オーストラリアに居を構える総合サイクルアクセサリーブランド、JetBlack(ジェットブラック)。昨今トレンドとなっているダイレクトドライブ方式を採用しながら、持ち運びが苦にならない軽量設計のトレーナー「Whisper Drive」をインプレッションする。



ジェットブラック Whisper Driveジェットブラック Whisper Drive photo:So.Isobe
ジェットブラックは「ベストなプロダクトをより手頃な価格で」をコンセプトとする総合サイクルアクセサリーブランドだ。創業は1996年のこと。社員全員が熱心なサイクリストであり、トレーナー、ブレーキパッド、アイウェアなど多岐に渡るプロダクトは彼らのテストを経て製品化されているという。今季より取り扱いは東商会が行う。

負荷ユニットは薄く、チェーンステーと干渉しにくい負荷ユニットは薄く、チェーンステーと干渉しにくい 男性であれば片手で持ち運び可能だ男性であれば片手で持ち運び可能だ より充実したトレーニングが可能となるJetBlack Training App。今後発売される専用センサーと組み合わせることでスピードとパワーを表示させることができるより充実したトレーニングが可能となるJetBlack Training App。今後発売される専用センサーと組み合わせることでスピードとパワーを表示させることができる (c)JetBlackその中から今回インプレッションするのが、各メーカーから続々と登場しているダイレクトドライブ式のホームトレーナー「Whisper Drive」。後輪を介さず負荷ユニットを直接バイクに装着することで優れた静音性を実現したことが特長であり、Whisper(=ささやき声)という製品名からもジェットブラックの静粛性に対する自信が伺える。

負荷方式は磁気式で、ハンドルバーに取り付けるレバーによって7段階で調整することができる。ジェットブラックが公表するデータによれば速度上昇に伴う負荷の変化は比較的直線的。最大負荷は1,200Wと多くのホビーレーサーにとって実用充分な仕様となっている。

そして、スマートフォン・タブレット端末用の専用アプリ「JETBLACK TRAINING APP」を使用すれば、プリセットされたメニューに沿った効率的なトレーニングや、体力測定を行うことが可能。屋内トレーニングをより充実したものに変えてくれるだろう。

このアプリは現在iOS版のみがリリースされており、Android版は後日配信予定とのこと。アプリの利用時に速度と出力を計測する際には後日発売予定のWhisper Drive専用センサーキットが必要となる。BluetoothとANT+の主要な2つの通信規格に対応するため、パワー及びケイデンスはクランク式とペダル式のパワーメーターで計測したデータを利用することができる(ANT+を利用する場合は別途ドングルが必要となる)。

使用時のベース寸法は幅702mm×奥行き540mm×高さ500mmで、折りたたみ時は幅が257mmと非常にコンパクトになる。

フリーボディはシマノ/スラムの10・11速対応が標準仕様となり、スプロケットは別途用意する必要がある。取付部は130mm幅と135mm幅のクイックレリーズタイプに加え、ダイレクトドライブ式としては世界で初めてMTBで一般的となっている12x142mmのスルーアクスルに対応した。それではインプレッションに移ろう。



ーインプレッション

ジェットブラック Whisper Driveをテストジェットブラック Whisper Driveをテスト photo:So.Isobe
まず、編集部に届いた箱から取り出す際に感じたのが、意外と軽いということ。16kgと他のダイレクトドライブ式トレーナーと重量的に大差はないものの、幅257mm×奥行き540mm×高さ500mmというコンパクトさが持ち運び易さに大きく影響している。

ベース部は工具無しで開閉できるベース部は工具無しで開閉できる 7段階で調節可能な磁気式負荷ユニットを内蔵する7段階で調節可能な磁気式負荷ユニットを内蔵する 負荷調節レバーはハンドルバーに取り付ける。操作しやすく動きもスムーズ負荷調節レバーはハンドルバーに取り付ける。操作しやすく動きもスムーズ そして、組立と折りたたみは左右のバーの開閉だけと工具いらずで、非常にかんたん。これなら女性1人でも充分に持ち運ぶことができるだろうし、ウォームアップ用としてレース会場に持っていくのも苦にはならないはず。自宅に組み立てた状態で置いておけるだけのスペースがないという方にも良さそうだ。

バイクのセッティングも非常に簡単で、後輪の替りにバイクを取り付けるだけ。負荷ユニットが非常にコンパクトなため、チェーンステーが横に張り出したバイクと干渉することもなさそう。これはタイヤドライブ式にも通ずることだが、前輪を持ち上げてバイクの水平を出す必要がある。なお、700×23Cタイヤを装着したバイクではやや前下りとなった。

さて、実際に自転車を取り付けて使用して感じるのが、メーカーが謳う通りの直線的な負荷の上がり方と空走感が少なさだ。ひたすらヒルクライムをしている様な使用感である。いわゆるローラー台といった漕ぎ味で、タイヤドライブ式からの移行という方でも違和感なく使いはじめることができるだろう。7段階の負荷調節レバーの操作感もスムーズで、ペダリングの途中でも滑らかに負荷が変わってくれる。

そして、ダイレクトドライブ式のメリットはWhisper Driveでもしっかりと体感することができる。もちろんフライホイールの偏心による振動は一切なく、全力で漕いでも周囲では普通に会話できる程に駆動音は抑えられている。加えてタイヤカスの発生やホイールの回転による埃の巻き上げ等もなく、とてもクリーンだ。

また、コンパクト設計ながら充分な安定感を実現しており、安心してトレーニングに集中できる。特に自重負荷式のローラー台で起こりがちなタイヤのスリップもなく、1,200Wと他ブランドのダイレクトドライブ式トレーナーと比べると最大負荷こそ低いが、私を含め一般的なホビーサイクリストであれば高強度のインターバルトレーニングも可能だ。一方で、フィットネスを目的とする方にもおすすめできる。

今回のインプレッションには、スピードとパワーを計測してくれる専用のセンサーキットが間に合わなかったためテストできなかったが、専用アプリはとても期待が持てる。インターフェイスはシンプルで分かりやすく、豊富なメニューが用意されており、退屈で億劫な室内トレーニングをより充実したものにしてくれそうだ。また、アプリは英語表記のみだが、国内代理店を務める東商会のHPに日本語版のムービーマニュアルが掲載されているため、気軽にセッティングできるだろう。

静音性と安定感というダイレクトドライブ方式ならではの利点をもちつつ、タイヤドライブ式に匹敵するコンパクトさを実現したWhisper Drive。価格はダイレクト式としては標準的だが、持ち運びできるメリットを考えれば、レース会場などへローラー台を持参する競技者には魅力的なプロダクトといえるはずだ。





ジェットブラック Whisper Drive ダイレクトドライブトレーナー
負荷ユニット:マグネット式(7段階で調節可能、最大負荷1,200W)
対応バイク:ロード(130mm)、MTB(135mm、12x142mmスルーアクスル) 
フリーボディ:シマノ/スラム 10S-11S
重 量:16kg
体重制限:100kg
付属品:専用クイックレバー
価 格:78,000円(税抜)

photo&movie:So.Isobe
text:Yuya.Yamamoto

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