10月17日、暖かい声援と視線を浴びてオリオンスクエアのステージに登場した17チームの選手たち。週末のジャパンカップ出場を控えたチームの写真や主要選手のコメントをダイジェストでお伝えします。



観客が詰めかけたオリオンスクエア観客が詰めかけたオリオンスクエア photo:Kei Tsuji
宇都宮ブリッツェンへと引き継がれたチェロ台車宇都宮ブリッツェンへと引き継がれたチェロ台車 photo:Kei Tsuji出番を待つ宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)ら出番を待つ宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)ら photo:Kei Tsuji



宇都宮ブリッツェン

宇都宮ブリッツェン宇都宮ブリッツェン photo:Yuichiro Hosoda大久保陣の派手なバイクアクションと青柳憲輝のチェロ芸でオリオンスクエアを一気に沸かせた宇都宮ブリッツェン。増田成幸と鈴木真理、阿部嵩之が両日出場で、大久保と青柳がクリテリウムのみの出場。日曜日のロードレースには鈴木譲と堀孝明が出場する予定だ。

「ブリッツェンで走るジャパンカップは特別です。土曜日と日曜日ともに多くのお客さんが来るから頑張りたいです」と意気込むのは、今回が5〜6回目のジャパンカップ出場となるエースの増田だ。ベテランの鈴木真理も「チームの地元なので気合が入る。応援を力に変えたい」と意気込んだ。



シマノレーシング

シマノレーシングシマノレーシング photo:Yuichiro Hosoda恒例になった野寺秀徳監督のウィリーを先頭に登場したシマノレーシング。ブリッツェンの青柳から奪ったチェロを入部正太朗がギターのように奏でて登場し、最初の2チームで会場の空気はすっかり暖まる。野寺監督からはクリテリウム、ロードレース、そしてチームプレゼンの3勝を狙う宣言も飛び出した。

エースを担うのは「ジャパンカップを見て選手になりたいと思った。今年も優勝を狙う」と言う畑中勇介。2010年大会で3位に入った畑中が最年長で、「ジャパンカップに向けて調子を上げてきた」と言う入部や、直前の輪島ロードレースで2位に入った木村圭佑ら、若手が揃った。



愛三工業レーシング

愛三工業レーシングチーム愛三工業レーシングチーム photo:Yuichiro Hosoda現在インドネシアで開催中のツール・ド・イジェンにも並行して出場している愛三工業レーシング。別府匠監督は「ワンデーに強く、海外選手と戦える選手」をジャパンカップに送り込んだ。2月のツール・ド・ランカウイで大腿骨を骨折した伊藤雅和にとっては8ヶ月ぶりのレース出場となる。

日曜日のロードレースでは2011年大会で2位に入った西谷泰治がエース。「改めてコースを試走して毎年よくこんなキツイところ走るなと感じました。海外選手が揃ってるし、走りがいがあります。優勝を狙いたい」と西谷は語る。クリテリウムでは「日曜日がメインなのはもちろんですが個人的には土曜日(を狙いたい)」と語る盛一大にも注目だ。



ブリヂストンアンカー

ブリヂストンアンカーブリヂストンアンカー photo:Yuichiro Hosoda国内チーム選抜において上位に入ったブリジストンアンカーは日本人3名&フランス人2名という編成。9月のロード世界選手権で日本人選手として唯一完走した清水都貴がエースを担う。

「世界選手権のコンディション、もしくはそれ以上のコンディション」と自信を見せる清水を支えるのは2013年ツール・ド・北海道総合優勝のトマ・ルバと2010年ジロ・デ・イタリアでステージ優勝を飾っているダミアン・モニエ、ツアー・オブ・シンカラでステージ2勝を飾った内間康平、2013年ツール・ド・おきなわ覇者の初山翔。ルバは「去年初出場だけど、悪天候でダメだった。今年は調子もいいし、十分にポディウムを狙える」とコメントしている。



ヴィーニファンティーニNIPPO

ヴィーニファンティーニNIPPOヴィーニファンティーニNIPPO photo:Yuichiro Hosoda「どんな展開でも誰か行ける様に、展開によってエースを変える」という橋川健監督率いるヴィーニファンティーニNIPPOからは過去6度グランツール出場&2011年GP西フランスプルエー覇者のグレガ・ボーレが出場。世界選手権でも調子の良さを見せたスロベニアンライダーが勝利を狙う。

宮澤崇史は「ボーレがエース。デネグリが発射台を担い、若手がレースの土台を作る。今回のジャパンカップは勝ちに来た。自分の見せ場も作って行きたい」と宣言する。ボーレは「ジャパンカップは今回が初めての出場。小集団でのスプリントフィニッシュに持ち込まれるパターンが多く、今回もそうなるだろう」と予想している。

チームUKYO

チームUKYOチームUKYO photo:Yuichiro Hosoda監督不在のチームUKYOは土井雪広を中心に選手紹介が行なわれた。ロードレースのメンバー編成は日本人2名&スペイン人3名。クリテリウムにはホセ・ビセンテとサルバドール・ガルディオラが出場せず、代わって窪木一茂と住吉宏太が出場する。

