パリで千秋楽を迎えたツール・ド・フランス。雨上がりのシャンゼリゼ通りのスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が4勝目をマークし、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が2度目の総合優勝を果たした。



凱旋門の前を通過するクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)凱旋門の前を通過するクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
ツール・ド・フランス2015第21ステージツール・ド・フランス2015第21ステージ image:A.S.O.ツール・ド・フランス2015第21ステージツール・ド・フランス2015第21ステージ image:A.S.O.


雨のエッフェル塔を通過するプロトン雨のエッフェル塔を通過するプロトン photo:Tim de Waele最終決戦地ラルプデュエズから終着地パリまでツールの一行は650kmを移動。レース当日に空路でパリに移動した選手たちは、いつもよりずっと遅めの16時35分にパリの郊外のセーヴルをスタートした。

チームスカイがメイン集団を牽引するチームスカイがメイン集団を牽引する photo:Kei Tsuji3週間の戦いを終えんとする選手たちを待っていたのは、気温18度ほどの冷たい雨だった。天気予報通り午後になって降り始めた雨の中、4勝ジャージを先頭に160名がパレード走行。凱旋門やシャイヨー宮、エッフェル塔、ルーヴル美術館のピラミッドといったパリの観光名所を巡りながら周回コースに入って行く。

アタックの口火を切ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)アタックの口火を切ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング) photo:Kei Tsuji観客に埋め尽くされた全長7kmコースに、チームメイト達にエスコートされたマイヨジョーヌが凱旋する。なお、雨に濡れた危険な路面状況を考慮して、1回目のフィニッシュラインの通過時間を総合成績に反映させる措置が取られた。

フィニッシュまで8周を残して最初に飛び出したのはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)。しばらく独走したシャヴァネルが吸収されると今度はネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)、ケニース・ファンビルセン(ベルギー、コフィディス)、フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)の3名が先行を開始する。

メイン集団とのタイム差が30秒まで広がると集団コントロールはチームスカイからロット・ソウダルにバトンタッチ。レース中盤に雨は上がり、徐々に路面が乾き始めたシャンゼリゼ周回コースで、ロット・ソウダルが逃げグループを射程圏内に抑え込んだ。

カウンターアタックを仕掛けた第1ステージの勝者ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が先頭グループに追いついたものの、最終周回に入ってすぐに逃げは全て集団に飲み込まれる。スプリンターチームが集団先頭で競り合いながら石畳のシャンゼリゼを駆け抜け、カチューシャがトレインを組んでフラムルージュを通過した。



コンコルド広場からシャンゼリゼ通りに入るプロトンコンコルド広場からシャンゼリゼ通りに入るプロトン photo:Kei Tsuji
逃げるケニース・ファンビルセン(ベルギー、コフィディス)ら3名逃げるケニース・ファンビルセン(ベルギー、コフィディス)ら3名 photo:Kei Tsujiロット・ソウダルが牽引するメイン集団ロット・ソウダルが牽引するメイン集団 photo:Kei Tsuji
シャンゼリゼの空に描かれたトリコロールシャンゼリゼの空に描かれたトリコロール photo:Kei Tsujiスプリンターチームを先頭に最終周回に突入スプリンターチームを先頭に最終周回に突入 photo:Kei Tsuji
スプリンターチームが競り合いながらシャンゼリゼ通りを進むスプリンターチームが競り合いながらシャンゼリゼ通りを進む photo:Kei Tsuji


スプリントで先頭に立つアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)スプリントで先頭に立つアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele最終コーナーを抜け、ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)に発射される形でアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が先頭でスプリント。西陽が差し込んだフィニッシュラインに向かって突き進んだクリストフだったが、後方からグライペルが勢い良く追い上げる。ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)とともにハンドルを投げ込んだグライペルが先着した。

今大会4勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)今大会4勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji「自転車レースにおいて最高の場所で勝利。夢が叶った。キャリア最高の勝利をシャンゼリゼで果たしたんだ」。今大会ステージ4勝目、そしてパリ・シャンゼリゼでの初勝利を飾ったグライペルはレース後のインタビューでそう答えている。

マイヨジョーヌを囲むようにしてチームスカイが並んでフィニッシュマイヨジョーヌを囲むようにしてチームスカイが並んでフィニッシュ photo:Kei Tsuji「チームとして素晴らしい成績を収めることができた。集団スプリントで5戦4勝。前に出るのが早すぎないように心がけた結果、最終コーナーの時点でポジションを下げていたけど、最後まで踏み抜く脚が残っていた。次のチャレンジが楽しみだ」。

最終スプリントで7位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が4年連続マイヨヴェールを獲得し、ステージ4勝のグライペルが66ポイント差のポイント賞2位に入っている。

総合1位のフルームはチームメイト達に囲まれながらゆったりとフィニッシュ。2013年に続く2度目の総合優勝を果たしたフルームは、シャンゼリゼ通りの真ん中に設置された表彰台でマイヨジョーヌを受け取った。フルームは山岳賞も同時に獲得している。

総合2位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がマイヨブランを獲得し、チームメイトのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がツール初の表彰台に。チーム総合成績トップはモビスター、総合敢闘賞はバルデが獲得している。



総合2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、総合1位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)総合2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、総合1位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele
4勝目で大会を締めくくったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)4勝目で大会を締めくくったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waeleポイント賞ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、総合優勝&山岳賞クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、ヤングライダー賞ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ポイント賞ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、総合優勝&山岳賞クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、ヤングライダー賞ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waele


Résumé - Étape 21 (Sèvres - Grand Paris Seine... par tourdefrance

ツール・ド・フランス2015第21ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)          2h49’41”
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
5位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
6位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
9位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ガーミン)

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)             84h46’14”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)              +1’12”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)           +5’25”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)           +8’36”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)       +9’48”
6位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)           +10’47”
7位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)      +15’14”
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)           +15’39”
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)          +16’00”
10位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)            +17’30”

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)          432pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)           366pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)       298pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)              119pts
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)              108pts
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)          90pts

マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)             84h47’26”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)          +14’48”
3位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)       +30’03”

チーム総合成績
1位 モビスター                            255h24’24”
2位 チームスカイ                            +57’23”
3位 ティンコフ・サクソ                        +1h00’12”

総合敢闘賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)

リタイア
なし

text:Kei Tsuji in Paris, France