カウベルグのアタック合戦を切り抜けた18名によるスプリント勝負。落ち着いて自分のタイミングでスプリントを開始したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)がアムステルゴールド・レース初制覇を果たしました。



マーストリヒトのマルクト広場をスタートマーストリヒトのマルクト広場をスタート photo:Tim de Waele


身長164cmのジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)と身長199cmのステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)身長164cmのジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)と身長199cmのステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele「アルデンヌ・クラシック」初戦アムステルゴールド・レース。快晴のオランダ南部リンブルグ州の州都マーストリヒトを別府史之(トレックファクトリーレーシング)と山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)を含む200名の選手たちがスタートした。

アップダウンコースをこなす別府史之(トレックファクトリーレーシング)アップダウンコースをこなす別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele6時間半におよぶ251kmレース前半の主役は、逃げグループを形成したヤン・ポランク(スロベニア、ランプレ・メリダ)、ローレンス・デフレース(ベルギー、アスタナ)、ティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ)、ヨハン・ヴァンジール(南アフリカ、MTNキュベカ)、リーナス・ゲルデマン(ドイツ、クルトエネルギー)、マイク・テルプストラ(オランダ、ルームポット)の6名。

グルペルベルグを登るプロトングルペルベルグを登るプロトン photo:Tim de Waele10分まで広がった先頭6名のリードをBMCレーシングとモビスター、そして後半にかけてオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団が食いつぶす。「1000のカーブ」と呼ばれるジェットコースターのようなワインディングと断続的な登りをこなしながら、残り40kmでメイン集団は逃げを視界に捉えた。

均衡が破られたのは逃げグループを視界に捉えた残り38kmのアイゼルボスウェグの登り。アタックを仕掛けたデーヴィッド・タナー(オーストラリア、IAMサイクリング)とサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が前のポランクとデフレースに追いつき、そのまま4名で逃げを継続する。

さらに後方ではトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)、アレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)、さらにヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が飛び出して追走を開始した。

やがて先頭はタナーとクラークのオーストラリア人選手2名に絞られ、ここにニーバリ、ハウズ、マルティンが合流して新たに先頭は5名に(ケルデルマンは農地にオーバーラン、ローザとカルーゾはコーナーで落車)。ツール・ド・フランス覇者ニーバリがアタックを繰り返したが決まらず、メイン集団に対して30秒リードで先頭5名が3回目(合計4回登場)のカウベルグをクリアした。

猛追をかけるメイン集団に対して先頭を逃げるニーバリ、マルティン、タナー、クラーク、ハウズ。後方にエースのクヴィアトコウスキーを残すため協調しないマルティンをふるい落とそうとニーバリとクラークがアタックを連発し、残り14kmでクラークが独走を開始する。しかしBMCレーシング率いるメイン集団によってクラークはフィニッシュまで8kmを残したベメレルベルグで吸収された。

その後もアスタナは攻撃の手を緩めず、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)がアタックしたもののグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がチェックに入ってペースダウン。フグルサングの動きが残り4kmで封じ込められると、登り口に向けたハイスピード位置取り争いを経て最後のカウベルグが始まった。



合計4回通過するカウベルグの登り合計4回通過するカウベルグの登り photo:Tim de Waele


先頭グループに入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)先頭グループに入ったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleカウベルグの登りが始まってすぐにベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)がアタック。前哨戦ブラバンツ・ペイルを制したヘルマンスが失速したタイミングで今度はフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)がカウンターアタックを仕掛ける。

カウベルグでアタックするフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)カウベルグでアタックするフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele前年度のリプレイのようなアタックだったが、ジルベールの後ろにはマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がぴったりとマーク。結局ジルベールはマシューズを振るい落とせないままカウベルグの頂上に到達し、フィニッシュまでの1.8km平坦路に差し掛かった。

スプリントで先頭に立つミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)スプリントで先頭に立つミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele最初にアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が追いつき、続いてジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)やミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)も合流。続々と後続も追いつき、総勢18名の状態でスプリントが始まった。

18名の集団スプリントで勝利したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)18名の集団スプリントで勝利したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele早掛けしたラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)を追う形で始まったパンチャーたちによるスプリント争い。バルベルデやマシューズ、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が好位置からスプリントを仕掛けたが、数分前に通過したカウベルグのダメージの影響でどの選手も伸びない。

「カウベルグの登坂からリカバリーする必要があったので、一旦グループの後ろに回って息を整えた。充電してから全開でスプリントしたんだ」。そう振り返るクヴィアトコウスキーが後方から一気にポジションを上げる。マシューズとのスピード真っ向勝負で先頭に立ち、バルベルデを下したクヴィアトコウスキーが勝利した。

カウベルグではジルベールとマシューズに先行を許しながらも、出し切ることなく登りをクリアし、落ち着いてスプリントに持ち込んだ世界チャンピオンが勝利。クヴィアトコウスキーにとっては世界チャンピオンジャージでの初勝利であり、UCIワールドツアーのワンデーレースで初めて勝ち星を挙げた。

「努力が実った素晴らしい1日。チームメイトたちは感動する素晴らしく、いつも集団前方のポジションをキープしてくれた。おかげでリラックスして走り続けることが出来たんだ。重要な逃げにトニ(マルティン)が入ったことも大きな助けになったよ。もちろん登りでは苦しみ続けた。3回目のカウベルグでジャンニ・メールスマンに『今日は調子の良さが感じられない』と言ったんだ。すると彼に『34カ所の登りをこなすこのレースで苦しまない選手はいない。だから何としても乗り切るんだ』と言われた。その言葉がモチベーションになったんだ」とクヴィアトコウスキーは語る。

クヴィアトコウスキーは2014年のフレーシュ・ワロンヌとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位。24歳の世界チャンピオンは「アルデンヌクラシックを勝利でスタートすることが出来て嬉しい。次戦も楽しみだ」とコメントしている。

別府史之と山本元喜はDNF。レース後に「今日はチーム戦略に沿ってモレマを1日中ずっと全力でサポートし続けました」とツイートした別府は水曜日のフレーシュ・ワロンヌと日曜日のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュにも出場予定だ。

選手コメントはチーム公式サイトより。



アムステルゴールドビールで乾杯する2位バルベルデ、1位クヴィアトコウスキー、3位マシューズアムステルゴールドビールで乾杯する2位バルベルデ、1位クヴィアトコウスキー、3位マシューズ photo:Tim de Waele


アムステルゴールド・レース2015
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)6h31’49”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
8位 エンリコ・ガスパロット(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
9位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
11位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
12位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
13位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
14位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
15位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)
16位 ラーシュペッテル・ノルダーグ(ノルウェー、チームスカイ)
17位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
18位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)                +03”
19位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)              +18”
20位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
DNF 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
DNF 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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