「今年はいろんな国のレースを走ったこともあり、疲労がたまっている。何回も出ている逃げたことが無いので、逃げに乗って山岳賞を狙いたい。ゴールはスペイン勢が決めてくれるはず」と語る土井は、スペイン人3人は意外と不仲なんです」と暴露して会場を盛り上げる。ビセンテは「とても良いコース。ベストを尽くしたい。チームから優勝者が出る可能性はある」とコメントした。



ジャパンナショナルチーム

日本ナショナルチーム日本ナショナルチーム photo:Yuichiro Hosoda毎年若手を中心に構成されるジャパンカップナショナルチームを担うのは全日本チャンピオンジャージを着る佐野淳哉。国体に出場した徳田兄弟は現在移動中のためチームプレゼンには出席出来なかった。

2011年大会で3位に入っている佐野は「日本チャンピオンジャージを着て走れる絶好の機会。シーズン終盤で疲れもあるけど、強力な海外勢に立ち向かっていきたい」と意気込む。内野直也と岡篤志はそれぞれ「今年はここまで納得の行くはしりができていない。でも魅せられる走りができればと思う」「土曜日の予定は未定。日曜日の本戦で頑張りたい」と語っている。チームカーのハンドルを握るのは浅田顕だ。



全日本チャンピオンの佐野淳哉(日本ナショナルチーム)全日本チャンピオンの佐野淳哉(日本ナショナルチーム) photo:Kei Tsuji土井雪広(チームUKYO)土井雪広(チームUKYO) photo:Kei Tsuji



ドラパックプロサイクリング

ドラパックプロサイクリングドラパックプロサイクリング photo:Yuichiro Hosoda日本レースでもお馴染みのドラパックプロサイクリング。オーストラリア第二のチームとして注目を集めており、メンバーは当然のように全員がオーストラリア人選手だ。赤い集団を率いるのはウェズリー・サルツバーガーで、土曜日のクリテリウムも日曜日のロードレースでも優勝を狙う。

「クリテリウムでもロードレースでも優勝を狙いたい。ジャパンカップは2回目だからコースは知っている。下りが滑りやすいので注意したい」とサルツバーガー。チームからは兄のバーナード・サルツバーガーや2007年ツール・ド・北海道総合2位のダレン・ラプトーンらも出場する。



ノボノルディスク

ノボノルディスクノボノルディスク photo:Yuichiro Hosoda1型糖尿病患者で構成されるアマチュアチームとして誕生し、コンセプトをそのままにUCIプロコンチネンタルチームまで上り詰めたノボノルディスク。生活習慣とは無関係の1型糖尿病を患っている選手たちがメンバーは構成されている。

最年長のジョー・エルドリッジ「糖尿病であってもジャパンカップのようなトップレースに出場でき、しっかりと走ることをアピールすることで、多くの糖尿病患者に希望が与えられると思う。優勝出来たら最高だ」とコメントする。かつてサウニエルドゥバルでジャパンカップに出場し、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合50位の経験があるハビエル・メヒヤスはクライマーとしてロードレースでの結果を狙う。



新城幸也(ユーロップカー)新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji



キャノンデール

キャノンデールキャノンデール photo:Kei Tsujiキャノンデールジャージとして最後のUCIレースを迎えるイタリアチームは「ジャパンカップに向けてベストメンバーを連れてきた。ロンゴボルギーニやモゼール、フォルモロが結果を出してくれると思う」と自信を見せる。しかし同時にアルベルト・ヴォルピ監督が「サレルノやマルカートはコンディション良くない」と打ち明けてしまうシーンも。

エースを担うのはチーム最年長33歳のパオロ・ロンゴボルギーニで、ジャパンカップに出場出来ることを本当に幸福だと思っている」と語るのはモレノ・モゼール。自転車の名門モゼール家出身の23歳は「厳しいけど素敵なコース」と、初出場のジャパンカップの印象を語った。



ランプレ・メリダ

ランプレ・メリダランプレ・メリダ photo:Kei Tsuji「ジャパンカップがシーズンの締めくくり。最後に良い走りがみせられる様に全力を尽くす。日曜日に集中していきたい」とランプレ・メリダのブルーノ・ヴィチーノ監督は話す。ジャパンカップの常連はダミアーノ・クネゴやヴァレリオ・コンティらを中心にレースを組み立てる。

来季NIPPOヴィーニファンティーニへの移籍が決まっているクネゴは「これがランプレジャージで走る最後のレース。コンディションは良くないけど、チームとして良い結果が残せる様に頑張りたい」と思い出の詰まったジャパンカップを前にコメント。コンティは直前のGPブルーノベゲッリで優勝するなど好調だ。



