6月27日、全日本選手権ロードレース初日の女子ジュニアは、アジア選手権5冠の梶原悠未が実力通りの独走優勝を飾った。昨年に引き続きロードとTTの2冠に輝いた。男子U17+U15は篠田幸希(前橋工高)がゴールスプリントを制した。



ラスト周回の登り区間で活性化する男子U17+U15のメイン集団ラスト周回の登り区間で活性化する男子U17+U15のメイン集団 photo:Makoto.AYANO

先週のタイムトライアルに続き、栃木県那須市で開催されるロード全日本選手権。2日間の日程で、初日の午前中は女子ジュニア+U17、男子U17+U15がほぼ同時スタートのそれぞれ3周、4周で行われた。この日の天気予報は終日雨。予報が告げていた荒天・強風の日にはならなかったが、朝からあいにくのしとしと雨が続く。



女子ジュニア

女子ジュニア+U17のメイン集団。細谷夢菜(浦和工高)が先頭に立ってペースを上げる女子ジュニア+U17のメイン集団。細谷夢菜(浦和工高)が先頭に立ってペースを上げる photo:Makoto.AYANO

3周で行われた女子ジュニアの絶対とも言っていい優勝候補はアジア選手権でロード&トラック5冠のチャンピオン、梶原悠未(筑波大付属坂戸高校)だ。
1周16.0kmの丘陵地帯のコースを3周回・合計48kmで争われた女子ジュニアレース。本命・梶原が動いたのは2周め。アタックをかけ独走態勢に持ち込み、ペースを上げる。しかし集団もまとまって追走し、一度は梶原を2周めの序盤で吸収した。しかしそのすぐ後に始まる登りで梶原は再びアタック。独走態勢に入る。

女子U17で1位の細谷夢菜(浦和工高)女子U17で1位の細谷夢菜(浦和工高) photo:Makoto.AYANO女子ジュニア アジアチャンピオンジャージを着た梶原悠未(筑波大坂戸高)が独走女子ジュニア アジアチャンピオンジャージを着た梶原悠未(筑波大坂戸高)が独走 photo:Hideaki TAKAGI


「3回めの登りでアタックしたのは、上った後も平坦が続く、試走をして自分がいちばんキツイと感じたポイントだったから」と言う梶原。力強い走りでメイン集団にみるみる差を広げ、難なく3周めのゴールまで逃げ切った。タイ、ナランチャコシマでのアジア選手権で5冠に輝いた梶原が、下馬評通りの独走優勝を飾った。

後続を1分20秒離して独走ゴールする梶原悠未(筑波大坂戸高)後続を1分20秒離して独走ゴールする梶原悠未(筑波大坂戸高) photo:Hideaki.Takagi
梶原はレース後にこう話す。「すごくキツイコースでした。一度捕まってからまた逃げて、独走で勝つことができて目標が達成できました。やはり自分の独走力を活かして勝つことを目標にしてきたんです。もっともっと得意な部分を伸ばして、スプリントも強化したい。
ジュニアの集大成として、2連覇をしたいと思っていました。キツイレース展開になるように、自分でアタックして厳しくてハイペースなレースを作っていければと思っていました。今年の世界選手権に代表として選ばれるなら、ロードレースでは昨年のリベンジをこめて表彰台を狙いたい」。

目標の選手は?と聞かれた梶原は応える。「エリートの與那嶺さん、萩原さんに早く追いつきたいです」。

女子ジュニアロードチャンピオンに輝いた梶原悠未(筑波大坂戸高)と母、そして浦和工高で走る弟女子ジュニアロードチャンピオンに輝いた梶原悠未(筑波大坂戸高)と母、そして浦和工高で走る弟 photo:Makoto.AYANO女子U17で1位の細谷夢菜(浦和工高)女子U17で1位の細谷夢菜(浦和工高) photo:Makoto.AYANO


梶原に1分20秒の差を付けられたメイン集団。スプリントを制して2位の細谷夢菜(浦和工高)は、U17の1位でもある。そして先週末のタイムトライアルでも梶原に次いで2位だった。
「TTは梶原さんに24秒差だったので、もっといけると思っていたんです。それは1月の伊豆大島でのアジア選手権プレ大会のTTで2分差をつけられていたのに、差を縮めることができて楽しみにしていたんです。今日は離されましたが、これからが楽しみです」と話した。



男子U17+U15  

登り口でお互いに様子を伺う男子U17+U15のメイン集団登り口でお互いに様子を伺う男子U17+U15のメイン集団 photo:Makoto.AYANO
4周、64kmで争われた男子U17+U15。4周回を通じて小さなアタックはたくさんかかるものの、どれも決定的な逃げにはつながらなかった。結局勝負は約20人のゴールスプリントへ。ラスト500mでロングスパートをかけた前橋工高の2年生、篠田幸希(しのだこうき)がトップでゴールした。

MU17+15のゴールスプリントを制した篠田幸希(前橋工高)MU17+15のゴールスプリントを制した篠田幸希(前橋工高) photo:Makoto.AYANO
U17優勝の篠田幸希(前橋工高)、2位日野泰静(チームグロシャ)、3位石井洋輝(白河実業高)U17優勝の篠田幸希(前橋工高)、2位日野泰静(チームグロシャ)、3位石井洋輝(白河実業高) photo:Makoto.AYANO「キツかったです。最後は皆が牽制していたので、スプリントに賭ければ絶対勝てると思っていました。僕は登りスプリントが得意なので、今日は絶対勝つぞと狙っていました。距離が短いのと上り坂ゴールの両方が自分に向いているというこんな好条件のレースはなかなか無いです。
自転車競技は中学2年の時にヒルクライムレースに初めて出て夢中になったのがきっかけ。将来の夢はツール・ド・フランスに出ることです」。


女子ジュニア+女子U17結果 48km結果
1位 梶原悠未(筑波大坂戸高)
2位 細谷夢菜(浦和工高)
3位 内村舞織(南大隅高)
4位 古山稀絵(昭和第一学園高校)
5位 松本詩乃(昭和第一学園高校)
6位 髙橋智香(桜丘高校)

U17
1位 細谷夢菜(浦和工高)
2位 松本詩乃(昭和第一学園高校)

MU17 64km 結果
1位 篠田幸希(前橋工高)
2位 日野泰静(チームグロシャ)
3位 石井洋輝(白河実業高)
4位 成海大聖(普天間高校)
5位 佐藤健(九州学院高校)
6位 片桐東次郎(昭和第一学園高校)


photo&text:Makoto.AYANO
photo:Hideaki.Takagi