週間を走らなくてはいけなかった。2012年のジロ・デ・イタリアでも序盤に落車をした。もっともタフだったのは2012年のブエルタ・ア・エスパーニャだ。自分にとって初めて3つのグランツールを経験した年だったので、最後のブエルタはキツかった。もうほとんど燃え尽きていたよ。

その中でのハイライトはやはりステージ優勝だけれど、チームの好成績も嬉しいものだった。アンドレ(グライペル)のステージ優勝や、トニー(ギャロパン)のマイヨジョーヌ獲得…。全てのグランツールのゼッケンやジャージ、ガイドブックは捨てずに保存してあるんだ。まだツールのステージ優勝を狙いたいという意欲もあるし、僕の連続出場記録が途絶える時は、現役を引退する時じゃないかな(笑)?一つ残念なことは、グランツール以外のたくさんの素晴しいレースに出場できないことかもしれないね。

日本人初の3大グランツール完走者となった新城幸也(ユーロップカー)

移籍が決まったピエール・ロランと記念撮影する新城幸也移籍が決まったピエール・ロランと記念撮影する新城幸也 Photo:Miwa IIJIMA初のブエルタでチャンスがあると思ったが、グランツールはやはり簡単ではない。特にブエルタは3級山岳でも想像以上に厳しかったり、移動が長かったりと他のグランツールにはない過酷さがあった。それがわかったので、次に走る機会があればもっと大きなチャンスを掴めると思う。

ジロでは寒さ、ツールで速さ、そしてヴエルタで暑さと、それぞれ限界を体験したので、どんなレースでも対応できるだろう。グランツールを全て完走したので、次はすべてのグランツールで区間優勝が目標になった。来週は、このコンディションを保って世界選手権に集中して臨みたい。

選手コメントは各チーム公式サイト、ならびにTeamユキヤ通信より。

text:Naoki.Yasuoka,So.Isobe
photo:CorVos