ユーロップカー

ユーロップカーユーロップカー photo:Kei Tsuji(ブイグテレコム時代の)2010年以来の参戦となったユーロップカーのエースは新城幸也だ。「待ちに待ったジャパンカップ。是が非でも取りたいタイトルなので、こっそり練習してきました。コースはどちらかといえば得意。チームメイト全員がサポートしたいと言ってくれているので、頑張らなきゃならない」とフランスチームのエースは語る。

「今シーズンは91レース走ってきた。世界選手権が不甲斐ない結果に終わったので、最後は笑って終わりたい」と新城。そして監督も「ヨーロッパのレース同様に攻撃力のあるチームであることを走りで示したい」と、攻撃的なレースを約束した。





チームスカイ

チームスカイチームスカイ photo:Kei Tsujiチームスカイを率いるガブリエル・ラッシュ監督は「ボアッソンハーゲンとベン・スウィフトに本戦は注目」と太鼓判を押す。2年連続の出場だが、昨年の出場メンバーはベルンハルト・アイゼルのみ。昨年クリテリウムで2位に入ったアイゼルは「日本に戻ってこれて嬉しい。昨年同様に良いレースがしたい。クリテか本戦かはわからないけどね」と答えながら大歓声に手を振る。

直前の北京で調子の良さを示したボアッソンハーゲンは「厳しいコースだけど、コンディションが良いから勝利を狙いたい」とコメント。スウィフトは「とても難しいコース。でも北京で走れてたし、そのまま好調を維持出来ている」と語っている。



トレックファクトリーレーシング

トレックファクトリーレーシングトレックファクトリーレーシング photo:Kei Tsuji「残念ながらカンチェラーラはレースに出れませんが、日本に向かっているので日曜日には到着します」とファンの前でファビアン・カンチェラーラの欠場を説明したトレックファクトリーレーシングのルーカ・グエルチレーナ監督。トレックファクトリーレーシングはカンチェラーラを欠く4名でレースに挑む。

別府史之は「ファビアンの件は残念だけど、素晴らしいメンバーが来ている。こんな環境で走れるなんてすごく幸せですね。今シーズンはジロとジャパンカップに合わせてきました。コンディションはバッチリ」とコメント。ジュリアン・アレドンドは「日本は第2の故郷。ぜひ優勝したい」と語り、会場を沸かせた。



ティンコフ・サクソ

ティンコフ・サクソティンコフ・サクソ photo:Kei Tsuji日本にも馴染み深いティンコフ・サクソのフィリップ・モデュイ監督は「他チームがいるから戦略は教えられないけど、いい選手を連れてきたので頑張るよ」とファンの前で約束。エースを担うデンマークチャンピオンジャージのミカエル・アンデルセンは「初めての日本だけどとても気に入っている。コースはハード。出来る限りのベストを尽くして頑張りたい」とコメントする。

昨年ロジャースのアタックをお膳立てしたロリー・スザーランドは「宇都宮は美しい街でとても気に入っている。日曜日は昨年と違っていい天気になることを願うよ」と、冷たい雨はこりごりの様子。ベテランのカルステン・クローンも初出場のジャパンカップを心待ちにしている様子だった。



ガーミン・シャープ

ガーミン・シャープガーミン・シャープ photo:Kei Tsujiダニエル・マーティンとネイサン・ハースという2人の優勝経験者にスティール・ヴォンホフという2度のクリテリウム覇者を揃えたガーミン・シャープは今大会最強との呼び声高い。

ジロ・ディ・ロンバルディアで優勝し、ツアー・オブ・北京の山頂フィニッシュを制したマーティンは「北京の後、ちょっと体調を崩している。チームで協力して頑張りたい」と、少し不安材料があることを打ち明ける。サブエースを担うハースは「レース後は東京に行って旅館に泊まる予定」と、常に満面の笑みで日本滞在を満喫している様子。ヴァンホフは「クリテリウムで3回目優勝を狙っていく。日曜日もチーム一丸で価値を狙うよ」とコメントした。



クリテリウム・スペシャルチーム

クリテリウム・スペシャルチームクリテリウム・スペシャルチーム photo:Kei Tsuji中野浩一率いるクリテリウム・スペシャルチームは世界トップスプリンターと競輪界のトップレーサーの競演。「アマチュアで90年代にシマノ鈴鹿に出場し、次の来日は東京自転車ショー。これが3回目の来日」というアレッサンドロ・ペタッキは「素晴らしい選手と一緒に走れるから、明日は頑張りたい。もちろん、明日は勝つつもり。これまでもずっと勝つために仕事してきたから、それは明日も変わらない」とコメント。

「アレ=ジェット」の異名をもつアレッサンドロ・ペタッキは村上義弘、小嶋敬二、磯田旭というS級競輪レーサー3名とアジア大会のオムニアムで優勝した橋本英也がタッグを組む(国体から移動中の橋本はチームプレゼンに間に合わず)。

text:Kei Tsuji, Yuya Yamamoto
photo:Kei Tsuji, Yuichiro Hosoda